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問い直しの「問い」を問う

「ひと・こと・もの」に頼りながらチームで子育て&両立をしていこうと提案してるチームわが家。半年ほどかけて行った問い直しの旅を振り返っています。

さて、「問い直し」と言ったところでそもそも何を問い直すのか?
ということで、はじめに「問い」の設定を行いました。

対話のパートナーはMIMIGURI の田幡さん。MURALを使いました。

オンラインミーティング以外の時間に非同期的にMURALに付箋を貼り、数日経つと、そこに田幡さんからの「問い」や「ツッコミ」が貼ってあり、さらにそれに答える。そのリフレクションをオンラインで二週間に一度程度行う。この繰り返しで、「チームわが家」を掘り下げました。

MURALでの非同期の対話

MURALという問い直すための「場所」、また田幡さんからのツッコミのお陰で、迷子になりすぎず、掘り下げ、整理することができました。また、同期&非同期をミックスというやり方も、隙間時間でちょこちょこ行うことができ、忙しい私にはぴったりでした。

まず初めに整理したのがそもそもチームわが家で何をやりたいのか。

チームわが家でやりたいことの整理

一番は「頼ること」に寛容な社会の実現。誰もが誰かのサポーターに自然となれるような社会。イメージ的には「現代版向う三軒両隣」があちこちにあるような社会です。

核家族化により閉ざされた家族がわが家流のチームを創ることを言い訳に周囲に頼る。子育てという大変な時期を逆に地域社会との繋がりを創るチャンスと捉え、さまざまなリソースに頼りながら安心して成長できる環境創りをする。

これがチームわが家の意義であり、チームわが家というコンセプトを創ったころから明確にありました。

リサーチクエスチョンの検討

次に行ったのが、課題の掘り下げ。リサーチクエスチョンを具体的に検討しました。

「チームわが家っていい!」なのに「創るのは大変そう」
「家族との対話は大事!」でも「対話をするのは難しい」

セミナーや講座で聴こえていたこの二つのジレンマは両方とも「男性は家計を支える」「女性は家庭を守る」という伝統的な性別規範の影響を色濃く受けています。

世界トップレベルの育児休業制度はあるものの、取得するのはほぼ女性。その間に家庭では家事育児の主担当は母親で稼得役割の主担当は父親という分業体制が構築され、デフォルトとして設定されてしまいます。

また、職場の環境や仕事の進め方も戦後の高度経済成長期を支えた「妻が専業主婦の男性仕様」がデフォルトになっています。それぞれが希望する生き方や働き方を実現するためには、そのデフォルトを覆さないといけません。想像を超える労力が必要です。闘う敵が大きすぎます。

要するにチームわが家を創ることも、家族と対話することも、やりたくないわけではなくて、現実的に「できない」のです。それを講師の私から押し付けがましく勧められることで、余計に負担になってしまう。

風紀委員に言われることは正しいけれど、聞きたくないしやりたくないのと一緒です。「言われなくてもわかってるよ!」ということです。それがチームわが家の重苦しさになっているのです。

こんなふうに、数ヶ月の田端さんとの同期&非同期の対話と経て、このプロジェクトでは以下の二つの問いを考えてみることにしました。

問い直しのための二つの問い

一つ目の「そもそも子育ては重荷か?励みか?」という問いはある企業のセミナーの人事部長の方に言われたことでした。

「チームわが家はいいけれど、家族が重荷みたいにも聞こえますよね。それくらい頑張らないと仕事と家庭は両立できないというメッセージの発信にもなっている気がします。そもそも家族は重荷じゃなくて励みなんじゃないでしょうか」

言われた時は心がかなり揺さぶられましたが、その問いは今回の問い直しにピッタリだと思いました。

二つ目は、プロセスモデルの問い直しです。そもそも夫婦の「対話」は本当に必要なのか?対話はどうしてそんなに難しいのか?対話以外にも必要なことはないのか?そこにあるとらわれやこだわりは何か?
問い直すことで、家族の「詰まり」のようなものを解消できると思いました。

問い直すべき問いの設定ができ、一安心?というより、さて、どうやって問い直すのか、全く検討がつかず、なんだかずっと同じところをぐるぐる周回してしていて、ちっともどこにも進んでいない。そんな不安だらけ。

そしてその不安は的中したのでした。

イラスト画像:さのはるか @USANET