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チームわが家2.0 家族発達理論:共に育ち合う家族へ

チームわが家っていい!でも「子育てへの重荷感」や「家族との対話への難しさ」をめちゃくちゃ感じる。このジレンマをぐるぐると深掘りするチームわが家の問い直しの旅もいよいよ終盤です。

チームわが家2.0:理論的枠組み

さて、ここまでのぐるぐるで、絶対的信頼を置いていたチームわが家の土台である理論そのものが「重荷感」と「難しさ」を醸し出しているらしいことが判明。

そこで、これまでしがみついていた理論的枠組みを泣く泣く手放し、新たな泥沼でのさらなるぐるぐるを続けること数週間。

以下の3つの理論に辿り着き、改めてチームわが家を捉え直しました。

チームわが家2.0の理論的枠組み
家族発達理論
家族ストレス対処理論
家族レジリエンス(概念)

その結果がこちら!

ぐるぐるに疲れて無理やりポジティブにしたんじゃ??
いや決してそんなことはありません!以下、ご説明いたします。

家族発達理論とは?

先ほどご紹介した3つの理論。関係しあっていますが、今回は家族発達理論のみに焦点をあてて、チームわが家を眺めてみます。

家族発達理論
個人が育つように、家族も育つという考え方をベースに、親からの独立、結婚、出産、子どもの独立、死別などの家族の変化を家族としての成長・発達の過程と捉えます。個人に成長段階に応じた発達課題があるように、家族にもライフステージ特有の発達課題がありその課題を達成することで家族として成長するという考え方です。

森岡・望月, 1997; 鈴木・渡辺・佐藤, 2020

なんのこっちゃ?という話ですよね。具体的にみてみましょう。

例えば、結婚したばかりの新婚期の家族は、日々の営みの中でお互いへの理解を深め、家族としての信頼の土台を創っていくことが必要です。これが新婚期家族の発達課題です。対話や調整、場合によっては衝突を繰り返しながら、ちょうどいいわが家流の在り方や過ごし方が形作られ、この発達課題をクリア!一つの家族として成長します。

また、子どもが生まれたばかりの養育期の家族には、子どもが育つ環境を整え、それに合わせてライフスタイルを修正するという新たな課題が生まれます。同時に、個々においては親という新たな役割を引き受け、育児のために必要な新しいスキルを身につけたり、忍耐力や寛容さを獲得するという発達課題があります。ここでも対話や調整、衝突、試行錯誤を経て新たなわが家流を創ることで、発達課題をクリア!また一つ家族として成長します。

このように、家族としてのライフステージが変わると、新しい発達課題が生まれ、それをクリアすることで家族として成長していくわけです。同時に、家族の中における個人も共に成長し、結果的にチームとしての家族も成長します。

チームわが家1.0とチームわが家2.0の違い

この理論をベースにチームわが家を当てはめてみると、家族はもともと一つのチームであり、共に試行錯誤を繰り返しながらお互いに影響しあい、育ち合う。その過程そのものを「チームわが家」と捉えることができます。

チームわが家1.0では、仕事と生活の両立を支えるためにチームのあるべき姿を家族で設定し、そのチームを創ることがゴールでした。あるべき姿がそれぞれ違うので、そのすり合わせに難しさを感じる人続出!でした。
チームわが家2.0は直面する課題をクリアする過程そのものがチームわが家で、その先にありたい家族の姿があります。

つまり、チームわが家を目指すのではなく、
チームわが家であろうとするのがチームわが家2.0です。
日常の試行錯誤の中で自然とチームになっていくのがチームわが家2.0です。
家族の日常という物語の中で、場面ごとに課題を達成。個人としてもチームとしても少しずつ成長していく、まさに「チームわが家RPG」のようなイメージです。

家族発達理論:留意点

家族発達理論は結婚、出産、育児期、巣立ち期のように家族周期(ファミリー・ライフサイクル)で家族の発達段階を表します。しかし、近年多様な家族が増えている中で家族そのものの定義も曖昧です。

このように家族のあり方が多様になった今、家族のライフサイクルも画一的なものではなく、それぞれの家族が選択するものであると考え方が変わってきています。
個人の成長が一人一人違うように、家族の成長も家族ごとに違います。また成長の仕方も多様です。「わが家流」がチームわが家2.0ではさらに大切になります。

それでは、発達課題をクリアできなかった家族はどうなるのか?成長できないのか?という問いが生まれますが、これについては次回、書きたいと思います。

イラスト画像:さのはるか @USANET

参考文献:
阿川勇太・中山美由紀, 2020, 「出産家族における家族の発達課題に対する父親の取り組み」 家族看護学研究 第 25 巻 第 2 号: 189-200
Hill, Reuben 1958 Social stresses on the family. Social Casework
森岡清美・望月嵩, 1997,『新しい家族社会学(四訂版)』 培風館.
鈴木和子・渡辺裕子・佐藤律子, 2019, 『家族看護学- 理論と実践 第5版』 日本看護協会出版会.