政策につながる組織のミッションとして行えたからこそ、環境省の「選択と集中」プロジェクトは成功した / 第3回FRaU WFH* Meeting開催報告
2020年8月19日に、第3回FRaU WFH* Meetingが開催され、94名ほどの方にご参加いただきました。
このミーティングの名前のWFHですが、Work From Home、そしてWednesday Future Hub を表す「ダブリュー・エフ・エイチ」では読みにくいため、関龍彦FRaU編集長のご提案で、先週から呼び方が「うふふ」に変わりましたと石川さんからご案内があり、この日のミーティングがスタートしました。
環境省の選択と集中プロジェクトについて
前半の「新しい働き方の波」コーナーでは、小泉大臣主導のもと、気候危機時代における組織改革の一環として、環境省で実施された「選択と集中」プロジェクトにつき、同省の小倉圭司さんと山王さんからお話がありました。
この「選択と集中」プロジェクトでは、
①どのような選択によりリソースを生み出すか
②どの政策分野・事業に集中すべきか
③そのための基盤となる働き方・組織体制
の3つが検討されました。
小倉さん・山王さんがかかわられた働き方改革にでは、環境省はコロナ前には戻らないという観点から、
・テレワーク・時差出勤ルール改正により、だれでもテレワークができるようにしていく。
・Web会議活用をルール化し、会議のための出勤はしなくてもいいようにする。
・霞が関版20パーセントルールの導入で、業務時間の20パーセントを担当外の業務にかかわることができる。
・職員自らワーケーションを実施していく。これまでは自宅・実家に限定されていたが、ルール改正によりホテルなどでもテレワーク可能にする。
ということになったとのこと。
現在、大臣レクの電話・オンライン化、ペーパーレス化については、環境省と経済産業省がダントツで進んでいます。これは、小泉大臣が育休をとったことで、オンラインでの大臣レクが増えたことも一因だそうです。
環境省がなぜこのような成果を出せたのでしょうか。
小泉大臣のリーダーシップのもと、山王さん・小倉さんら若手が実際に動き出したところに、政策にかかわるミドル層の課長級も協力してくれたのが大きいと、山王さん。
このプロジェクトの根底には、環境省の政策がありました。
そのためにはどういう働き方をし、政策をとらないといけないのか。
それができなければ環境省の存在感がなくなってしまうと、課長級・係長級も加わって環境省全体で取り組んだのだそうです。小泉さんが言っているので、幹部もやらざるをえなかった面もありました、と山王さん。
また環境省ということで気候危機が原点にありますが、ちょうどレジ袋削減で新しい社会を作っていこうと動き出している環境省が、自分たちの働き方を変えられなくてどうするのかという雰囲気がありました、と小倉さん。
中央省庁には今、人が来ません。
20代・30代の若手がどんどんやめていきます。
どんなにいいことをやっていても楽しめないからやめていく。そこからいい政策は生まれない。そういった背景があったと、山王さんはおっしゃいました。他省庁への出向の経験や外部の方へのヒアリングをたくさんしている経験など、山王さんも小倉さんもほかの組織を見る経験をしてきていることも関係していました。そのなかで何よりも、環境省に小泉大臣が来たことが大きかったのです。この組織には変革が必要だと大臣が感じられたようで、問題意識を持っている若手を集めて、大臣と若手とのランチミーティングが3,4回開催されました。そうやって、小泉大臣のイニシアティブのもと、環境省を変えるためのプロジェクトとして始まり、その流れをコロナが加速させたのです、と山王さんはプロジェクトについて振り返られました。
環境省では、大臣とミドルのリーダーシップが大きかった。みんなの中にある強い想い、すなわちライフロングパッション(Life long passion)がここにもやはりあったんだな、と島田さんは感想を述べられました。
この環境省のプロジェクトがすごいなと思ったのは、ほかの省でできていないことができているということです、と総務省の箕浦さん。環境行政をよくするためにどうすればいいのかというアプローチがとれていました。政策につながる組織のミッションから考えてやることが出来ていました。ほかでこういったアプローチが出来ている省庁はまだないのではないか、と箕浦さんはお話しされました。
これは省庁だけでなく、民間も同じ。ただ単にもがいて終わってしまう例が多いことは残念に思っています。自分が何をもともと求めてこの仕事をやっているか。その何が満たされていないから辛いのか。それにしっかり向き合えているのが、今回発表いただいた環境省さんのレポート。こういった形で働き方に向き合っていくことが大切ですね、と箕浦さん。
このコーナーの締めくくりで、島田さんからはこんなお話がありました。
このFRaU WFH*(うふふ)に皆さんが入ってくださっていることが一つのリーダーシップといえます。こんな変化をおこしている。こんなことに疑問を感じていてこんなことをやっていきたいけど、どうだろうかということを、FRaU WFH*(うふふ)の参加者の皆さんがシェアできる場にしていけるといいですね。
日本のコロナ対策は成功している
次のコーナーは、コロナ時代の日本を考える視点から、千葉県浦安市で事業所を5箇所やっている、介護事業者(舞浜倶楽部 代表取締役社長で、スウェーデン出身のグスタフ・ストランデル(Gustav Strandell)さんがお話しくださいました。
グスタフさんは、ご自身の介護事業所で、厚生労働省のもと進めてきたコロナ対策を振り返る形で、日本のコロナ対策が現場でどう進められてきたかを説明されました。
2020年1月29日
厚労省から新型コロナウィルスについてのQ&A。
感染症対策マニュアル送付。
2020年1月31日
厚労省より注意事項と対策の指示。
2020年2月11日
介護事業者・舞浜倶楽部では、外部から面会者制限。
2020年4月8日
舞浜倶楽部入居者と従業員の初めてのPCR検査。
たとえばグスタフさんの母国スウェーデンでは、1月に中国からの帰国者がいたのにもかかわらず、外部からの面会者制限は4月から行っています。
スウェーデンは4月まで動かなかったことで、日本とは死亡率が違ってきています。日本のコロナウイルスによる死亡率は低いのです。
今日の時点では、
スウェーデン
人口:1000万人
死亡者5787名
スウェーデンでは、日本の64倍の人数の方が亡くなっています。アメリカでは日本の59倍の人数の方が亡くなっています。新型コロナウイルスによる日本での死亡率は低いのです。
日本は成功しているということをグスタフさんが書いた記事がこちらです。
日本の明るいニュースを海外に発信するJAPAN Forwardという
メディアで書きました。ツイッターやFacebookで結構反響がありました。
スウェーデンの新型コロナ対策についてもふれておきます。スウェーデンの新型コロナ対策には、政治家が入っていない点で、他国と違います。
スウェーデンでは、公衆衛生庁の専門家が政策を決めます。強制的なロックダウンはしませんでした。政府の要請と国民の自発的対応をお願いして、ロックダウンしていない点では、日本の場合と似ています。
スウェーデンと日本とで違っていたのは、保育園・小学校・中学校を閉めなかったことです。スウェーデンでは、特に医療看護はほぼ全員共働きであるため、休校措置がとられてしまいますと、共働きの医療・介護現場で働く従業員には負担となってしまうからという事情があったと思われます。
介護求人コミュニティーについて
https://www.facebook.com/groups/1437104299784183/?ref=share
介護求人コミュニティーはパートナーの公子が代表を務めており、介護業界の正しい情報を業界外に発信し、全日本人で人生の大先輩方に恩返していくことを目的とし、その先には業界の人材不足を解消すると言うミッションを掲げています。
グスタフさんのお話を聴いて関心のある方は、こちらのコミュニティもぜひのぞいてみてはいかがでしょうか。
関編集長の編集後記
「編集」とは編んで集めると書きますが、僕の感覚だと集めてから編みます。今日の二つのお話は関連性はあまりないかもしれませんが、今のFRaU WFH*(うふふ)は集めている段階です。今後もいろいろ集めていく中で見えてきて、あれとあれが関連性があるということが感じられるようになるのだなと思いました。と石川さんに突然ふられたにもかかわらず、関さんが即答でこの日のミーティングとこれからのミーティングについてまとめられました。「さすが」の一言しかありませんね。
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作成中の「うふふ」の動画に加えるシーンをみんなで撮って、この日は終了。
こんな動画が出来上がりました。
「うふふ」のコンセプトが伝わる動画になっておりますので、ぜひご覧ください。
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次回は明日8月26日です。
「ロンドンからみた日本の働き方」
総務省 白倉侑奈さん
「家こそ、最幸の職場」
ジョンソン&ジョンソン 栗原 大さん
お申し込みはこちらから。
このリンクで一度お申込みいただければ、次週以降についてのミーティングのご案内も毎週お送りしますので、ぜひご登録ください。
文:宮崎恵美子
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第0回(2020年7月29日レポート):WFH*については、こちらでご覧ください。
https://note.com/teamwaa/n/n22a021812f1d
WFH*の読み方は「うふふ」 / 第2回FRaU WFH* Meeting開催報告(2020年8月12日レポート)
https://note.com/teamwaa/n/n18a7a94ee6fc
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