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高校の進路 スポーツ強豪校へ行くべきかどうか

野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、陸上、テニス、柔道、剣道そのほかいろいろなスポーツがありますが、高校に進学する際、自分の好きなスポーツを続けたいと思うことでしょう。そんな時、そのスポーツの名門と言われる強豪校を目指すべきか、一般の高校で楽しむべきか考えてみたいと思います。

スポーツ強豪校のメリット

県内から、また全国からそのスポーツの優秀な選手が集まってきます。当然、練習のレベルが高くなります。小さな大会に出場するより、普段の部活動の時間の方が内容が充実するぐらいです。本来なら全国大会でしか戦えないような相手がいつもそばにいるわけですから、自然と練習内容もモチベーションも上がります。

向上意欲の高い選手が多いため、部活動の時間、また寮生活の時間、いかに強くなるかを真剣に考えます。逆に、いかに楽をしてサボろうかという選手は周りから浮いてしまいます。どんどん力を付けてくる選手がいれば刺激を受け、その練習メニューを教えてもらうこともできます。

団体競技として常に全国的にトップクラスの高校は、必ずいい指導者がいます。競技に対する指導はもちろん、普段の生活、感謝の気持ちを持つことの大切さ、人間力の向上に力を入れています。きっと強ければいいという考え方はバッサリ切り落とされます。高校の名前ではなく、いい指導者がいれば、その指導者の元に飛び込むのもいい選択です。

練習するための機材や設備が整っていることも大きな要素です。暗くなったらボールが見えないようでは練習になりません。また顧問の先生以外に元プロ選手や専門のコーチが指導に携わっている場合もあります。技術的な指導はもちろん、プロになるための心構えなど的確なアドバイスをもらえます。

補助が支給される場合もあります。これは私立高校に多いと思いますが、学費や寮費の免除、または補助金がある場合もあります。親御さんにとってはありがたいことです。

日本代表チームや大学、プロ選手への太いパイプがあります。大学やプロのスカウトの人が見にくることもあるでしょう。高校在学中、また卒業後、そのスポーツを続けていく上で、さまざまな選択肢を示してくれるのは大きな強みです。試合に出れなくても、進路の面で優遇される可能性があります。

勝ち方を知ることができます。トップになるためには、何を考え、どのように練習し、どう取り組んでいるか、それが実感できます。長い目でみて、もし自分が指導者になった時にとてつもなく貴重な経験になります。今、自分のチームに何が足りないのか、たとえスポーツの種類が変わっても応用が効きます。


スポーツ強豪校のデメリット

何しろ、レギュラー獲得が難しいです。レギュラー枠の10倍以上の部員が在籍する部も多くあるでしょう。中学の剣道で県のナンバーワン選手が、全国トップの高校に進学し、3年間レギュラーを獲得できなかったという話もあります。それぐらい覚悟しなければなりません。

また高校3年間、自転車競技でインターハイや選抜など大きな大会に一度も出場できなかった選手が、高校3年の秋に日本競輪選手養成所一次試験に一発合格しています。しかも試験の3週間前、練習中に鎖骨を骨折していました。これは色々な意味でとんでもなくすごいことです。普通、プロに合格するような選手は、高校では数々の優勝を重ね、全国的に超トップクラスのはずです。そんな選手がレギュラーを獲得できないほど、選手層が厚くなる場合もあります。因みにその年、その高校3年生からは養成所一次試験4人が合格しています。デメリットのところに書きましたが、メリットとして捉えてもいいと思います。意識の高い周りの選手に影響され、レギュラー落ちしても腐らず、常に前を向き、努力を重ね、精神的にも成長を遂げた結果だと思います。

他には、寮生活のところが多いです。両親に甘えた環境ではいられなくなります。今まで自分の部屋があったかもしれませんが、集団生活に変わり、2人部屋や4人部屋になります。洗濯や掃除も自分でしなければなりません。


一般校のメリット

試合に出場できる可能性が高くなります。実力があれば、1年生からレギュラーになれることもあるでしょう。試合に出ることで、そのスポーツがさらに楽しくなり、練習にも熱が入ります。

個人競技の場合、自分でコーチやスポーツ団体を見つけて、レッスンを受けたり試合に出場したり自由度が高まります。一人で黙々と目標に向かって努力できる人なら適していると思います。

サッカーは高校の部に所属せず、Jリーグなどのユースクラブで活動する選手がいます。自転車ロードレースの場合も、一人で部活を立ち上げる選手がいたり、高校の部活に所属せず自らチームを探し実業団や海外で活動している選手もいます。どんなスポーツも強豪校の部活に所属しなくても、強い気持ちがあれば道は開けてくるはずです。そして無名の高校で全国的に活躍することができれば目立つことができ、メディアに取り上げられる可能性もあります。

実力がある選手でしたら、自分でチーム全体の士気をあげ、レベルを上げて行くことも可能です。さまざまな障害が出てくるはずが、そこに楽しさを見出せる人ならやってみるといろいろな経験ができると思います。社会に出てもその経験が生かされるでしょう。

スポーツがメインでないため、あらゆることに興味が持てます。興味のある分野の勉強をしたり、趣味を広げたり、バイトだってできるかも知れません。色々な可能性があります。

一般校のデメリット

団体で全国大会出場や全国大会優勝は非常にハードルが高くなります。一緒に高い目標に向かって切磋琢磨できる仲間が少ないからです。せっかくあなたがいいチームにしようと努力しても足を引っ張る選手が現れやすいです。「そんな練習して意味あるの?」「用事があるから帰る」とか、そんな選手がいるとどうしてもモチベーションの維持が難しくなります。

指導者がいない、部員が少ないということもあります。練習相手がいた方がやる気が出るのは当然です。チームが組めなければ試合にも出れません。自由にやりたい時にやりたいだけ練習するのであればそれでいいのですが、試合で勝つことは難しくなります。

決めるのは本人

強豪校といっても、いろいろあります。超本気なら全国規模の強豪校、本気なら県のナンバー1の高校、やる気なら市のナンバー1の高校といった感じでしょうか。技術的にも精神的にも強くなりたいなら、名門といわれる強豪校に入学することが近道だと思います。全国優勝を目指せば必ずそこには感動があります。名門大学やプロの道が開けてくる可能性もあります。

ただ、それは近道なだけであって、遠回りしたっていい、自由に楽しくスポーツを続けたいなら、高校生活全てを投じるより、一般校のほうがお勧めです。案外、高校で楽しさを知ると、卒業しても長く競技を続けられる場合があります。逆に高校で出し切ってしまうと後が続かない可能性もありますが、それはそれでダメなわけではありません。そのスポーツ以外の道は無限にあります。自分自身が気づいていなかった新たな可能性を探すのも楽しいものです。どちらがいい悪いではなく、自分に合った選択を自分で決めるのが一番です。仮に選択が間違ったとしても、それも勉強です。

どちらを選ぶにせよ、「両親に言われたから」「先生に言われたから」そんな理由で選ぶと、きっと後悔します。人生で大きな決断をするタイミングはそう多くはありません。中学3年生にとって最初の決断になるかもしれません。両親を説得するのもこれから社会へ出ていくための勉強です。進路を人に選んでもらうと、きつい練習の時や精神的に追い込まれた時挫折しやすくなります。「やっぱり自分が行きたい高校を選ぶべきだった」ということになりかねません。オープンスクールに行って、学校や部活動の雰囲気を肌で感じ、顧問の先生に素直に質問したり、在校生や卒業生の話を聞くのも大切なことです。

スポーツが好きな生徒のみなさんが、充実した高校生活が送れることを祈っています。


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