晴れ時々雨#1

朝起きて、みちはテレビをつける。

「今日の天気は晴れ時々雨です。真夏日が続きますが、熱中症対策に…」

いつもの様に朝の天気予報を見ながら、魚焼きグリルに食パンを突っ込む。コンロの上では、小さなフライパンを温め始め、小さく切ったバターを冷蔵庫から取り出したら卵をフライパンに割り入れる。

「時々が1番困るんだよなー。」

卵を焼く音と換気扇の音だけが響く部屋で呟く。ここ最近のゲリラ豪雨は本当に厄介だ。折り畳み傘を持っていっても腰から下はびしょ濡れで役に立たない事が多いし、普通の傘を持ち歩いても降らない。大きな鞄を持ち歩くのもみちの中でのおしゃれの合格ラインに引っかかる。

「今日は、合コンがあるのに…」

独り言を言いながら、できあがった朝食を木製のプレートに綺麗に盛り付けた。バターは塗らずにトーストの上に置き写真を撮った。その後、バターを潰しながら塗って目玉焼きをトーストに乗せ、醤油をかけて大口で頬張った。そのまま携帯を見る。

「この写真、加工しすぎ。私でも加工したらこんくらいかわいい」

友達のSNSに文句をつけながらハートマークを押して、絶賛するコメントを送る。そして、自分が投稿した昨晩の夕食についてのコメントを確認する。昨晩のメニューは高めのレトルトカレーだったが、自分で作ったと投稿した。「作り方教えて」というコメントに「いつも適当に作ってるから教えるほどのものじゃないよ♡」と適当に送る。

SNSを始めてからはいわゆる【映え】だけを意識して生活している。ハートの後ろに続く数字たちに今日の自分の気分を委ねる。多ければ気分は軽くなって、少なければその日1日は【映え】探しをいつも以上に頑張る。

今朝の気分はまぁまぁいい。夜の合コンに向けて、服を決めてまた写真を撮る。食器をシンクに投げ込む。

お気に入りのミュールを履いて、玄関をでた。

つづく