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定年後の生きがい、”働く”ということ

【福島お話会2023.10.22】


65歳以降も仕事をしたいのですが、仕事先があるか心配です

 今、おいくつなんですか?

ー61歳です。

 若いですね。おいくつまで働きたいんですか?

ー働いちゃダメっていうぐらいまで働きたいです。

 拍手ですね。僕も介護をやっているからわかりますけど、老後っていう言葉が大嫌いと言うか、それをなくしたくて、生涯現役でピンピンコロリっていうのが、動物としての真っ当な生き方だと思うので。
 特に男性は、生きがい・やりがいっていうのは仕事と直結しますから、非常に重要ですね。深いテーマになりそうなので頑張っていきます。真剣に答えますので。今どんな仕事されているんですか?

ー私は新幹線の電気を確保する仕事をしています。設備、安全に走らせるための仕事です。

 立派な技術職というか、職人さんのお仕事ですよね。そんないきなりバイトくんに、マニュアルを渡してできる仕事ではないですよね。このお仕事は65歳で終わっちゃうんですか?

ーそうですね。今、もう再雇用になってしまったので。それはもう会社の方で再雇用で働いてくださいっていうお言葉をいただいたので、そのまま続いてるんですけど。

 それが65歳で絶対終わりなんですか?

ー年金がもらえるのがもう65歳っていうことなので。

 年金もらえるんだったらもう働かなくていいでしょっていうことですね。でも、本人は働きたい。

ーそうですね。

 もう、皆さん拍手してください。うちの親父に聞かしてやりたいです。いや~ちょっとワクワクしますね。
 この仕事は何歳からされているんですか。

ー19歳からです。

 ということは、42年間!ちょっと生まれていない人が多いですよ。個人的な質問なんですけど、ずっと同じ仕事なんですか?

ー新幹線が走ったのが昭和56年で、入社した19歳の年で、新幹線の設備ができる前だったので、在来線を約1年半ぐらい経験しました。そこから新幹線に行ったり在来線に行ったりっていうことで、同じ電力の中で色々な仕事をしました。

 尊敬ですね。笑っている奥様に聞いてみましょう。なんで笑ったんですか(笑)

ー奥様:すごいなと思って(笑)

 娘さんとしてはどう?お父さんどう思います?

ー娘さん:すごいなと思います。

 すごいよね、すごい。61歳、いや~、かっこいいですね。シンプルにかっこいいし、働けるまで働きたいんですもんね。すご過ぎて…言葉が出ないですね。
 何かやりがいとか、僕は飽き性なんですけど、飽きるとかそういうのはないですか?

ーないです。

 即答ですね。楽しさを伝えてもらっていいですか。

ー自分が入社した時は「自分で仕事を覚えなさい」という時代だったので、それに対して自分たち世代が一生懸命頑張ってきました。でも、うちの社名が変わった途端に、自分の子どもより年下の方とも仕事をして、逆にその若い人たちと接することで共存っていうのがあって、お互い助け合える。だから、私たちは昔の力で仕事を教えるけど、AIに対しては若い人たちが教えてくれたり、お互いがお互いを尊重し合えているので、すごくいい関係かなと思いますね。

 このお仕事をしている時に、1番やりがい・幸せだなって感じる瞬間ってどんな時ですか?

若い世代との交流で感じていること

ーまず、安全は1番のことですけど、災害時にお互いが何も言わなくてもお互いを助け合う。そういう環境が今私の職場でできていて。特に今の若い子って、私みたいな高齢者と喋るのは嫌なことが多いと思うんですよ。でも、喋るようになって、お互いの信頼関係ができてきて、楽しさがあって、困ると助けてくれて。なので、その仕事が例えば65歳で終わっても、自分もまたそういう風に社会に携わって皆と楽しくできたらいいなと思っていて。

 拍手!何回も拍手だよ。また質問なんですけど、特に“若い人”と接することの学び・刺激・経験が楽しいですか?別に同世代でもそういうことはありますか?

ーあります。でも1番はやっぱり今の若い子は、親と話す機会より職場の私たちと喋る機会の方が多いみたいなので、以前は皆バラバラで離れてご飯を食べていたんですけど、今は同じ場所で一緒に食べて、それで会話ができるようになったんです。

 シンプルに架け橋ですね。あなたがシニアと若者を繋ぐ架け橋のような気がしますね。そのためにお食事を作られているんですか?

ー作っています。あの、奥さんが作ってくれる野菜をいただいて。

ー奥様:私が畑で作ったものを職場に持っていって。

ー朝一番でご飯を作っています。昔から言うように、大根だったら葉っぱから皮から全部使って料理を作ってあげる。なんか若い子ってそういう感動がすごく嬉しいみたいで。

 最高ですね。そういうことなんですよ。先ほどちょうど参加者Cさんとその話をしていたんですよ。まさにそういうのをやってほしいって言っていたんです。参加者Cさんもされているんですが、今のところそれが家族にだけなんですよ。

ー参加者Cさん:そうなんですよ。家族以外には広がっていません。

 旦那さんと娘さんが大好きなんですよね。でも、すごいですよね。職場の方に与えていくっていう。
 皆さんも、この質問からだいぶ実態は違うなっていうのは感じませんでしたか?ピンと来ている?
 一見、仕事あるなし、経済的に大丈夫かなみたいな捉え方になりませんか?でも話を聞いたら全然違うっていうことです。自分の“やりがい”・“生きがい”がこれで終わっちゃうのかっていう悲しみの方が伝わってきます。

ーそうです。

自分の“やりがい”・“生きがい”としての仕事が終わってしまうということ

 ですよね。ぶっちゃけ年金もあるし、これだけ働いていらっしゃったらお金はあるはずです(笑)この世代、東北の方はめっちゃ貯めてます(笑)経済的な問題は僕らは心配しないでおきましょう。若者の方が貧乏なんで頑張りましょうね。
 仕事にプライドをもって、人生の全てだと言い切れるぐらいに楽しんで没頭し切ったものが、制度上強制的に壊れてしまうっていう経験ですよね。過去にそういう経験ってありましたか?

ーありました。民営化があったので、その時にやっぱり悩みました。辞めて違うとこに行くか、残るか。どっちにしても、もう苦労は間違いなかったんですけど。
 それで、その時に決めたのは、ちょうど今の奥さんとまだ付き合い始めた頃で、じゃあ、守るんなら残ろうと思って残りました。

 拍手!この話を聞くために今日来たと思います…!じゃないと娘さん生まれていなかったよ?

ー娘さん:そうですね。

 ということは、お金をもらわなくてもこういうことがしたい感じですか?

ーそうです。

 …もう答え出てませんか?

ー今もお金をとらない時もあるし、最低限しかとっていないです。

”ライスワーク”から”ライフワーク”へ

 なるほど。お金を稼ぐための作業的な仕事はもちろんたくさんありますよね。なんでもできると思いますけど、このご縁というか、この空間、ここでの若者との循環・交流は、お金じゃないですね。幸せって。これはちょっと臭い言葉で言うとね、“魂の交流”ぐらいの感じありません?それが“ライフワーク”です。要は“使命”ですね。
 若い時仕事を頑張りました、そしてAIが急速に入ってきた、 自分たちのやり方が通用しなくなってきた。そこで若者の力を借りる。「あ、こういう世界があるんだ」。そして、今の若者って親との交流もないし、本当に野菜をここまで丁寧に扱って食べる料理を経験していないんだ。それを与えることですごくたくさんの楽しさとか笑顔がやってくる。そういう“魂の交流”が“使命”という風にあなたの中で思われているんじゃないかなと思うんですよね。その使命を取り上げられたら、それはしんどいし辛いし、おそらくこれ以上の仕事っていうのはないと思うんですよね。

 なので、仕事・働くっていうより、こういうことを65歳を超えてもボランティアでもいいからやっていいかと職場に申し出てやっていくっていう方がいいんじゃないでしょうかね。 新たな仕事を探すというよりも、お金とかじゃなくて、本当にやりたいことで使命なので。
 先程も言いました、本気のメッセージです。「僕は19歳から本当に働きました。 人生を捧げています。その私がやりたいことってこれだったんです。それを教えてくれたのは、この職場であり、仲間であり、会社であり、若者です。今、若者にこういうことが必要なので、これをずっと続けていきたい」っていう本気のメッセージを伝えることができると思いますし、できたとしたら、65歳以上になってもやっていいよって言われたら、どんな気持ちですか?

ーやりたいです。

 いや、すごい。 今働いてる時と、お金はもらえないけどやっている時の気持ちって変化ありますか?

ーもう私が決めたことで、私がやりたくてやっているから、気持ちは変わらないです。

 ってことは、この質問はなぜ出てきたんですか?

ー私も一応65歳以降も働けるために仕事を探そうとは思っていますから、やっぱり縄文の話の中で「皆に分け与える」というコンセプトの中で、私が今後できることは何にしようかなって探していたんです。

 シンプルに言うと、縄文は好き・得意なことをやってください。好き・得意を提供しているだけでいいです。それが答えだと思います。今されているってことですもんね。それを死ぬまでやったらいいと思います。

ー ありがとうございます。
 
 めちゃくちゃ深い。質問だけ見ると老後までどうやって稼いだらいいのかなという感じに捉えがちですけど、全然そんなことじゃないですよね。すごい。

 皆さん応援したくなりますよね。こんな素敵な環境で、素敵な志で、使命だと思います。
 よく言う“ライスワーク”=米の仕事、要は生活していくためにご飯を食べるための仕事。始めはそうだったかもしれないですね。奥さんと付き合いたてで仕事どうするか。子どもができた、どうしていこう、というライスワークから、いつしかライフワークに変わった瞬間があるんだなと。すごい幸せな人生ですよね。
 目の前のことを一生懸命やっていたら、実はそれがライフワークだった。迷って色々転々する人もいる中で、やり続けていたらライフワークに出会って、お金とかじゃないんですよ、と。
 ずっと働けるまで働きたい。“働く”っていう考え方・概念が我々とは違うんです。本当に魂の交流がしたいんだっていう。そして、縄文という素晴らしい考えに出会って、自分ができることはなんだろうっていう風に思われて行動されているのは、本当に素晴らしいことですし、前日まで高熱を出されて、その中で今日頑張って来られて、本当に素晴らしい。
 逆に、我々が学んだ気がしませんか? ぜひ、このまま突っ走っていただいて。僕もまた福島に来て、あなたのご飯を食べたいなって思いますね。縄文ファミリーなので、そういうのはやりたいですね。僕のお話会もいいけど、料理を作って食べるのもやっていきたいなというライフワークができました。

ーありがとうございました。65歳からも“ライフワーク”を楽しみたいと思います。

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