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「コロナに負けるな」元甲子園球児の熱い思い あの動画ができるまで

こんにちは。山口史朗です。僕が昨年4月29日、Twitterで公開した動画をご存じの方もいらっしゃるかと思います。ただの記者の自分が企画したものが、100万回も近く再生されました。コロナで初めての緊急事態宣言。「危機感」の中で思いついた企画でした。

まさに緊急事態宣言が出た昨年4月7日のことでした。

私は神宮球場近くの、JOC(日本オリンピック委員会)が入るビルにいました。午前中に取材を済ませ、一息ついてインスタを開くと、中部学院大の廣部就平選手(秀岳館)のストーリーが目にとまりました。

中部学院大も全体練習ができず、自主練の送っていたように記憶しています。廣部選手はプロが目標。立ち止まっているわけにはいきません。1人でもバットを振り、ボールを投げ、マシンを打っていました。

廣部選手のひたむきさに感心をしつつ、でも、野球は一人でやるもんでもないよな、と思いました。

プロ野球の開幕は延期になり、開幕の見通しが立っていませんでした。1カ月前には、春の選抜高校野球大会が中止に。夏もどうなるか分からない状況でした。

おれってこのまま、ぼーっとしてていいのかな。

ふと、思いました。自分を育ててくれた野球。甲子園には行けなかったけど、大学まで続けた野球は間違いなく自分を育ててくれました。野球には「喜怒哀楽」のすべてが詰まっている。一方であるときはその感情を押し殺しつつ冷静なプレーに徹しないといけない。野球は人生の縮図のようなスポーツです。

その野球を奪われようとしている高校生たちがいる。なにができるわけでもないけど、何かしないといけない。思いついたのが、プロ野球選手が動画上でファンと一つのボールをつないでいく、キャッチボール企画でした。

これを元甲子園球児でやりたい。

プロとかじゃなくていい。今の高校球児が身近で憧れていた、廣部選手のような先輩たちで作りたい。と。すぐに廣部選手と慶応大の福井章吾選手にLINEを入れました。

「元甲子園球児で動画企画やろうと思うけど、出演してくれる」

2人とも快諾でした。企画はここからスタートしました。

私は動画の編集ができません。センスあふれる同期の山本哲也くんに電話をしました。「たぶん、その編集は簡単。できるよ」。てっちゃん、ありがとう。すぐに動画集めるわ。

国学院大の福永奨選手(横浜)、大阪ガスの田中誠也投手(大阪桐蔭)、法大の三浦銀二投手(福岡大大濠)、近大の坂下翔馬選手(智弁学園)、龍谷大平安で主将だった河合泰聖……

思いつくままに連絡をし、大学や野球部のマネージャーに許可を得て、スマホで撮影して送ってもらうように依頼しました。高校野球担当を一緒にやった後輩の小俣勇貴にも手伝ってもらいました。

2週間で約20人の動画が集まりました。最後に、個人的にもつながりがある、 Swish! さんにマイペースの楽曲提供をお願いし、これも快諾していただき、てっちゃんに編集してもらいました。

動画の反響は先に書いた通りでした。すべての元甲子園球児たちが、思いを同じにしてくれました。自分たちだって、大好きな野球ができずにもどかしい中なのに・・・本当に感謝してもしきれませんでした。

あれから1年がたちます。今もコロナは不透明です。まともに部活ができていない地域もあると聞きます。春の東北大会は中止に。緊急事態宣言も延び、夏の大会がどんな形になるかも先行きが見えません。

野球はいいもんです。喜怒哀楽。時に喜び、時に怒り、時に哀しみ、、、でも、いつも楽しい。辛い練習も終わって振り返れば楽しかった思い出でしょう。1日も早くあの「楽しみ」が戻ってくることを祈っています。

コロナに負けるな。

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