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5月NFIB中小企業楽観指数

5月のNFIB中小企業楽観指数は4月から0.1ポイント低下して93.1となり、市場予想の93.0をわずかに上回りました。
中小企業経営者は、売上の鈍化に加え、投入コストや報酬コストの上昇の圧力を受け、利益率は圧迫されています。
経営者は経済の先行きと営業利益率に依然として懸念を抱いていますが、従業員の増員を計画している企業は増加しており、現在求人需要があると回答した企業も過去最多となりました。また、在庫が低すぎると回答した企業の割合も増加しています。

全米独立企業連盟(NFIB)の中小企業楽観指数は、経済の状況をタイムリーに読み取ることができます。
5月の楽観指数は4月から0.1ポイント低下し、今年に入ってからは低下傾向にあり、過去48年間の平均値である98を毎月下回っていますが、現在の93.1という数値は、緩やかな経済成長と一致しています。

全体の指数は比較的良好に推移しているものの、企業経営者は景気の先行きについて弱気になっています。
今後6ヶ月間の景気回復を予想する経営者の割合は、前月の-50%から-54%に減少し、この調査の48年の歴史の中で最低の水準となりました。

経営者が最も懸念しているのは、投入コストが急速に上昇し、有能な労働者の確保が困難な状況下で、利益率を維持できるかどうかということです。
また、金利が大幅に上昇するという見通しも、経営者の多くが短期金利に連動するクレジットラインに依存しているため、重荷になっています。
過去3ヵ月間に収益が増加したと回答した経営者の割合は、5月に7ポイント減少し、24%減となりました。
減益の主因としてコスト増を挙げる経営者の割合は、過去2年間で3倍以上の20%に達しています。

NFIB中小企業楽観指数は、インフレが予想より一過性のものでないと初期に警告した指標のひとつでした。
NFIBのデータによると、インフレは改善する前に悪化する可能性が高いことが示唆されています。
平均販売価格を引き上げた企業の割合は5月に2ポイント上昇し72となり、3月に記録した過去最高値に並んびました。このデータシリーズは3ヶ月移動平均で表示され、コアCPIの変動を3ヶ月程度リードする傾向があります。
NFIBは、卸売業、製造業、小売業、建設業で最も頻繁に値上げが行われたと指摘しています。ディーゼル価格の高騰と賃金の上昇に伴う輸送コストの上昇は、全体的なコスト上昇の大きな要因となっており、これまでのところ、企業はこれらのコストを消費者に転嫁することが可能でした。
しかし、経済成長の鈍化に伴い、こうしたコスト増の転嫁はより困難となり、利益率がさらに圧迫されることになります。

利益率の低下が、報酬を引き上げる企業の割合が頭打ちに見える理由の一つであり、5月に報酬を引き上げた企業の割合は3ポイント減の46%となりましたが、依然として非常に高い水準にあります。

また、NFIB中小企業楽観指数は、雇用の力強い回復を示す最も早い段階の指標の一つでもあります。
5月の雇用統計の直前に別途発表された最新データは、5月の雇用者数もコンセンサスを上回ることを示唆するものでした。今後3ヶ月間に増員を計画している中小企業の純増率は、5月に6ポイント上昇し26となり、今年の最高値に並びました。さらに、51%の中小企業経営者が、埋められない求人があると回答し、前月から4ポイント上昇し、この統計調査における史上最高値に並んでいます。

現在の募集水準は、過去の調査平均を20ポイント上回っており、建設業、製造業、小売業、卸売業は、求人数を満たすのが最も困難な状況です。

異常に高い求人倍率は、ソフトランディングを目指すFRBにとって多くの課題を提起しています。
ソフトランディングへの道筋は、通常、経済成長率が長期的な潜在成長率である約2%を下回るところまで短期金利を引き上げる必要があります。
このペースでは、毎月の雇用を増やすには十分な経済成長ですが、失業率の上昇を抑えるには力不足です。求人数が失業者数を簡単に上回ったため、FRBがソフトランディングを目指すのは、より長く、より捉えどころのないものになるかもしれません。

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