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エピソード0 -どうして彼は教師になったか-

トップ画は、メイプル楓さん。


高校3年生の春のある日

工業高校生だった彼は部活動にのめり込んだ。
というよりも他にのめり込めるものがなかったと言っていい。

高校3年生の春休み。
いつものように部活動に打ち込んでいた。
彼は、陸上競技部で400mの選手だった。そしてキャプテン。

グラウンドでボーっとしていると担任の先生が呼んでいた。
「何事?」
普段はグラウンドにいても話しかけられることがない担任の登場に驚きつつ、向かう。
「練習終わったら、準備室に来て」
準備室とは職員室のようなもので、工業高校にはよくある学科ごとの職員室だ。
「わかりました」
素っ気ない挨拶を交わすと、再び練習に戻った。

-練習後、電子科準備室にて
丁寧なノックの後
「失礼します。3年生電子科のKです。太田先生はいらっしゃいますか。」
「おー。練習早かったな。」
「まぁ、普通です。」
「話ってのが、お前が希望していたA社。今年求人出さないらしい。」
「えーっ、ホンマですか?」
「そうなんよ。進路、どうするか考えておいて」
「わかりました。失礼しました。」

彼が行きたかった会社は、電気機器メーカーで当時は携帯電話も製造していたが、後に撤退。
今思えば、就職しなくてよかったかも…。
Kはそう回顧している。

進路面談

進路面談の日。
Kは、第一希望~第三希望の大学を決めて臨んだ。

第一希望は、九州地方にある大学。
いわゆる偏差値は低いが、教員の排出数は多い大学。
希望は電子工学科。
好きな通信の勉強ができるのがいい。

第二希望も、九州地方にある大学。
第一希望よりレベルは上位。
数学の免許が取れるので希望。

第三希望は、近畿地方にある大学。
実は、自分の希望ではない…。

担任の先生から「滑り止めは?」と聞かれ、
「調理師になれる専門学校」と即答した。

担任は驚いたが、大学に合格できるだろうと同意した。
もちろん同席した母親も同意。
母親は「調理師でも稼げるしね」だった。

かくして、大学受験することになったK。
合格したが、受検に関するエピソードは、また今度。

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