最近の若者は給料より休みでしょ?
こんにちは。
TEAM FORWARDの竹田です。
ありがたいことに、
時々「竹田さんのnote見ましたよ」と言って頂ける方がいらっしゃいます。
その度に胸がチクリとしていたのですが、
3ヵ月も放置してすみませんでした!
たぶん5つくらい書こうと思っていたテーマがあったのですが、
どれ一つ書かないまま、気づけば季節は夏になっていました。
採用支援をしていると時々出てくるのが
「最近の若者は給料より休みなんでしょ?」
というフレーズ。
今日はこの一言について、思うことをつらつらと書いてみます。
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本記事は、静岡県内での採用を前提としています
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経験者採用は、スキルマッチングの度合いや企業側の求めるミッションなどによっても異なり、個別性が高い為、
若手×未経験者採用についてお伝えします。
世の中の多くの求人票は「月給◎◎万円~◎◎万円」のようにある程度の幅がある給与表記になっています。
それは、採用する方の能力や経験、年齢など様々な要素によって変動することが理由ですが、よほどの自信家でない限り、上限の給与をもらえる前提で応募する人はいないでしょう。
実際、給与表記の上限を上げたから応募者が増えるケースは少なく、応募数に影響するのは下限年収です。
ここで、若手×未経験採用において
分水嶺となる2つの年収をお伝えします。
それは「350万円」と「400万円」です。
下限年収がこの2つのラインを超えると応募の質・量の変化を体感することが多いです。
350万円の壁
年間賞与を2ヵ月と仮定すると、年収350万円の月給は以下のとおり。
350万円÷14=25万円。
総支給25万円の手取りは20万円弱です。
もちろん人によって考え方が違うのは前提ですが、
これは“一人暮らしが出来る”水準なのだと思います。
静岡県の1R~1DKの家賃平均は5.3万円(大和リビング調べ)。
ちなみに、静岡市葵区では6.7万円、結構高いですね。
ここに水道光熱費、食費などの生活費が上乗せされると、自由に使えるお金は大して残らないのではないでしょうか。
「350万円の壁」は「一人暮らしの壁」と置き換えて良いでしょう。このラインを切ると、現実的な採用ターゲットが実家暮らしの人のみになってくるので、単純な母数が減ります。
400万円の壁
350万円が一人暮らしの壁だとすると、
400万円は家庭の壁であると言えます。
中途採用市場で最も採用競争が激しいのは30歳前後。
プライベートでは、
家庭を持ったり、家庭を持つ生活を視野に入れる方が多くなる年代です。
またシュミレーションをしてみましょう。
ご本人(年収400万円の正社員)+配偶者(扶養内のパート)+お子さん1人
こんなパターンを想定してみます。
年収400万円÷14=約28.5万円
月給28.5万円の手取り額=22~23万円程度。
配偶者の年収が100万円程度とすると月の手取りは9万円ほど。
合計すると、
世帯での手取りは月31~32万円程度。
静岡県の2LDK~3DK平均家賃は7.7万円。
この数字だけを見ると多少余裕があるように見えるかもしれませんが、
保険や貯蓄、ファミリーカーを買えば自動車ローンなど、単身の頃より固定費も上がる傾向にあります。
実際にまだ家庭を持っていないとしても、周囲の話などを聞いていれば、転職という大きな転機ではこの程度のざっくりしたシュミレーションはするのではないでしょうか。
結論、
「最近の若者は給料より休み」はあながち間違っていないものの、
生活防衛ラインへの危機感は強い。
が実態だと思います。
年収300万円台の月1万、2万はすごく大きいですし、賞与があるといっても毎月赤字は怖いものです。
そんな思いをしてまで転職したいか、と自問すれば、応募に至らないのも個人的には納得。
このあたりは、ハーズバーグの二要因理論に当てはめて考えると分かりやすいです。
【ハーズバーグの二要因理論】
詳細は別記事に譲りますが、「せっかく頑張って休日数増やしたのに、社員が全然嬉しそうじゃないんだけど…」という経営者の方のお話も実はよく聞くところ。
衛生要因の向上は、採用出来ない理由の排除や退職予防にはなりますが、人材採用や活躍という結果が見えるところまで到達する為には、動機づけもセットでないと難しいのです。だからといって動機づけオンリーでは転職希望者にとってそもそも候補企業に入りません。あくまで土台作り…(と自分で書いておきながら、本当に採用は難しくなったなぁと再認識)
なぜ、気づけないのか?
こんなにざっくりしたシュミレーションをするだけでも分かることに、なぜなかなか気づけないのか?
それは、採用活動を行う際に提示する給与の決定権を持っているのは経営者、もしくは、幹部クラスの方であり、ご自身が300万円、400万円という年収帯を大きく超えていることがほとんどだからだと思います。
「お金」が「数字」に見えた途端に見えなくなるものがあります。
本記事のテーマからは少し脱線してしまいますが、
収入だけでなく、採用ターゲットに関すること全般に同じことが言えます。
私自身もよくやるのですが、
採用ターゲットに近い友人、知人、家族などに
「この会社に転職したいと思う?」
「この求人票、どう見える?」
と聞いてみると、なるほど!と膝を打つことばかりです。
厳密なインタビュー調査とは言えませんが、
3~4人も聞けば、何がずれているのかは概ね捉えられることが多いです。
有料でインタビューを受けてくれる人を探すサービスもあります。
ボトルネックを見つけるのは意外と難しい
採用担当専任でもない限り、
日々競合研究をしたり、労働市場の動向を調査したり…
という時間はとても取れない、という方が大半でしょう。
今回は年収について記事を書きましたが、
ボトルネック=採用出来ない本質的な理由、を見つけるのはなかなか難しいものです。
情報収集が難しいことに加え、
採用担当も人ですので、自分の価値観に偏った観点で採用課題を捉えてしまいがちだったりします。
そして、誤った課題を突き詰めていくと時間とコストばかりが掛かっていきます…。
「なんでうちの会社は採用できないの?」が見えなくなったら、
いや、見えなくなる前に、
毎日、大量の求人と職務経歴書を見ている竹田を呼んでください。
大抵の場合、1時間あれば大枠で仮説は立てられますし、
その作業が大好きなので、尻尾を振っていきます。笑
そこからさらに精度を上げるとなると時間が掛かりますが、
少なくともベクトルを間違えないくらいのことはお伝えできます。
今回もお読み頂き、ありがとうございました。