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「もどき」から始まる一歩。

自分の身に降りかかった昨年の出来事などを伝えるため、今年の5月から「小説もどき」と題した連載型の長文メールを遠方で暮らす友人にあてて書き始めた。

最初は3回くらいで終わるかと思っていたものが、現在も続いていて第18回にまで及んでいるから笑える(笑えない)。

自己の体験とはいえ、行き当たりばったりで書き続けているからこんなことになるのだけど、そもそもの見通しが引くほど甘いのが諸悪の根源。
年内で完結すべく、仕事の合間に(というかもはや内職として)執筆・推敲している日々だ。

週1回、もしくは2週に1回のペースでの連載。
1回あたりどれくらい書いているのか調べてみると、平均して5,000字弱。それが現時点で18回なので合計90,000字くらい。400字詰め原稿用紙に換算すると200枚を優に超える。なんてこった(しかも、あと数回続く)。

書く方も書く方なら、読む方も読む方な根気の良さ。

いや、友人には本当に頭が下がる。
拙く、長いだけが取り柄のほぼ嫌がらせのような実験的な文章を読んでくれるだけでなく、毎回、作者心をくすぐるちょっとした感想まで送ってくれるのだ。いい人が過ぎる。

そんな優しい読者の存在に後押しされ、私は一つの決断をした。

「小説もどき」ではなく、「小説」を書いてみよう。

小説もどきを書くずいぶんと前から、この友人は私の言葉の紡ぎ方が好きだと言ってくれていた。
「小説を書いてみればいいのに」と言われたこともあった。
そして、小説もどきを書き始めると、「脚本を書いてみても面白そう」なんて言いだしはじめた。

もちろん、友人としての贔屓目があることは間違いないだろう。
けれど、何かに挑戦するときは、「ちょっとした勘違い」「信頼できる人からのひと押し」が結構大事だったりするものだ。

しかし、おおっぴらに「小説を書く」と言うのは、なかなか勇気がいる。
この記事も、公開するか否か迷ってずいぶん寝かせていたぐらいだ。

私は数年前に鉛筆画を描き始めたのだが、「絵を描いている」と口にするのとはなんとなく響きの気軽さが違うように思う。なぜだろう。

それにしても、そこまで人に言うことをひるんでいたのなら、勝手にひっそりと始めればいいじゃないか、と我ながら思う。

けれど、人に宣言することは、すなわち自分自身への宣誓にもなるのだ。
今回の場合、それを起点として歩み始める方が前に進みやすいような気がしたので、ここに書き記すことにした。

新たに何かを始めようとする時、先の見通しが立たなくて尻込みすることもあれば、「先が見えないからこそ面白い」とワクワクすることもある。

今回の場合は、明らかに後者だ。

なぜなら、私が書いた小説を早く読んでみたいと思っているのが、何を隠そうこの私だからだ。

そういうわけで、私はその道を歩き始めることにした。

学ぶべきことは山のようにあるけれど、その山を見上げるだけでもワクワクしている。

これからどれだけたくさんの山を登れるのか。
どれだけたくさんの生みの苦しみを味わうのか。

すべてひっくるめて、楽しみしかない。



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