ニコニコ(7月3日〜9日までの日記)

「〇〇君はいつもニコニコしているので、クラス全体が明るくなります」
そんなことを三者面談で言われたのは小学3年生の夏だった気がする。
かなり前の話なのでおぼろげではあるが、きっとそんくらいの時期だった。

最近の蒸し暑さと、地元で迎える久々の夏と、上司や我の強い同期に媚び諂って疲労している表情筋が記憶を思い起こした。
昔と変わらずに、今もニコニコしている。
だから、きっと俺の笑顔は職場全体を明るくしていることだろう。
あの時の担任も褒めてくれるんじゃないだろうか。

小学生の頃、確かにいつもニコニコしていた。
授業中も、休み時間も、遊んでいる時も。
写真を見返しても、全部同じ顔して笑っている。
少し気味が悪いくらいに。

・・・言ってしまおうか。
この気持ちを言葉にしたら、もう何かが変わってしまって戻らない気がするけど。
言ってしまおう。

俺は笑っている自分がそんなに好きではない。

昔からできないことが多かった。
特にスポーツ。
球技も、体操系も、陸上競技も何もできなかった。
最近、スポーツが苦手な理由を考えついた。
スポーツをする前におどけることばかり考えていたからだと思う。
野球の打撃の時は基本バントしかしない。
サッカーはグラウンドの端から端まで走ってシャトルランをやっていた(オフサイドが採用される中2まで)。
走り高跳びは棒にタックルして吹っ飛ばしていた。
笑えないぐらいに運動神経がないため、何とか空気を凍らせないようにしたいという願いが根本にはあった。
俺は、ふざけて、できなくて、ニコニコしていた。

昔、あの学校でニコニコしていた時の心情と
今、この職場でニコニコしている時の心情は一緒なのかな。
だとしたら、痛恨。


でもね、苦手じゃないことだって増えたんだ。
情けない俺は女の子にはモテた。

苦手なことばかりだった俺は、やっと見つかった苦手じゃないことを貪り食おうとしてしまう。
ごまかすためのニコニコを、モテるための爽やかな笑顔に変換できることも知った。

得意なことに慣れてない。うまくいっている状態は自分らしくない。
こんな俺はどこかで破滅を望んでしまう。
この破滅願望つきの暴走が、恋愛関係のフィールドで営まれている。
幸せは遠い。

来世は、何事もうまくいって当たり前の人間になりたいな。


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