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you_end_me
【1話完結小説】考えすぎて
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「家まで送ってあげるよ」
下校中、車に乗ったおじさんが声をかけてきた。
知らない人について行っちゃいけない…って散々聞かされてるから知ってるけど、このおじさんはどうも近所のマイちゃんちのパパのようである。顔も声も服も車も何となく見覚えがあるのだ。私はいつも2、3回会っただけの人の顔をしっかり覚えられないので確信が持てないけれど。きっと、たぶん、そう。
でも改めて「マイちゃんのパパですよね?」と聞くのは失礼だよね。だって少なくとも2、3回はマイちゃんちで会ってるはずだもの。それなのに覚えてないなんて失礼な子だと思われてしまう。丁度こないだも親戚の集まりでどこかの叔母さんの事を覚えていなくて、思いっきり残念そうな顔をされたばかりだ。
そういう『失礼な子と思われるリスク』と『自分の身の危険』を天秤にかけ、私の幼い脳味噌は短時間の間にフル回転を繰り返した。そして結果として前者を重要であると判断したのだ。
マイちゃんのパパであろうおじさんの車におずおずと乗り込む。おじさんは一瞬驚いた顔をした後、ニッコリ笑って「じゃあ行こうか」と車を走らせた。
車はスピードを上げ走り去り、やがて郵便局の角を住宅街と反対側に曲がって見えなくなってしまった。(終)
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