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voice_watanabe
【1話完結小説】階下のベランダ
マンション下階のベランダ、そのピンチハンガーに干された女物の下着を上から覗く。
タオルでうまく四方を囲って隠しているが、上からの視線は想定していないだろう。俺は上階の者の特権を存分に行使していた。
しかしある日以降、ピンチハンガーには下着ではなく干からびた生首が吊るされている。ピンクや花柄のタオルに囲まれたその真ん中で、だらしなく口を開いた生首が揺れる。
なんだこれは。通報したいが覗き行為がバレてしまう。
____俺は今日も上階の者ゆえのジレンマに苦しんでいる。生首の口元には心なしか微笑が浮かぶ。
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