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【エッセイ】お洒落なお店に行ってみようよ!の巻

はじめに

突然ですが。
あなたはお洒落女子が並んでいる、インスタグラムに出てきそうなお店に行ったことがありますか?
…ない?そうでしょうね(失礼)。
そんなあなたに読んで欲しい。

これは、お洒落じゃない私が、近所のお洒落焼き菓子店に突撃してみたお話である。
さあ、あなたも一緒に行ってみようよ!
普段縁のないお洒落なお店に(失礼)!

ちなみに、ここで言う“お洒落なお店”の定義は

・インスタ映えする商品を取り扱ってる
・素材など、店主のこだわりが詰まった商品を扱っている
・ある程度の人気がある
・流行に敏感なお洒落女子メインの客層

としておこう。

実はこの店は、近所の田んぼ…もとい緑豊かな田園地帯の真ん中に数年前からあったらしい。しかし私の意識の中にはなかった。
そう、あったのになかった。

「なんで田んぼの真ん中の小屋にたまに行列できてんの?怪しい宗教?」(ごめんなさいごめんなさい)
という興味本位からネット検索をかけ、そこで初めて
“隠れ家的大人気焼き菓子店”
だと知ったのがつい先日。

どうやらインスタ女子の間で可愛いお菓子写真が拡散され、
・宣伝せずとも口コミで大人気
・知る人ぞ知る

そんなお店のよう。

確かに、並んでいる客層を見るとファッション雑誌から飛び出てきたようなキラキラ可愛いお洒落女子ばかり。ぱっと見9割がお洒落女子。田んぼとのミスマッチ感ぱねぇ(笑)

…え、前置きが長い!?
待って、閉じないで!読んで!諦めないで!

いざ突撃!!(急展開)

お洒落女子は可愛い車で遠くから来ているが、近所のおばさんである私は徒歩で参戦。

隙間から覗くと、店は4畳半くらいのスペースに可愛い焼き菓子が所狭しと並んでいるようだ。お洒落な店はこじんまりしがちなの何でだろう。

店内にはお店のご主人と奥さん、そして客は1組ずつしか入れない。
なるほど、だから行列ができている…という側面もあるのか。当然、人気だからというのもあるだろうけど、物理的に…ね。

人間というのは面白いもので、行列を見ると
「こんな大勢の人が並んでまで買うのだからいいものに違いない。」
と期待値が上がる。
行列が行列を呼んでフィーバー状態。
実にうまくできている。

お洒落が過ぎる待ち時間に
ソワソワが止まらない

開店直後を狙ったので、人はまだそれほど多くなかった。

店内にはおばさま。その後ろにお洒落女子。そのまた後ろにお洒落カップル。そしてお洒落じゃない私は4番目である。

店内のおばさまの存在に少し勇気をもらう私。
おばさまには少し失礼かもしれないが、お洒落女子ばかりじゃなくてほっと一安心、という心境。

しかしそうこうしてる間に私の後ろにはお洒落マダムが並んで…なんだかもう周りがみんな敵…もといお洒落に見えてきて落ち着かない。
完全にお洒落なお店の雰囲気に飲まれている。負けんな、私!

一応言っておくと、私も今日は全身黒コーデでお洒落武装してきたつもりである。
お洒落な人は黒を着こなしがち…という幻想をお洒落じゃない人(私)は持ちがち…。

さて。並んだはいいが、ぶっちゃけ冷やかし目的でフラフラやって来たため、何を買うのか決めていない。

入り口横にはお洒落な黒板があり、手書きで商品名と値段が書いてある。お洒落なお店は黒板置きがち。

商品名を見てもピンとこないが、気持ちお高めな値段設定であることに気付いてしまった。
ガクブル。

外から店内の商品を先取りして見ようとするが、見えそうでよく見えない(特に値札!)。どうしよう、このままでは自分の番が来た時確実にテンパってしまう…!
※初めてのスタバで、注文の時にしどろもどろするあの感じをぜひ今こそ思い出して欲しい。

内心超焦っている私とは対照的に、前に並んでいるお洒落女子は店の外観や黒板などをスマホで撮影しつつ優雅な待ち時間を過ごしていた(これが今日以降、またSNSの大海へ拡散されてゆくのだろう)。

しばらくすると、前に並んだカップルの彼氏の方が列を離脱。車に乗って待つ事にしたようだ。
おお、彼氏よ。何となく分かるぜ。暇だし、女性ばかりに囲まれてるし、店の雰囲気はお洒落だし、落ち着かないよな。
俺もだ。←

ついにきた私のターン!

さて、そうこうしてる間にいよいよ私の番。

クッキー、マフィン、パウンドケーキ、ビスコッティ…種類も豊富でとても美味しそうである。(はい、ビスコッティが何なのかよく分かっていないのに知ったかぶりで並列しました…ごめんなさい。)

すかさずご主人が
「お決まりになったら仰ってくださいね。」
はっ、はい。決まってません!
何となく並びながら考えてはいたものの、いざ入店すると今まで気付かなかった商品の存在に気付いたりして、優柔不断魂が炸裂である。

どれも可愛くて迷う!
せっかく来たのだから色々買ってみたい!
でも全部買ってちゃ破産!
これは◯さんにもお裾分けしちゃう?
ああ、後ろの人達のプレッシャー気になる!
つまり欲しいの買うと合計いくらよ!?

それらをごちゃごちゃ考えながら結局適当にチョイス(適当かい!)。ご主人に告げる。

そして天啓!
ここからが本題(やっと!?)

さて、ショーウィンドウには、見た目では何なのかわからない商品もあった(ケーキ?マフィン?)。
ご主人に「これは何ですか?」と一言聞けばいいのに、今回聞けないままで終わった。

「後ろで人が大勢待ってるんだよ!私なんかが無駄口叩いて余計な時間を取らせたら申し訳ないよ!早く選んで早く帰って!」

と、私の中のヘタレ天使が店内にいる間ずっとアラートを鳴らしていたからである。

しかし、お会計をしていると、ご主人と後ろのお洒落マダムが
「あっ、お久しぶりです。」
「ご無沙汰してますー。」(常連さん!?)
からの
「これは何を使ってるんですか?」
というトークを繰り広げていた。

すごいよ!
行列のプレッシャーをものともせず、こんなに自然とトークできちゃうんだね…!

この時、私の脳裏に先ほどスマホで写真を撮っていたお洒落女子が浮かんだ。

「そうか!きっとここに来る人達はそもそもゆったりした時間を楽しめる…そんな、心(と懐)に余裕のある人達なのだ…。」

だからきっと前の客がのんびり会話してても

「ちっ、おせーな。いつまで待たせんだよ!」

なんて悪態つくような人は現れない。行列を覚悟の上で遥々やってきた者達だ…面構えが違う(コラ)。写真を撮ったりしながら各々が穏やかに待てるのだ。

___お洒落な世界は優しい世界

そう、ここは殺伐とした夕方のスーパーとは違う。
お洒落焼き菓子店なのだ。
私にとってこの気付きこそが天啓であった。

しかも。
なんなら私がトークを繰り広げている事実は真後ろの人にはバレるが、それ以降の人達には中で何が起こっているかなんて分からないのである。
1組ずつしか入店できないシステムの威力は、ここで遺憾なく発揮される。

せっかく作った人が目の前にいるんだから、お洒落なお菓子の事をあれこれ聞いて、会話を楽しんだっていい。
勿論、黙って買って帰ってもいい。
そう、心のままに振る舞えばいいのだ(常識の範囲内でね)。

「次からは怯えなくてもいいのよ…。」
私は心の中のヘタレ天使を優しく抱きしめた。

そんなこんなで
ミッションコンプリート

さすが人気のお店。
レジでは、クッキーをおまけしてくれた。
こういう、一見さんとか常連さんとか関係ないちょっとしたサービス、嬉しいね。

無事にお店を出られてほっと一安心。
晴れ渡る田んぼ道を歩く私の足取りは軽い。
やった!やってやったよ!
スキップしたかったけど、まだ行列してるお洒落女子から見える位置である。いつもより背筋を伸ばし、すまして歩いてやった。

角を曲がり誰からも見えない位置までくると、おもむろにレシートを取り出す。
「おぅ、これは740円…なるほど。」
テンパりすぎた私は値段もろくに見ず購入していたのである…。

実食。そして物語は続く

帰って早速家族と食べてみると、お洒落なうえに味もかなり美味しかった。
※勿論食べる前にちゃっかり写真を撮ってしまいました。そりゃこんだけ可愛けりゃ撮りたくもなる。ここに載せたいけど載せないよ(お店様になんだか申し訳ないので)☆

味については、食に厳しい旦那が
「このマフィンには複雑な深みがある。」
とかゆーてたから間違いない。
まず見た目でテンション上がるし、美味しいとなれば少々お高いのも納得か。

あのお洒落女子達も、インスタ映えだけを求めていたんじゃなく、リピーターかもね…なんて分析してみたりして。

私もちょこちょこ通って、
「このクッキー、前回美味しかったからまた来ちゃいました♡」
なんて言ってみたい。いつか、きっと、多分、そのうち…。

さぁ、あなたも全身黒コーデでお洒落な店に行ってみて下さい。
大丈夫、怖くないよ!そこにはきっと優しい時間が流れているから♡
ご馳走様でした!

end

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