【1話完結小説】神様カフェ(408文字)
「天国に1番近いカフェ、神様カフェへようこそ。今日からよろしくね。」
バイト初日、まりあ先輩は優しく微笑んだ。
「えっ…ハイ。よろしくお願いします。」
私はぺこりとお辞儀する。
ひととおり仕事を丁寧に教えてくれたあと、先輩は声をひそめてこう言った。
「常連の神様たち、覚えといた方がいいから教えるね。」
1 コンセント席でノートPC広げてるのが菅原道真公。コーヒーはアメリカン。
2 鞄にでかい象のストラップ付いてるのがガネーシャ様。スイーツ好き。
3 あの美男美女はヘラクレス様とヴィーナス様。ヘラクレス様はいつもケーキセットのケーキをヴィーナス様にあげてる。
4 BOX席のご老人グループ、中心の紫セーターの人が恵比寿様。沢山のお友達と長時間滞在して色々注文してくれる。
…
「まりあちゃん」
急に後ろから声がして、振り返ると店長が立っていた。
「お客様に変なあだ名つけるのやめてくれるかな?」
ここは地元駅に1番近いだけの一般的なカフェ。
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