【日記】レディースクリニック

今日は健康診断でした。

子宮頸がん検査&マンモグラフィーだけは、検診施設とは別のレディースクリニックに行って受診します。

そんな訳で訪れたレディースクリニック。ここがホテルと美術館の合いの子のような崇高な美しさで、思わず私はその様子を書き留めたいと思ったのでした。

BGMは ↓コレ で読んでみてね。

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ジムノペディが小さく流れる無機質な美しい部屋。等間隔に並べられた白い肘掛け付きの椅子。私は上下ピンク色の検査着を着てその1つに腰掛けている。

目の前には全面のガラス窓。雨模様の空。中庭に、手入れされたシンボルツリーとセンスの良いライトが見える。ウッドデッキ上の水溜りに雨が絶え間なく落ち、波紋を作っている。

後方にある受付から、女性達の囁き声が波のように届いてきて鼓膜を揺らす。それはあまりに微かだったので内容までは分からない。私の耳は時折「電話番号を…」などという断片的な言葉を拾いはしたが、結局意味を成さないそれは、遥か宇宙から流れてくる音楽のようであった。

高い天井。細かい凹凸でニュアンスの入った白い壁。豪華な花瓶の花々。怖いくらいに美しいカーペットや置き時計。ご自由にどうぞ、と書かれた淡いチェックの膝掛け毛布を使う人はいない。

洒落た形に四角が湾曲した本棚に並ぶのは、凛とした感じの旅や食や芸術の本。これまで一体何人の女性がこの本達を手に取ったのだろうか。端の方には何冊かの幼児用絵本も見える。この場所に、こんな静謐な場所に賑やかな幼児がいる様子が、私にはどうしても思い描けなかった。

他の椅子にも私と同じ格好をした女性が2、3人静かに座って待っている。女性だけしかいない世界がもしも存在するとしたら、こんな風なのかもしれない。

外の雨はいつまでもやみそうになかった。中庭の木と建物の遥か向こうに、少しだけ見え隠れする民家の屋根瓦。この場所と、あの屋根瓦のある場所はまったく別世界なのだ…と漠然と思った。

手元に視線を落とし、私はその名前を呼ばれる時まで文庫本に意識を飛ばす。

ジムノペディは終わり、いつの間にか部屋の中には月の光が流れていた。

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…はーい!という訳でお読みいただきありがとうございました!

息子を出産する時、別のレディースクリニックに入院したのだけど、やっぱりココみたいな雰囲気のクリニックで、なんだか出産前後の気持ちも思い出してキュンとなりましたね。

まあそんなキュンを差し引いても、レディースクリニックって、ホスピタリティーを追求した結果、こういう高級感を売りにしているところが結構あって私のレディース心(?)がくすぐられっぱなしです。

清潔で美しくて、怖いくらい静かで。受付の人は黒色系の揃いのスーツ着てて、コンシェルジュっぽい感じで。

そんな建物の中を静かに歩き回っていると、だんだん自分が人ならざるもの、神や天使に近い方の存在かと錯覚してしまうのです。単純なワクワク、とも違う、清らか過ぎて落ち着かないその緊張感や非日常感が堪らなく好き♡神々の館(どこにあるねん)に迷い込んだらきっとこんな気分。

また来年お邪魔するのを楽しみにしています!

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