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15秒で読める小説

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15秒で読める!140字創作小説
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2022年12月の記事一覧

【140字小説】エモかった

【140字小説】エモかった

骨董品が趣味の夫は「エモいから」と言っては骨董屋であれこれと買ってくる。
冬のボーナスで「狙ってた大皿を買ってくる」と言うので「大皿だけだからね!」と念押しして送り出した。
…なのに帰ってきた夫は大皿の他に絵も抱えていた。「なんでよ!」と怒る私に夫は気まずそうに一言。
「絵も買った…」

【140字小説】ラップバトル5

【140字小説】ラップバトル5

引き籠り中急にライムが降りてきた。

「生き残りかけた引き籠り
悲喜こもごも自室にお籠り
子守りは不要
一人でいくよ
さながら岩屋に籠るアマテラス
バーチャルゲームで名を馳せてます
対戦相手は大抵泣いて
許しを乞う俺孤高のKING!」

ラップバトルと勘違いして部屋の外に人集りができたので…たまには外に出てみるか。

【140字小説】ラップバトル4

【140字小説】ラップバトル4

残業帰り、思わず溢れる愚痴。

「増えぬ年収
どうすんねんYOU?
サラリー生活
クラリ脆弱
終電帰り暗い静寂!
ハイソな話題に愛想の笑い
行き当たりばったりかますハッタリ
引き攣る顔面もう勘弁!
捨てるネクタイもう寝たい!
get down」

ラップバトルと勘違いして人集りはでき…なかった。だってもう深夜だから。

【140字小説】ラップバトル3

【140字小説】ラップバトル3

憧れの路上ライブしてみた。

「ha!袖擦り合うも他生の縁、
今かき鳴らすバンジョーの弦!
奏でるメロディー聴くのがセオリー
雑踏を急襲して殺到する群衆!
ドームのライブも近いムード!」

ラップバトルと勘違いして人集りはできたが、レーベルのスカウトは来なかった。
やっぱバンジョーよりギターがセオリーかな。

【140字小説】ラップバトル2

【140字小説】ラップバトル2

繰り返しの毎日。駅のホームで嫌気がさし気付けば心の声が漏れ出た。

「基本は健康!積むは善行!
電光掲示板に自殺者のNews!
空元気出して飛び乗るトレイン、
天気は生憎Rain Rain Rain!」

ラップバトルと勘違いして人集りが出来たので、乗るはずの快速が来たが逃げるように立ち去る。
so bad…