妄想 未来の教員の働き方「担任は複数」

 文部省の2022年度調査によると、小学校教員の平均週持ち時数は23.9時間となっています。これは、1日平均だとだいたい5時間。
 学校や地域によって違いがあるので幅を持たせますが、5時間目の授業が終わって子供たちを下校させるのが14:30から15:30くらいの間でしょう。その時点で勤務終了まで二時間ぐらいあるかないか。
 その約二時間の間でその日の授業の成果・進捗確認や採点、翌日の授業の準備の他、分掌業務や保護者への必要な連絡、場合によっては学校外の研究会の業務や、教育委員会や文科省から要求される報告書などの書類仕事をすることになります。
 以上からわかるように、教職員の業務は定時に終わるには難しい仕事量です。意識の高い先生は取り組み方の工夫や仕事術で定時退勤を目指し、実践しています。ここnoteでも、いろいろな方が仕事術を発信されていますが、すべての教員がそれをキャッチしたり、実践したりするのは難しいし、「業務改善の余地があるのだから必ずそれをやるべき。」というのは少し厳しすぎると思います。
 教職員も人間なので、いろいろな性格、能力、特性、家庭状況の人がいます。それを考慮せずに「意識の高い取り組み方をできる人しか教職をするべきではない」とつめるのは、人材確保の面でも、子供がいろいろなタイプの人と関われるようにするという面でもよくないのではないでしょうか。

 一昔前に教員の超過勤務が問題になり、負担軽減のための取り組みがなされてはいますが、自分の体感では、「ぎりぎり労働力の再生産が追い付くようになってきた、かも?」ぐらいです。ひどい地域ではまだ苦しい状況のままでしょう。日本の学校教育の状況は全国一律のように見えて、けっこう違いがあります。地域ごとの差も考慮しないと、苦しんでいる人に届くメッセージは打てないと思います。
 
 教科担任制やチーム担任制が、話題に上がることが多くなりましたが、私には、上記のような実態の中で苦肉の策として産み出されたもののようにしか思えないのです。
 教科担任制でなくとも、別の学級に特定の教科での担当として出入り授業をするということはありますが、普段の様子が十分わからないと子供の反応や実態の把握がしづらく、自分が担任する学級の子たちより、指導が難しいと感じることがあります。
 チーム担任制のように、週ごと入れ替わりで担任をするとなると、子供たちと教員の関わりの継続性が薄められる恐れがあります。教員側の仕事の効率化で時間は生み出せると思いますが、教師も子供も、お互いに慣れていくまでの時間は余計にかかりそうです。
 自分自身がまだ体験した働き方ではないのであまり悪く言うのもどうかと思いますが、少し考えるだけでも上記のような問題が思い浮かびます。

 多くの時間を担任と一緒に過ごすことで子供たちは担任の前でためらわず自分を出せるようになるし、教師の側も子供の些細な変化に気づき、指導に生かしたり、表面化していない問題を事前にを察知して予防したりできたりするものです。

 でも、担任の負担は軽減したい。そこでどうするのか。
 担任を複数配置するのが本当は一番いい方法なのではないでしょうか。
 複数いて、何をするのかという点は学校や担任として集まった教員たちの特性や実情に合わせてもいいでしょう。
 TTとして、全員で協力して進めるのもいい。
 指導担当と評価担当に分かれ、評価担当は授業の間にどんどん評価をして記録していくというのもいい。
 1人が発達的なことや生徒指導的なことで困難がある子の担当になり、付きっきりになってケアするということもできる。
 新規採用教員や若手教員の指導・育成にも生かせる体制だと思うのです。

 しかし、現実問題、それはできない。予算がつかない。
 そもそも教員の数が足りないのですから。

 その問題をどう乗り越えるのか。その点について、次回書きたいと思います。 


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