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英文法解説 テーマ1「品詞と文型」 第3回 動詞って意味さえ覚えればいいの?

前回までのおさらい

 前々回と前回で、はたらきとしての品詞を覚えれば、英文のパターンが理解しやすくなる、ということを解説しました。少しだけ、おさらいしておきましょう。

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 ここまでで、あることに気づいた人もいるかもしれません。「例えば、動名詞って「名詞」としてはたらくことができるってことは、第2文型や第3文型に使っていいんじゃないかな?」そうです!品詞のはたらきを理解することのメリットはまさにこういうところにあるのです。例えば、第3文型を「動名詞+名詞+動名詞」という語順で書くこともできるのです。

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 この他にも、いわゆる「名詞」としてはたらく品詞や語句はたくさんあるので、動名詞と同じように、主語や目的語や補語の位置に置くことができます。こういった仕組みを理解できれば、より深く英文解釈ができたり、英文での表現の幅が広がったりますが、この話はまた別の機会に解説しましょう。

文型は訳さないと分からないの?という疑問に対して

 さて、前回、「結局のところ、訳してみないと文型ってわからないの!?」という疑問で終わっていたはずので、そこから解説を再開したいと思います。復習も兼ねて、次の2つの英文を見比べてみましょう。

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 どちらも「名詞+動詞+名詞」という語順ですが、become「になる」という意味とlike「を好む」という意味の違いから、John=an actor、John≠an appleとなり、前者が第2文型で後者が第3文型になります。しかし、文型(英文構造のパターン)を考えるということはそもそも英文解釈のための手段なので、和訳をしたうえで文型を取ってもなんだか本末転倒ですよね?

 確かに、英文の意味が分かっているのに文型を考えるのは無駄のように思えますよね。というわけで、こう考えてみてはどうでしょう?

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 初めからこのように考えておけば、例えば、becomeの後ろに名詞があれば、少なくとも「主語とイコール関係を持つ語」だと分かるのではないでしょうか?また、becomeの後ろに本来置かれるはずのない品詞や語形が続いたときに、意味的にはおかしくなくても、文法上おかしいと気付くのではないでしょうか?likeに関しても、その後ろには名詞が置かれるはずなので、もし名詞がなければ違和感を覚えるのではないでしょうか?

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 意味的に違和感がなくても、文法上おかしいと気付けるかどうかが重要なのです!

 ついでに言うと、becomeは第2文型を取る動詞なので、その後ろに名詞だけでなく形容詞も置くことができます(形容詞のはたらきを参照してください)。なので、becomeという動詞は、「S(名詞)+become+C(名詞または形容詞)」という文のパターンを作ると覚えると良いでしょう。

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動詞の語法という考え方が重要!

 このように、動詞の後ろにどんな要素を置くのかというパターンがある程度決まっています。もちろん、その動詞の意味の特徴から後ろに置かれる品詞のパターンが決まるという考えも一理あるので、専門家の中でも、そこは意見が分かれるところです。ちなみに、いわゆる「受験英語」業界では、英文法を教える際は「それぞれの動詞には固有の使い方(=これを語法と言います)があり、それを覚えよう」というスタンスが多いように思えます。

 確かに、使い方がひとつしかないような難しい動詞などは意味さえを覚えれば、英文中で対応できることはありますが、例えば、findやmakeやgetなどの基本的な動詞ほど、その使い方(=語法)が重要です。また、文法問題などで動詞の知識を問われる際は、「動詞の意味」よりも「動詞の語法」について問われているケースの方が多いと思います。

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 例えば、He is running in the park.という英文とHe is running a bakery.という英文を見比べてください。runという動詞は「走る」という意味なのはすぐに分かると思いますが、「を経営する」という意味もあるのはご存じでしょうか?その違いは訳してみて初めて分かるというよりも次のような語法上のルールから分かるのです。

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 つまり、前者ではrunの後ろにin the parkという「前置詞+名詞」が続くから、ここでのrunは「走る」の意味で、後者の場合runのうしろにa bakery「パン屋」という「名詞」が続くから、ここでのrunは「を経営する」の意味だと考えるのです。
 
 他にも、We live in a city.「私たちは都市に住んでいる」とMany animals inhabit the forest.「多くの動物がその森に棲(す)んでいる」という例もあります。liveは「住む」で、inhabitも「棲(す)む」「生息する」というようにどちらも似た意味ですが、使い方が異なります。

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 このように似た意味を持つ動詞でも、それぞれに固有の使い方(=語法)があるので、意味が似ているからといってそれらを混同してしまい、例えば、live a cityとかinhabit in the forestとしてしまうのは誤りになります。

「動詞の語法」をどう覚えていくのか?

 こう説明すると、「ってことは、動詞を覚えるたびに語法もひとつずつ全部覚えていかなければいけないのか!?」と不安に思う学生も少なくありません。確かにこれだと面倒くさいですね。何百もの動詞の語法をひとつずつ覚えるなんて気の遠くなる作業です。

 そこで、動詞の語法を効率的に覚える方法があります。「この動詞はこう使う」というように、逐一覚えていくのではなく、「こういう使い方をする動詞には、こんな動詞がある」という分類法です。実は、いわゆる「動詞の語法パターン」というのは数が限られているうえに、訳し方のパターンも似ているものが多いので、それらをベースに動詞を分類していくのです。「動詞の語法パターン」を、動詞を整理するための分類箱だと考えれば、新しい動詞を覚える際に、「あの語法パターンで使えばいいんだ!」とできて、手間が省けます。

今回のまとめ

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 次回からは、基本5文型のそれぞれの文型について解説しますが、「この文型を取る動詞は、こんな語法のパターンで使うんだ」と意識しながら学んでいければ、これまで文型という考えに意味を見出せなかった人でも、「こうすれば動詞の意味も把握しやすくなる」と納得してもらえると思います。ご期待ください!


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