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英文法解説 テーマ1「品詞と文型」 第5回 第3文型と第4文型の話 ~他動詞について~

 こんにちは。「品詞と文型」についての解説記事も早くも5回目となりました。できるだけ、普段教えている感じを文字化しているつもりなんですが、うまく伝わっていますかね?実際の授業だと、喋りと板書で展開していくので、可視化された文字情報だけで同じようになっているかは少し心配ですが。まあ、あまり構えずにこのペースで進めていきますね。

第3文型と第4文型の基本 ~自動詞と他動詞の区別について~

 さて、前回は、第1文型と第2文型の説明を中心に、自動詞と他動詞についても少し触れました。今回は、他動詞が用いられる構造パターンとして、第3文型と第4文型について解説したいと思います(第5文型は次回以降説明します)。まずは、第3文型と第4文型のそれぞれの文要素を品詞で置き換えた場合について確認していきましょう。今回登場する品詞は主に「名詞」と「動詞」です。

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 どちらの文型も、V(述語)の後ろにはO(目的語)が置かれます。このように目的語を取る動詞を「他動詞」と呼びます(第1~2文型で用いられていたのは「自動詞」です)。他動詞は目的語を「取ることができる」というよりもむしろ、「取らなくてはいけない」ので、他動詞があるにもかかわらず、その目的語が置かれていないと不自然な文になってしまいます。例えば、marry「と結婚する」は、原則的には他動詞なので、John married.という文はおかしな文で、John married my sister.「ジョンは私の姉と結婚した」などとしなくてはいけません(または、John got married.という受動態で書くのもOKなのですが、それはまた別の話で)。

 ここでひとつ注意点。実は、多くの動詞には自動詞としての用法と他動詞との用法の両方があり、同じ動詞でも使い方が異なります。次の2つの文を見比べてください。

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 自動詞openの場合は、後ろには副詞要素(=M)しか置かれません(つまり第1文型ということ)。一方、他動詞openの場合は、後ろに目的語が置かれなければいけません(つまり第3文型ということ)。

 openのように「開く」と「を開ける」であれば、意味的にそれほど大差はないのですが、以前一度説明したことのある、runのように、自動詞では「走る」、他動詞では「を経営する」という意味を持つ動詞もあります。このように、自動詞と他動詞の区別が重要になってくるケースもあります。

第3文型に関する詳しい解説

 さて、少し話が逸れてしまったので、第3文型の解説に移りましょう。

 第3文型は、「名詞+動詞+名詞」という語順で、「S≠O」という関係が成り立っています。これだけなら簡単なのですが、目的語に用いられる「名詞」というのは、いわゆる「辞書的な分類での名詞」だけではなく、「名詞としてはたらく語句」なら、基本的には何でも用いられるのです。

 どういうことかというと、第1回目の「品詞」の解説の時にも少し触れたように、bookやcatなどのすぐに名詞と分かる単語以外にも、to不定詞や動名詞(-ing形)やthat+SVのかたまりや疑問詞(wh-)+SVのかたまりも名詞としてはたらくことができるので、それらも使うことができるということです。

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 例えば、He likes a cat.(彼は猫が好きだ)は「名詞+動詞+名詞」という第3文型ですが、He like to travel abroad.(彼は海外旅行をするのが好きだ)も「名詞+動詞+名詞(to不定詞)」という第3文型なのです。また、I know him well.(私は彼をよく知っている)は「名詞+動詞+名詞+副詞」という第3文型の文ですが、I know that he is a police officer.(私は彼が警察官だと知っている)も「名詞+動詞+名詞(that+SV)」という第3文型なのです。

 ちなみに、that+SVや疑問詞(wh-)+SVのように、その中にSVが含まれているかたまりのことを「節」というので、これらを、「名詞のはたらきをする節」、すなわち「名詞節」と呼びます

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第4文型に関する詳しい解説

 次に、第4文型ですが、Vの後ろにO(目的語)が2つ並ぶのが特徴的です。一般的な第4文型の英文では、1つ目のO1にはたいてい「人」を表す語が置かれ「人に」と訳します。また、2つ目のO2には「モノ・コト」を表す語が置かれ「モノ・コトを」と訳します。give「与える」やtell「伝える」など、「人にモノ・コトを~する」という意味を持つ他動詞が典型的に用いられます授与伝達を表す動詞が用いられることが多いです。

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 また、第3文型の時と同様に、目的語には、いわゆる普通の「名詞」以外にも、「名詞としてはたらく語句」が用いられることもあります。ただし、O1の位置にはたいてい「人」を表す名詞が用いられることから、一般的には「人を表す名詞や代名詞」が用いられることが多いです。O2の位置に関しては、「モノ・コトを表す名詞」以外では、that+SVや疑問詞(wh-)+SVのような名詞節が用いられます

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 例えば、He told us the rumor.(彼は私たちにその噂を話してくれた)は「名詞+動詞+名詞+名詞」という第4文型ですが、He told us that he knew the rumor.(彼は私たちにその噂を知っていると話してくれた)も「名詞+動詞+名詞+名詞節(that+SV)」という第4文型なのです。

第4文型を取れると思いきや!? ~explainとsayの場合~

 このように、第4文型は、あまり複雑な構造パターンではないので、比較的理解しやすい文型なのですが、ひとつだけ注意点があります。それは、たとえ「人にモノ・コトを~する」という意味を持つ動詞でも、必ずしも第4文型を取るわけではないのです!例えば、explain(説明する)という動詞を用いる際、「人にモノ・コトを説明する」という意味で使いたくても、第4文型を取ることができない動詞なので、「explain+人+モノ・コト」という語順が取れないのです。

 特に、初心者の人に気を付けてもらいたいのは、動詞の持つ意味的な特徴によって文型が決まるとは限らない、ということです。例えば、show「示す」は第4文型を取るのに、explain「説明する」は第3文型を取る、というのは、あくまで「動詞の語法」として文法上決まっているのです。

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 explainは「人+モノ・コト」ではなくて、「モノ・コト+to+人」という語順を取る他動詞です。厳密にいうと、「to+人」の部分は「前置詞+名詞」で文要素にはならないので、explainは第3文型を取る他動詞となります。また、explainは「explain+to 人+that SV」という語法でも使えるので、例えば、He explained to me that he forgot the appointment.(彼は会う約束を忘れたのだと私に説明した)のような英文構造で使うこともできます。

 他にも、sayやsuggest(提案する)なども、explainと同様のパターンを取ります。特に、sayはtellと意味が似ていますが、取る文型が違うので注意が必要です。この辺りはあやふやな人も多いと思います。sayは「モノ・コトまたはthat SV」を取るのが必須で、「to 人」はおまけ、tellは「人」+「モノ・コトまたはthat SV」という第4文型を取ります。それを変形して「モノ・コト」+「to 人」とするのはOKですが、「thatSV」+「to 人」とするのはNGです。

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 少し厄介な語法の使い分けの話になってしまいましたが、第4文型に関しては、まずは「名詞+名詞(や名詞節など)」という語順が続くということと、意味的に第4文型を取りそうな動詞でも、第4文型を取れないものもある、ということを覚えておいてください。

 次回は、文型の中でも一番のハードルになる、第5文型について説明したいと思います。どうしても長くなりやすい話題なので、小分けにしながらひとつずつ解説していきます。

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