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英文法解説 テーマ2「時制」 第5回 完了形がよくわからない人へ② ~過去完了形と未来完了形について~

 どうも、こんにちは。とうとう時制の話も最終回になりました。今回は、第4回目で解説した「現在完了形」の続きとして、「過去完了形」と「未来完了形」について解説していきたいと思います。そちらを読んでない方は、まずは「テーマ2 第4回「完了形がよく分からない人へ① ~現在完了形について~」を一読して頂ければと思います。

過去完了形と未来完了形の基本について

 まず、「過去完了形」と「未来完了形」のそれぞれの語形から確認しておきましょう。現在完了形have/has+Vp.p.のhave/hasをhadにすれば過去完了形になり、will haveにすれば未来完了形になります。

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 次は、現在完了形についての簡単なおさらいをしておきましょう。「現在完了形」というのは、次のように、「過去時制+現在時制」というイメージでしたよね。

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 簡単言えば、この「現在完了形が表す範囲」を前後にスライドしたものが、それぞれ「過去完了形」と「未来完了形」なのですが、そう単純にはいかない、ということを考えるのが今回のポイントです。

 まず、過去完了形が表す『過去時制よりも「昔」』って一体いつなのでしょう?「大昔」でしょうか?また、未来完了形は、現在完了形が表す範囲を「未来」にスライドすることで、「現在+未来」となりそうですが、現在の立場に立って未来の話をしているのであれば、シンプルにwillとかbe going toとかで表せば良さそうな気もしもします。

 こう考えると、頭の中が混乱しそうですが、実は、過去完了形と未来完了形は次のように捉えます。

 過去よりもさらに過去にさかのぼった時制を「大過去」と言って、その「大過去の時点」や「大過去から過去までの期間」を表すのが過去完了形になります。また、未来完了形というのは、「現在時制+未来時制」ではなく「過去から未来のある一点までの期間」と考えるのです。注意してもらいたいのは、「現在から未来」ではなく「過去から未来の期間」を表すという点です。やっぱり少しややこしいので、イメージ図を使って説明しましょう。

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 時制ごとに色分けをしてみたので、まずはよく見てみてください。

過去完了形の考え方

 まずは、「大過去」という時制から説明しましょう。簡単に言うと、「大過去」というのは「過去から見た過去」ということです。日本語にはない概念なので、もう少し詳しく説明します。

 例えば、現在という視点から昔を振り返るときはどんなに昔のことでも「過去時制」になります。たとえ昨日のことでも、1万年前のことでもです。しかし、いったん「過去時制」のことを話題にしたうえで、その過去時制(過去の一点)を前提に、さらに昔を振り返るときの時制が「大過去」になります。例えば、「3日前」の話題をした後に、その視点から「さらに1週間前」の話題にする際の時制ということになります。例文で確認しましょう。

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 過去時制で表されている「バス停についたとき」よりも、「バスが出発してしまっていた」のは時間的にさかのぼる必要があるので、「大過去」になり過去完了形で表されています。ちなみに、ここでの用法は「完了用法」です。つまり、「バスはもういなかった」という過去の一点での状態を示唆しています。

未来完了形の考え方

 次に、未来完了形について説明しましょう。これは、用語からして意味不明ですよね。「『未来』なのに『完了』ってどういうこと?」と多くの人が疑問に思っているでしょう。確かに、文法嫌いを生み出しそうな用語ですね。難しく考えすぎないで、できるだけシンプルに説明すると、「スタートが『過去の一点』で、ゴールが『未来の一点』となるであろう動作や状態」のことです。時制の話はどうしても文字情報だけでは伝わりにくいところがあるので、とりあえず、例文と図で確認しましょう。

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 (1)では、現時点では「9回、あの映画を観ている」ことがわかります。つまり、「過去から現時点までの範囲での9回」ということです。「もう一度観る」のは「未来のある一点」でのことです(もちろん「もしも」の話ですが)。つまり、その時点で通算10回観た、という「経験」が出来上がります

 (2)では、現時点で「1年数か月は英語を勉強している」ことがわかります。つまり、「過去から現時点までの範囲で1年数か月」ということです。さらに「次の4月」という「未来のある一点」まで「勉強する」という動作の継続が続けば、通算で2年間勉強している、という「継続」が生まれます。しかも、この例では、「動作動詞」の「継続用法」ということで、前回説明した「完了進行形」が用いられています。未来完了進行形は、will have been Vingで表されます。

 どちらの例でも、通常は「現在完了形」で表される「過去から現在までの範囲の動作・状態」に「未来のある一点までの通算の動作・状態」を足している、というイメージになります。各例文の下に載せた時制の流れの図を参照してください。緑色の破線で示した「現在完了形が表す範囲」に覆いかぶさるように、ピンク色で示した「未来完了形が表す範囲」が描かれていると思います。

完了形のまとめ

 いかがでしょうか。「現在完了形」を理解したうえで、「過去完了形」や「未来完了形」を考えることが重要だとお分かりになると思います。また、「完了進行形」に関しても、(今回は触れませんでしたが)「過去完了進行形」や「未来完了進行形」のように、少し複雑に見える語形も、順を追って理解していけば納得できるかと思います。

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 今回で、「時制」の解説は終わりです。しかし、述語がある英文はすべて(命令文などを除いて)「時制」が示されているので、常に「どんな語形」が「どんな時制」を表しているのかを意識しながら正しく英文を解釈していくことが大切です。また、この「時制」という範囲は、「助動詞」や「仮定法」の勉強の際にもポイントとなるので、しっかり復習してくださいね。では、また次のテーマで!


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