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2020年1~2月に観た映画で良かったもの

Filmarksにアップし続けている個人的な「映画レビュー」をいくつかピックアップしてnoteの方にもまとめます。

マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)(2017)

監督 ノア・バームバック

マイヤーウィッツ家の人々

あらすじ
ジョシュとコーネリアはミドルエイジの夫婦。ジョシュはドキュメンタリー映画の監督だが、もう8年間も新作を完成させていない。いつの間にか人生にも夫婦にも何かが欠けてしまったと感じていた。そんな時、20代のカップル、ジェイミーとダービーと知り合い、クリエイティブに生きる彼らから刺激を受ける。時代に乗り遅れたくないとSNSに縛られる自分たちと違って、レコードやタイプライターなどレトロなカルチャーを愛するセンスのいい彼らと行動を共にするうちに、2人は再びエネルギーを取り戻していくが──。

レビュー
2020年1本目。ずっとマイリストには入れてたけど、『マリッジ・ストーリー』鑑賞後、同じくノア・バームバック監督作品ということでようやく鑑賞。

家族の崩壊と再生の物語を描かせたら本当に上手い。離婚ネタが多いけど、ギクシャクしていた家族の距離感を説明調にならずに脚本に落とし込めるって凄いなと。

もちろん、アダム・サンドラーとベン・スティラーとダスティン・ホフマンの演技力によって支えられているんだけど、何気ない小ネタ(ブルーベリーパイやサングラスなど)が適度に緊張を緩和していて味わい深い作品だと思う。

キング(2019) Netflix

監督 デヴィッド・ミショッド

キング

あらすじ
英国王である父の死後、王位を継承したハル。自由気ままな王子が、宮廷の問題や戦争、混乱の時代を経験しながら、国王としてたくましく成長していく姿を描く。

レビュー
思ったよりもローテンションで淡々と進み、地味目な肉弾戦シーンを経て、このままヌメーっと終わるのかなと思ったら、最後にサスペンス調の展開が良い感じに入ったおかげで満足して観終えることができた。

まあ、ティモシー・シャラメの魅力をこういう雰囲気でも発揮できますよ、的な作品でもあるんだけど。

あと、ジョエル・エジャートンの最期がコント風で良かった。

女と男の観覧車(2018)

監督 ウディ・アレン

女と男の観覧車

あらすじ
時は1950年代、主人公のジニー(ケイト・ウィンスレット)は、元女優で、今はコニーアイランドの遊園地にあるレストランで、ウェイトレスとして働いている。再婚同士で結ばれた、回転木馬の操縦係を務める夫のハンプティ(ジム・ベルーシ)、そして自身の連れ子と観覧車の見える部屋で暮らしている。実は彼女は夫に隠れて、海岸で監視員のアルバイトをしているミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)と付き合っていた。平凡な毎日に失望していたジニーは、脚本家を目指すミッキーとの未来に夢を見ていた。だが、ギャングと駆け落ちして音信不通になっていたハンプティの娘キャロライナ(ジュノー・テンプル)が現れたことから、すべてが狂い始める──。

レビュー
ケイト・ウィンスレットの演技と役作り!これだけでも観る価値あり。

ウディ・アレンの脚本は相変わらずウィットとアイロニーに富んでて思わずニヤリとする。「これはマイルストーンよ!」「何がマイルストーンよ。トゥームストーンだわ!」みたいな。

そして、回転木馬(ハンプティの仕事)と火遊び(リッキーの悪趣味)が示すメタファー。ラストシーン近くに映し出される観覧車に、タイトルでもあるWonder Wheelの電飾。

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2018)

監督 ジョー・ライト

ウィンストン・チャーチル

あらすじ
第二次世界大戦初期、ナチスドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、英国にも侵略の脅威が迫っていた。連合軍がダンケルクの海岸で窮地に追い込まれる中、ヨーロッパの運命は新たに就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチルの手に。ヒトラーとの和平交渉か、徹底抗戦かー。チャーチルは究極の選択を迫られる。議会の嫌われものだったチャーチルは、いかに世界の歴史を変えたのか。実話を元に、チャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる4週間を描く感動の歴史エンターテインメント。

レビュー
ゲイリー・オールドマンの重厚な演技とリリー・ジェイムズの可憐さが良いコントラストになっていて見応えあり。

本当はもっと複雑な政治的状況で様々な思惑や駆け引きがあったのだろうけど、そういった点は簡略化してゲイリー・オールドマン演じるウィンストン・チャーチルの存在感と話術を引き立たせたからこそ娯楽映画として2時間の作品に仕上がったと思う。

そして、地下鉄に乗るチャーチル、これ創作だろうけどナイスアイデア!面白かった。

ただ、『ヒトラーから世界を救った男』という副題は蛇足。原題の”Darkest Hour”からも離れすぎだし。

パラサイト 半地下の家族(2019)

監督 ポン・ジュノ

パラサイト

あらすじ
全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが...この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく――。

レビュー
地上、半地下、地下というヴァーティカルなラインと社会階層をオーヴァーラップさせるというアイデアは、これまで評されている通り面白い。ただ、それだけの一発ものではなくて、ホラー要素やコメディ要素もちょうど良いバランスでミックスされていて飽きずに一気に観られる。

濁流が貧民街を流れ、半地下の家に流れ込みを水浸しにするが、下から吹き上がるのはトイレの下水だけ、というメタファーも示唆的。

下流から上流へ這い上がるには、詐欺や欺瞞や暴力でもない何か、というメッセージが最後取ってつけたような感じだったのは少し残念。空想とはいえ。

あと、前家政婦のおばさんの親北なりきりギャグは思わず笑った。

隕石が落ちた夏(2018)

監督 ロマン・ラグーナ

隕石が落ちた夏

あらすじ
冒険を夢見るニナ16歳。この夏は、南フランスの地元の村とバイト先のテーマパークで過ごしてい た。モラドに出会う直前、ニナは隕石が空を照らし、山中に砕けていくのを目撃する。それはまるで、新しい人生を予兆しているかのように見えたが…。

レビュー
MyFFF2020作品、2本目。

平凡な田舎町に隕石が落ちたように、主人公ニナにもひと夏の出会いが。隕石と妊娠のメタファーという面白い発想を、いかにもフランス映画らしい叙情的な雰囲気でサラッと見せる良作。85分という短さも丁度良い。

よくある、フランスのティーネイジャーの気怠い青春映画と思いきや「隕石」と「恐竜」というメタファーをぶつけてきたあたり、この監督、只者ではない気がする。

全体的な評価は低いけど、個人的には好き。

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