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英文法解説 テーマ13 疑問 第1回 疑問詞(wh-)と言っても実は3パターンあるんだよ、という話

 今回から、新テーマ「疑問」に入ります。要するに、「疑問文」に関する話なのですが、いわゆる疑問詞というのはどういうはたらきをするのか?また、疑問詞の後ろは完全文?不完全文?さらには間接疑問文や付加疑問文など、様々な面を解説していこうと思います。ご期待ください。

 第1回目の今回は、「疑問詞」について解説していきたいと思います。疑問詞と言うのは、whatやwhereやhowなどのいわゆる5W1Hのことで、なじみのある品詞でしょう。辞書の上では、これらは「疑問詞」と分類されてはいますが、実は英文中では文型上の基本品詞である「名詞・形容詞・副詞」のいずれかのはたらきを持つもので、厳密には「疑問代名詞」「疑問形容詞」「疑問副詞」に分けられます。面倒くさそうに思えるかもしれませんが、「名詞」「形容詞」「副詞」のはたらきを思い出しながら、それぞれの疑問詞がどのようなはたらきを持つのかを整理していきましょう。

疑問詞の文中でのはたらき

 一般的に「疑問詞(5W1H)」は次のように分類されます。ポイントは、名詞・形容詞・副詞など、文型上の基本要素としてのはたらきをベースに考えることです。名詞・形容詞・副詞のはたらきの理解が不安という人は、「テーマ1品詞と文型 第1回「品詞を理解するのはコスパが良い!」第2回「文型って要するにどういうこと?」」を参照してください。

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  疑問代名詞というのは、単独で用いられ「名詞」のはたらきをする疑問詞のことです。what/who/whichがそれにあたります。疑問形容詞というのは、「疑問詞+名詞」というセットで用いられるため、形容詞という名称がついていますが、「疑問詞+名詞」というカタマリ自体は「名詞」のはたらきになります。名称とはたらきが異なるので気を付けてください。疑問副詞というのは、when/where/why/howのことで、文中では「副詞」としてはたらきます。howは単独で用いられる場合と、形容詞や副詞を導く場合があります。

 次のセクションから、これらをグループごとに解説していこうと思います。表面的な意味だけでなく、構造的な特徴をよく見てください。

名詞のはたらきをする疑問詞①(疑問代名詞)

 いわゆる「疑問代名詞」というのは、what/who/whichですが、これらは「名詞」としてはたらくため、文中ではS・O・Cのいずれかになります。例文で確認しましょう。

 どれも何の変哲もない普通のwh疑問文ですが、1.では、Whatがmadeの主語に、2.ではWhichがlikeの目的語に、3.では、Whoがisの補語になっています。それぞれの疑問詞が「名詞のはたらき」を持ち、英文中ではS・O・Cのいずれかとして機能している、ということを示す例です。

 もちろん、疑問詞が、前置詞の目的語としてのはたらきを持つ場合もあります。

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 この場合、whatはforの目的語としてはたらいています。従って、for what「何の目的で」という解釈が可能です。このように、いわゆる名詞のはたらきをする「疑問代名詞」は、英文中でどのはたらきをするのかを考えながら解釈すると良いでしょう。言い換えると、疑問代名詞を用いた疑問文は、その疑問代名詞を解釈するための名詞が欠落した不完全文が後続することになります。例えば、英作文など自分で疑問文をアウトプットする際には、疑問詞をどの要素として用いたいのかをよく考えて、不完全文を後続させることを意識するとよいでしょう。

名詞のはたらきをする疑問詞②(疑問形容詞)

 次は、疑問形容詞です。疑問代名詞と同じく、英文中では「名詞のはたらき」するものなのですが、疑問詞単体ではなく、「疑問詞+名詞」というセットで用いられるので「疑問形容詞」と名付けられているのです。what+名詞、whose+名詞、which+名詞がそれにあたります。それら自体は「疑問形容詞」という名称にもかかわらず、「疑問詞+名詞」というセットでは英文中で「名詞」としてはたらく、というギャップに気を付けましょう。では、例文で確認していきましょう。

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 「疑問詞+名詞」というカタマリになっているだけで、はたらきとしては「疑問代名詞」と同じです。名詞としてはたらき、英文中ではS・O・Cのいずれかになります。もちろん、「前置詞+名詞」の「名詞」としてはたらく場合もあります。その場合は、前置詞の後ろの名詞が欠けている不完全文が導かれることになります。

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 文末のforとwhat reasonを組み合わせて、「どんな理由で」という解釈が生まれます。ただし、この場合は、それらを文頭にまとめてFor what reasonとしてしまうことも多いです。forとreasonの相性の良さを考えると近くに置いた方が解釈しやすいということでしょう。ちなみに、For what reasonを文頭に置いた場合は、残りのdid you say such a thingは完全文になります。

副詞のはたらきをする疑問詞(疑問副詞when, where, why)

 最後は、疑問副詞です。when, where, why, howがそれにあたりますが、howは使い方が少し複雑なので、次のセクションでまとめて解説します。とりあえずここでは、英文中で「副詞(=文の要素にならない)」としてはたらくwhen, where, whyのみを解説します。疑問詞が副詞としてはたらくということは、後続の文が完全文になっているということなので、英作文などを書く場合はその点に気を付けてください。

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 疑問副詞が副詞としてはたらき完全文が後続するということは、もしこの疑問副詞がなくても英文は成立するということです。この点を意識すれば、wh疑問文を組み立てる際にミスが減ります。

形容詞・副詞のはたらきをする疑問詞(疑問副詞how)

 疑問詞howは少し厄介です。まず、使い方に関しては、①単独の場合、②形容詞・副詞を伴う場合の2パターンあり、さらに英文中でのはたらきとしては、①形容詞のはたらき、②副詞のはたらきの2種類あるからです。

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  ある程度、英文を読み慣れている人であれば感覚的につかんでいるかもしれませんが、あえてこのように分類し使い方を意識することで、読みにくい英文に出会った時に対処できるようになるので、例文とともに頭の中に整理しておいてください。

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 例文12のhowは「単独」でC(形容詞)のはたらきをしています。もしこの疑問文に答えるなら、He was fine.のように、fineというC(形容詞)で答えます。様子・状態のhowです。例文13のhowは「単独」で副詞のはたらきをしています。方法のhowです。この場合は、完全文が後続します(have you come here todayは完全文です)。

 例文14のhowは「how+形容詞」というセットでC(形容詞)のはたらきをしています。もしこの疑問文に答えるなら、He is 175 cm tall.のように答えます。例文15のhowは「how+副詞」というセットで副詞のはたらきをしています。

 例文14と15で分かるように、howとセットで用いられる品詞によって「how+~」自体の品詞も決まります。how tallの場合は、tallが形容詞なのでhow tallも形容詞、how oftenの場合は、oftenが副詞なのでhow oftenも副詞、といった具合です。

 いかがでしょうか?要は、単なるwh疑問文の話なのですが、基本品詞をベースに考えることでこのようにシステマチックに分類され、なんとなく疑問詞とその意味だけ分かればいいやと思い込みやすい範囲に一定の規則性が見えてきたと思います。これこそが英文法を学ぶ意味なのです。ざっくばらんな英文という現象にある程度の規則性を見出し、読む・書くに一定の指針を与えてくれるのです。この英文法シリーズもそろそろ終盤に差し掛かってきましたが、今一度このような意識の元、復習をしてみるとまた新たな発見があるかもしれません。

 というわけで、疑問詞の分類の話は以上になります。次回は、間接疑問文について詳しく解説していきたいと思います。ご期待ください。

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