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英文法解説 テーマ9 関係詞 第1回 関係代名詞とか先行詞ってそもそも何?

 こんにちは。英文法レクチャーシリーズですが、約1か月のブランクを空けストック増強に努めてまいりましたが、今回から久々に再開します!再開後、1発目のテーマは、関係詞です。かなり複雑で苦手という人も多い「関係詞」について詳しく解説していきたいと思います。「先行詞」という用語の意味を知ることから始めて、日本語にはないシステムに思える関係詞の仕組みを基本から理解すれば、きっと関係詞が得意になるはずです。一歩ずつ丁寧に進めていくので、安心してついてきてください。

日本語と英語の修飾システムの違い

 関係代名詞という概念は日本語文法にはないので、「関係代名詞ってそもそも何?」「関係代名詞ってどう使うの?」という疑問を持っている人も少なくないと思います。そこで、まずは日本語と英語の修飾システムの違いから確認したいと思います。

 では、まず日本語から考えていきましょう。

早速ですが、例えば、「その少年はその本を買った」という文から、「その少年」「その本」を修飾する語句を作って、「~な少年」「~な本」という名詞句を作ってみましょう。これは簡単にできると思います。それぞれ、「その本を昨日買った少年」「その少年が昨日買った本」となります。

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 さて、これはどういう変形を行ったのでしょうか?何気なくできる日本語の文法操作をあえて意識してみることが重要です。

どちらも、修飾される名詞(「少年」「本」)を後方(=文末)に移動したことがわかりますか?

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 これと同じような文法操作を英語で行うことができます。ただし、日本語の場合と異なる点が2つあります。

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の2点です。

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 the boyやthe bookが前方(=先頭)に抜き出され、それを示すために関係代名詞が用いられているのです。the boyは「人」を表し、Sの位置から抜き出されたので、主格の関係代名詞whoが用いられ、the bookは「モノ」を表し、Oの位置から抜き出されたので、目的格の関係代名詞whichが用いられています。詳しくは、次のセクションで解説しますが、とりあえずこのような文法操作を確認しましょう。

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 さて、このような文法操作をした上で確認したいことがあります。英文法では、関係詞節(関係詞+(S)V)によって修飾されている名詞句(上記の例ではthe boy, the book)のことを「先行詞」と呼んでいます。なぜ「先行詞」という名称がついているか、気づきましたか?

 そうです。文の中から文頭(=先頭)に移動したから「先行詞」というのです。〇〇詞と言っても品詞ではなく「先頭に行ってしまった語句」という意味です。このことが分かると、関係詞節の構造も理解しやすくなるはずです。

 どういうことかと言うと、名詞句①の例では、S(主語)の位置からthe boyが抜き出されたので、関係詞節中はSが欠落した文になっています。また、名詞句②の例では、O(目的語)の位置からthe bookが抜き出されたので、関係詞節中はOが欠落した文になっています。このように、「欠落」という概念を用いてこのあと、関係代名詞の格についてひとつずつ解説していきたいと思います。

先行詞と関係代名詞の格の関係

 関係代名詞がどのように使い分けられるのかは、①先行詞が表す意味(人or人以外・物事)②先行詞が抜き出された元の位置がどういう場所だったか、によって決まります。次の表を見て確認してください。

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 学生のころ、「迷ったらthat!」とやったことがある人も多いと思いますが、練習のためにはできるだけwho/whom/whichを使い分けるのが良いと思います。また、先行詞が「人」で目的格の関係代名詞を用いる際は、伝統文法的にはwhomでしたが、近年は代用としてwhoを用いることの方が多いです。そのため、学校ではwhomは教えずにwhoのみを教えるところも増えてきています。ただし、前置詞+関係代名詞の際は、whomなのと、海外のジャーナルや文献ではwhomが用いられていることも多いので、完全にwhomを無視するというわけにはいかないでしょう。

主格の関係代名詞

 S(主語)の位置から名詞を文頭に抜き出して名詞句を作る際に用いられるのが「主格の関係代名詞」です。例文で確認しましょう。

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 例文1では、「人」を表す名詞句the personが、is walking over thereの主語から先行詞として抜き出されています。したがって、主格の関係代名詞whoが用いられています。例文2では、「モノ」を表す名詞句the bookがsells best nowの主語から先行詞として抜き出されています。したがって、主格の関係代名詞whichが用いられています。

 日本語と違って、関係代名詞が用いられているのは、「前方に抜き出されている」からです。もし、whoやwhichを省略してしまったら、例えば、例文1ではThe person is walking over thereのように元の文から何も変わらなくなってしまいます。例文2もthe book sells best nowで名詞句から文に戻ってしまいます。このような理由から、主格の関係代名詞は省略されません

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 例外はありますが、このことは覚えておいてください。

目的格の関係代名詞

O(目的格)の位置から名詞を文頭に抜き出して名詞句を作る際に用いられるのが「目的格の関係代名詞」です。例文で確認しましょう。

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 目的語の位置から先行詞が抜き出されたことによって、関係詞節中の目的語の位置が欠落していることに気づくでしょうか?例文3ではI didn’t knowの目的語が欠落しています(他動詞のknowの目的語がない)。例文4ではI want to buyの目的語が欠落しています(他動詞buyの目的語がない)。主語の欠落よりも若干、分かりにくいので注意が必要です。「他動詞の目的語の欠落」に気づけるかどうかがポイントです。

 また、目的格の関係代名詞は省略ができるのですが、これは目的語からの抜き出しの場合は、文の途中から先行詞を抜き出しているので、目的格の関係代名詞を省略しても、その文構造的特徴から気づけるからです。

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 よく英文読解の技術のひとつとして「名詞+SV」という構造には関係代名詞が省略されている、というものが紹介されていることがありますが、ここで気を付けてもらいたいのは、「名詞+SV【Oの欠落】」まで確認することです。

所有格の関係代名詞

 所有格の位置から名詞を文頭に抜き出して名詞句を作る際に用いられるのが「所有格の関係代名詞」です。主格や目的格の関係代名詞と違がって、「欠落部分」が探しづらいので気を付けましょう。

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 先行詞のthe manは関係詞節中では、the man’s nameのように所有格としてはたらいていましたが、それが先行詞として抜き出された結果、所有格の関係代名詞whoseが用いられています。この場合、関係詞節がname I didn’t knowとなり欠落部分が分かりづらいことが多いです。

では、どうすればこのような構造を把握するかというと、whoseの直後の名詞に注目します。

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 代名詞の所有格の直後の名詞を考えてみると分かるのですが、例えば、my carとは言ってもmy a carと言うことはありません。his nameとは言ってもhis the nameと言うことはありません。同様に、所有格の関係代名詞の直後の名詞も「無冠詞の名詞」が続くのです。

 このように、主格・目的格・所有格の関係代名詞にはそれぞれ関係詞節中に構造的な特徴があるので、それらを認識することが関係代名詞攻略の第一歩になります。というわけで、今回はここまでです。次回は「前置詞+関係代名詞」について解説していきたいと思います。ご期待ください。


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