英文法解説 テーマ9 関係詞 第5回 whateverとかeverがついた関係詞が苦手という人へ
こんにちは。関係詞の解説も今回で5回目です。かなりの分量になってきましたが、ここまでは大丈夫でしょうか?関係代名詞と関係副詞の理解をベースに、今回扱うのは「複合関係詞」です。何か分かりにくそうな名前ですが、いわゆる-everがついた関係詞のことです。つまり、関係詞と-everが「複合」しているので「複合関係詞」となり、関係代名詞と-everが複合したものを「複合関係代名詞」と言い、関係副詞と-everが複合したものを「複合関係副詞」と言います。では、それぞれを詳しく解説していきましょう。
複合関係代名詞
まず、次の2つの例文を見てみましょう。
どちらもwhateverを用いていますが、“whatever he says”の文中でのはたらきが異なるのが分かるでしょうか?例文1ではwhatever he saysは他動詞exaggeratesの目的語になっているので、名詞節としてはたらいていますが、例文2では主節I will do my bestとは別に文型上何もつながりがないので、副詞節としてはたらいています。なんと、whatever SVは「名詞節」の場合と「副詞節」の場合で意味が異なるのです。
ということは、上の例文1は「彼は言うことを何でも誇張する」となり、例文2は「たとえ彼が何を言っても私は最善を尽くす」となります。
ここで、ひとつ押さえておきたいことがあります。関係代名詞what+SVは、名詞節として「SがVすること・もの」と訳しましたが、複合関係代名詞whatever+SVは、名詞節では「SがVするものは何でも」、副詞節では「たとえ何をSがVしても」のように、「何」という疑問詞の訳し方をしているのです。複合関係詞を訳す際は、このように「疑問詞」としての訳し方を意識することがポイントです。もっとも、関係詞代名詞なので、主格・目的格・所有格という特徴も持ち合わせ、後続のSVが不完全文になるという点も重要です。
whateverに限らず、whoeverやwhomeverやwhicheverも同じように考えることができます。次のようにまとめてみたので確認してください。
whoeverは、主格の関係代名詞whoと同じように、後ろには「Sが欠落した不完全文」が続きます(上の表では便宜上、“whoever V”と表記しました)。また、whoeverは、疑問詞whoを「誰が」と訳すように、名詞節の場合は「Vする人は誰でも」、副詞節の場合は「たとえ誰がVしても」と訳します。
ところで、副詞節の場合のwhoeverは、no matter whoに言い換えられます。ここでのno matterは「重要ではない」の意味で、「誰がVするかは重要ではない」という意味から「たとえ誰がVしても」という解釈ができます。
他の複合関係代名詞も同じように考えれば対応することができると思います。whateverのはたらきが2つありますが、これは疑問詞whatを用いる場合に、単独のwhatは「何」と訳しますが、what+名詞のときは「どんな名詞」と訳すことを反映しています。ちなみに、前者のwhatを疑問代名詞と言い、後者のwhatを疑問形容詞と言うので、whateverも複合関係代名詞と複合関係形容詞の2パターンあるということです(テーマ13 疑問 第1回「疑問詞(wh-)と言っても実は3パターンあるんだよ、という話」を参照(後日アップします))。
複合関係代名詞に関して、いくつかを例文で確認していきましょう。
例文3のwhoever節は名詞節としてはたらいている(welcomeの目的語)ので「Vする人は誰でも」と訳しています。一方で、例文4のwhoever節は副詞節としてはたらいている(主節から独立している)ので「たとえ誰がVしても」と訳しています。例文5と6のwhatever節は、直後に名詞plan・bookがあるので、「whatever+名詞+SV」という構造になっています。例文5では、whatever節が名詞節としてはたらいている(前置詞toの目的語)なので、「SがVする名詞は何でも」と訳しています。一方で、例文6のwhatever節は副詞節としてはたらいている(主節から独立している)ので、「たとえどんな名詞をSがVしても」と訳しています。
複合関係副詞
次は、複合関係副詞です。これも、①訳し方は疑問詞を意識し、②構造の特徴は関係副詞と同様に「完全文」が続く、ということが分かれば、仕組みは複合関係代名詞と同じです。とりあえず、表にまとめたので、見ていきましょう。
複合関係代名詞と異なる点は、2つのはたらきがどちらも「副詞節」だということです。つまり、whenever節とwherever節は、英文中では常に副詞節としてはたらくので、どちらの訳し方が良いかは文脈によって判断するしかないのです(ただ、どちらの意味で解釈しても大差ないことも多いです)。もちろん、no matter whenやno matter whereの場合は「たとえいつ・どこでSがVしても」という「譲歩」の意味になります。
また、however節は「たとえどんなに+形容詞・副詞+SがVしようとも」という「譲歩」の訳し方しかしません。howeverと言えば、「しかしながら」と訳すイメージが強いかもしれませんが、その場合は単独の副詞としてはたらきます。複合関係副詞の場合は、however+形容詞・副詞+SVという語順の副詞節を形成するので、カタマリとして見てください。
複合関係副詞の例文をいくつか確認しましょう。
例文8と9は、no matter -に書き換えることができるので、それぞれNo matter when you may hideやNo matter how fast you runとすることもできます。howeverを用いる際に、直後に形容詞・副詞を置き忘れてしまうミスが目立つので気を付けてください(例文9ではfastが副詞です)。
というわけで、複合関係詞を、複合関係代名詞と複合関係副詞に分けて説明していきました。一見すると面倒で分かりづらい範囲に思えるかもしれませんが、規則性がきちんとあるので一度理解すれば定着しやすいと思います。頑張ってください。
次回は、関係詞の最終回です。コンマありとなしの関係詞節の違いについて解説していきたいと思います。ご期待ください。
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