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英文法解説 テーマ1「品詞と文型」 第9回 使役動詞が分かれば世界が広がる!

 こんにちは。プロ予備校講師のタナカケンスケです。今回も丁寧かつ分かりやすく英文法を解説していきたいと思います。よろしくお願いします。

さて、第5文型の解説もここまで3回分続けてきました。前回までで、「S+V+O+C(名詞または形容詞)」、「S+V+O+C(to V)」、「S+知覚動詞+O+C(V原形/Ving/Vp.p.)」の3つのパターンについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?今回は、第5文型の真打ち(!?)こと、「使役動詞」の解説をしていきます。ここが分かると、読める英文がぐっと広がります!

3つある使役動詞とは?

 まず、使役動詞(「させる」タイプの動詞)には次の3つがあるということから確認しましょう。

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 基本的には、それぞれ「させる」という意味を持つのですが、少しずつニュアンスが異なります

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 相手の意に反して「~させる(強制)」という意味や状況的に「~させてしまう(必然)」という意味を持つ使役動詞がmakeです。元々「作る」という意味なので、「状況を作り出す」というイメージでとらえると良いと思います。反対に、相手の意に沿って「~させてあげる(許可)」という意味を持つ使役動詞がletです。語法は異なりますが、意味的には「allow(許可する)+O+C(to V)」と書き換えが可能です。そして、相手の行動を自分のコントロール下に「持っている」ということから、「~してもらう(依頼)」という意味を持つのがhaveです。また、haveには「~されてしまう(被害)」の意味を持つこともあるので注意が必要です。

それぞれの使役動詞の語法

 次に、それぞれの使役動詞の語法を見ていきましょう。前回の「知覚動詞」の際は、C(補語)の語形が、V原形、Ving、Vp.p.と3種類あり、どれを用いるかでC(補語)の訳し方が変わりましたが、使役動詞の場合は、C(補語)の位置に用いられる語形が、ある程度限られます

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 これら以外にも特別な使い方もありますが、まずは上記の4パターンの例文を確認していきましょう。ここでもOとCに「隠れたSV関係」があることを意識してください。しつこいようですが、とにかく第5文型(SVOC)はOとCの関係に注目するのが大切なのです!ここがしっかり理解できていると、Cの語形の「V原形」と「Vp.p.」の使い分けも分かると思います。

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(1)・・・He made「彼はさせた」というSVの後ろに、I sang a song at the party「私がパーティーで歌を唄った」という「隠れたSV関係」を持つOとCが続いています。
(2)・・・Her parents let「彼女の両親はさせてあげた」というSVの後ろに、she studied abroad「彼女は留学した」という「隠れたSV関係」を持つOとCが続いています。
(3)・・・I had「私はしてもらった」というSVの後ろに、my siter helped me with my homework「私の姉が私の宿題を手伝う」という「隠れたSV関係」を持つOとCが続いています。
(4)・・・I had「私はしてもらった」というSVの後ろに、my photo (was) taken by my friend「私の写真が友人に撮られた」という「隠れたSV関係(受動態)」を持つOとCが続いています。
(5)・・・She had「彼女はされてしまった」というSVの後ろに、her umbrella was blown off by the wind「傘が風に飛ばされた」という「隠れたSV関係(受動態)」を持つOとCが続いています。

 (4)と(5)では、S+have+O+C(Vp.p.)と同じパターンの語形が続きますが、一方では「~してもらった」という依頼の意味で、もう一方は「~されてしまった」という被害の意味になっています。これらは、構造からはどちらの意味か判断がつかず、訳してみないとどちらの訳し方が良いのか分かりません。(4)は、もしI had my photo taken by a stranger.であれば、「私は見ず知らずの人に写真を撮ってもらった」でも「私は見ず知らずの人に写真を撮られた」でもありえますからね。前後の文脈から判断するしかありません。

注意が必要な使役動詞

 さて、次にちょっと変わった「使役動詞」の使い方を見ていきましょう。登場するのは、makehelpです。makeはここまででも説明してきた知覚動詞の代表的な動詞ですが、上記以外の使い方があります。また、helpは一般的には使役動詞とは呼びませんが、結果的に使役動詞と同じような語法を取ることになるので注意が必要です。

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 まず、make oneself understoodですが、例えば、I was able to make myself understood in English in the U.S.「アメリカ合衆国で私は英語で自分の言いたいことが通じた」のように用いられます。慣用表現として覚えてしまっている人も多いくらい定番の使い方です。

 helpに関しては、基本的には「help+O+C(to V)」という語法で用いられるのですが、Cの位置にある「to V」からtoが省略されてしまい、「V原形」になることが多々あります。その結果、makeやletなどの使役動詞と同じように、「help+O+C(V原形)」になります。

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getを使った使役表現

 最後に、いろいろと勘違いされることが多いgetについて解説します。getにも「させる」と訳せる第5文型の使い方があるのを覚えているでしょうか(第7回の「S+V+O+C(to V原形)」パターンを参照してください)?この「させる」という意味から、getも使役動詞make, let, haveの仲間だと思われがちですが、Cの位置の語形が異なるので、使役動詞には属しません。ただし、「Oが~される」という関係を表したいときは、Cの位置に過去分詞形(Vp.p.)を用いることはできます。

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 「get+O+to V」は覚えている、という人でも意外と「get+O+Vp.p.」は盲点となっていることが多いので、ここは要注意です。「Oを~してしまう」という表面的な訳し方だけでは、Cの位置になぜ過去分詞形(Vp.p.)が用いられているのか分かりにくいかもしれませんが、上記の例での「the task」 と「done right away」の関係は、be動詞を間に入れると分かるように、「the task is done right away(その課題はすぐになされる」)のように受動態の関係になっているのを確認できると良いでしょう。

今回のまとめ

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 使役動詞は、英文中で本当によく使われます。今回紹介したタイプの例文だけでなく、無生物主語構文など、使役動詞の使い方がポイントになる構文もあります。最初にも書いたように、使役動詞を理解できれば、読める英文の幅がぐっと広がりますよ。

 というわけで、長かった第5文型の解説もようやくここでいったん終了となります。もちろん、他にも実践的な問題へのアプローチの仕方などまだまだ説明したいこともあるのですが、それはまた別の機会に。

 次回は、ここまでの「品詞と文型」の総まとめと位置付けて、形式主語構文(仮主語構文と言うこともありますね)と形式目的語構文(これも仮目的語構文と言うことがありますね)について解説していきたいと思います。ご期待ください!

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