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英文法解説 テーマ12 特殊構文 第2回 「倒置」って難しそう…と思われがち

 こんにちは。今回は、英文法解説シリーズ・テーマ12「特殊構文」の第2回目「倒置」です。前回のイントロで少し説明したように、「特殊構文」と言っても、何も特別なことではなく、組み立てられた英文の一部を強調や省略したり情報の流れを整理したりするための方法をまとめて「特殊構文」と呼んでいるだけです。今回はその中でも「倒置」について解説していきたいと思います。「倒置」と聞くとなんだか難しそうな印象があるかもしれませんが、ルールは非常にシンプルで分かりやすいので、基本から理解していけばきっとすんなり頭に入ってくると思います。

倒置の語順

 まずは、「倒置」とはそもそも何か?から考えていきましょう。「倒置」と聞くと「何を倒して置くのか?」と疑問に思う人も少なくないでしょう。また、多少「倒置」について学習した人でも、「SとVをひっくり返す、逆さにする」という印象を持っている人もいるでしょう。

実は、「倒置」というのは中1~2英語くらいの知識でも十分対応できるのです。簡単に説明すると、「倒置」とは「疑問文の語順」のことです

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 正確に言うと、疑問文の語順も「倒置」の一種なのですが、ほとんどの英語学習者は疑問文を初期段階で学び、かなり後になってから倒置を学ぶことが一般的です。なので、倒置を学ぶ際には新しいルールを学び直すより、「疑問文の語順」と言われた方が分かりやすく感じるでしょう。

「倒置」=「疑問文の語順」ということが分かれば、あとは簡単です。どういうケースで倒置が起きるのかを把握すればいいだけです。倒置が起きるケースは、wh疑問文・Yes-No疑問文やifの省略後のSV倒置(テーマ8仮定法 第3回「「もし~ならば」が隠れている仮定法について」を参照)を除けば、主に2つのケースがあります。それらをこれから説明します。

M(副詞要素)+倒置

 倒置を引き起こすきっかけのことを「倒置のトリガー(引き金)」と呼ぶのですが、そのトリガーの1つが「副詞要素が文頭に置かれた場合」です。具体的には、否定を表す副詞句only+副詞句が文頭に置かれると倒置が起きるというケースになります。一般化すると次のようになります。

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 否定を含む副詞句やonly+副詞句が文頭に置かれるのは、強調するためや情報の流れをスムーズにするためですが、それによってSVが倒置します。繰り返しになりますが、倒置を引き起こすきっかけのことを、専門的には「トリガー(引き金)」と言いますが、この場合、否定を含む副詞句やonly+副詞句が文頭に置かれることが倒置のトリガーになる、というわけです。例文で確認しましょう。

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 例文1では、単独のneverが否定を含む副詞句のはたらきをして倒置のトリガーになり、直後が倒置構造(I suspected→did I suspect)になっています。

例文2では、In no other cityが否定を含む副詞句で、直後が倒置構造(prices are higher→are prices higher)になっています。in no other cityとin this cityが、A<Bという関係で比較されています。

例文3は、No soonerがトリガーとなり、I had leftがhad I leftという倒置構造になっています。これは慣用構文で、No sooner VS~ than SV…と一般化され、「~するとすぐに…だ」と訳します。

例文4は、Only once in my life(only+副詞句)が倒置のトリガーになっています。I have traveledがhave I traveledという倒置構造になっています。

so/nor/neither+倒置

 倒置が起きる2つ目のケースは、soやnor/neitherが文頭でトリガーになるパターンです。これは、前文の肯定文や否定文に情報を「追加」する際に用いられます。一般化すると次のようになります。

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 肯定文への情報追加は、So VSという形式で表されます。基本的には、前文のS1に対して、S2を追加するときに用いられます。S1を固定して、Vを追加する使い方もありますがここでは割愛します。

否定文への情報追加は、Nor/Neither VSという形式で表されます。norとneitherは微妙に使われ方が異なりますが、これはnorが等位接続詞で、neitherが副詞だからです。norは等位接続詞なので、SVとSVを一文の中で結びつけることはできますが、neitherは副詞なので、SVとSVを一文の中で結びつけることはできません。ピリオドで文を切るか、andを使って結びつけるしかありません。それぞれを例文で確認しましょう。

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 どの例文も、前文に対する情報を追加しています。肯定文か否定文かで用いる形式が異なるということです。“So am I.”とか“So do I.”という表現をよく見かける人も多いと思いますが、そのam Iやdo Iがまさしく倒置です。ただし、このパターンをただ暗記してしまっているだけだと、次のような例文に戸惑うかもしれません。

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 So VSと違って、So SVの場合は、前文への同意(または確認)になります。例文では、she is selfishという部分を「同意(または確認)」しています。So VSだけでなく、こういう使い方も併せて知っておくと良いでしょう。

 ここまでが、いわゆる「倒置」という仕組みです。「倒置」=「疑問文の語順」というシンプルな規則性を理解したうえで、どういう状況でと位置が起きるのか(=何が倒置のトリガーになるのか)を覚えれば簡単に攻略できると思います。

ただし、「倒置」と似た語順にもかかわらず、仕組みが全く異なる「語順転倒」というのもあります。これを「倒置」と勘違いすると、いろいろなことが混乱しせっかく理解した「倒置」まで分からなくなることがあるので注意が必要です。この「語順転倒」については、次回詳しく説明します。ご期待ください。

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