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令和から明治に登校する子どもたち

先日、学校にICT支援員として来られていた企業の方とお会いしたときに、こんな話を聞かせてくださいました。

「私から見ると、令和の時代から明治の時代に登校している感覚です。」

子どもたちは、過去の時代へと登校している

GIGAスクール構想のもと、学校現場では一人一台タブレットが配備されました。うちの自治体でも、全員にdocomoとの契約がされたセルラータイプのiPadが配備され、ICT好き、ガジェット好きの私は
「ひゃっほぉぉぉ!」
と小躍りしたところです。

しかし、ハードは整備されたものの、中に入っているアプリ等のソフト面、そして何より使う私たち教員側のマインドが、せっかくのハードの良さを台無しにしている。そんな印象です。

確かに、チョーク&トークの授業は基本だし、間違いなく授業が成り立ちます。
でも、その安心感に甘えて、
「このままでいいじゃん。できてるんだし。」
と、新たな技術を学んだり取り入れたりすることを拒んでいるのが、今の学校現場だと僕は思うのです。

冒頭の話。面白かったので支援員さんにいろいろ聞いてみました。

「今の子どもたちは、中学生になるころには8割9割の子が自分用のスマホを買ってもらっている。フィルタリングもほとんどかかっていない。それが令和の時代のスタンダードです。」

「だけど、学校に来ると、フィルタリングと規則でがんじがらめにされたタブレットを、先生が指示したときのみ活用している。ちょっとベンリなノート、ちょっとかさばらない提出箱としての役割しかできていない。」

「これって、明治時代に学校制度が始まったときのスタイルと、基本的には何も変わっていないと思うんです。黒板の前で先生が子どもたちに知識を与えて、それをノートにまとめる。それじゃタブレットを使う意味は少ないですよね。令和から明治に登校して、また令和に帰っていく。そんな印象を学校に来ていると思うのです。・・・エラそうにいろいろとごめんなさい。」


痛快!

・・・いやー!!もうその通り!!!ほんとおっしゃる通り!!!

令和から明治に登校している。
本当にその通りだと思いました。
これから社会に飛びこんでいく子どもたちのためにも、変えていかなければならないところですね。

じゃあ、実際に現場で働いている僕たちには何ができるのか。
それは
「小さくてもみんなの一歩進めること」
それだけです。

「よし!じゃあ今日から全学級でICTをベースにした授業を進めていこう!」
「社会の授業で桃鉄やるぞー!」
「共同編集でポスター作りだー」
「学級懇談会もZOOMでやるぞー」

なんてやってたら、他の先生に白い目で見られるだけです。
だって、これまでチョーク&トークでやってきた先生にとっては、ICTの積極的活用って、僕たちが思う以上にハードルが高いですから。

越えられない壁は、前に進む力を失わせる


良くも悪くも企業とは違う文化の中で過ごしている学校。
ここで新たな風を吹かせるためには、
「3歩進んで2歩下がる」
のマインドを持つべきでしょう。

考え方を、レベルを、相手に合わせるのです。
「それくらいだったらできるかな・・・」
と思わせられたらしめたものです。

「すごい!!これができたんなら、先生次はこれもできますよー!!」
「めっちゃ覚えるの早いですねー!!もう明日から使えますよー!!」

なんておだてながら、少しずつICTアレルギーを取り除いていくこそ。
それが明治を大正、昭和、平成、令和へと進めていく方法なのだと、僕は思います。

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