「不登校特例校の設置」に思うこと。大人がタッグを組もう!

昨年度、不登校の小中学生の人数が過去最多となったことを受けて、永岡文部科学大臣は、児童や生徒の事情に合わせて特別なカリキュラムを組むことができる「不登校特例校」の設置を促進するなど、今年度内をめどに総合的な対策を取りまとめる方針を明らかにしました。

文部科学省によりますと、昨年度、学校を30日以上欠席した不登校の小中学生の人数は24万4940人と過去最多となりました。

これを受けて、永岡文部科学大臣は閣議のあと記者団に対し「多くの子どもたちが学校の学びから置き去りにされているということは、教育の根幹を揺るがす憂慮すべき課題だ」と述べたうえで、今年度内をめどに総合的な不登校対策を取りまとめる方針を明らかにしました。

具体的には、
▽児童や生徒の事情に合わせて特別なカリキュラムを組むことができる「不登校特例校」の設置促進や、
▽1人1台の学習用パソコンやタブレット端末を活用した日常的な心身の健康観察、
それに
▽児童や生徒を対象とした学校の雰囲気に関するアンケートなどについて検討する考えを示しました。

 全国的な不登校児童・生徒の増加を受けて、永岡文部科学大臣が特例校の設置を推進するというニュース。

 これに関して思うことは2つ。

・この計画の実現に関して、どれくらいの予算が使われるの?
・どれくらいの人材が投入されるの?

誰か・いつ・どこで・いくらでやるの?


 いや、言いたいことはすっごくわかるんですよ!
 「現在の不登校傾向児の増加は社会問題だから、解決しなきゃ!」
 その通りです。社会全体で解決しなきゃなりません。

 でも、その行動を、誰が、いつどこで・いくらでするのでしょうか。
 
 私のクラスにも毎年不登校傾向の児童がいます。
 事情は様々です。友達とのトラブル、ゲーム依存、生活リズムの乱れ、家庭の方針、SNS関係の問題、上級生との関係性・・・。
 根は深いです。でも、可愛い教え子です。なんとかしてあげたいに決まっています。一番苦しいのは本人と保護者の方なんです。

 いろんなことをしました。
 毎日朝から帰りの会まで、いつ入ってくるか分からない中でZOOMの部屋を1年間立ち上げ続けました。
 週3会家庭訪問をしました。会えない日の方が多かったですが。
 その子の友達に頼んで休日に遊んでもらいました。
 保護者さんと毎月会議もしました。

長い長い戦い。それが不登校。

 それでも、なかなか学校へは足が向かないんです。
 逆に、大人が「早くおいでよ」とプレッシャーをかければかけるほど固まってしまう子も多いのです。だから、丁寧に、根気強く、信頼関係を築きながら、少しずつ少しずつ、心を解きほぐさないといけない。
 それが、不登校というものだと私は思っています。大変な仕事なんです。

 そして、そうやって丁寧に対応しながら、残りの30名以上の学級の子たちとも関わらないといけないのです。学力をつけて、人間関係を整えて、行事を進めて、人としてあるべき姿を一緒に考えて。
 それが学級担任という仕事です。とても1人では手が足りません。

個へ目を向け、集団へ目を向け・・・

 どんなに素晴らしい理想も、実現をするためには予算と場所と時間とマンパワーが必要だと、私は思います。
 現状、学校現場では35人学級を成り立たせるための教員すら足りておりません。若手が続々と辞めています。教育学部にいながら採用試験を受けない、教員にならないという大学生も増えています。
 そんな中で、単に不登校児童のための特例校を設置するだけできめ細かな個に応じた指導ができるものでしょうか。私は現状では難しいと思います。

 だからこそ、この方針を机上の空論で終わらせないためにも、ただ現場に「特例校に指定しますので頑張って。」
と投げやるのではなく、きちんと予算を組み、学校内からも学校外からも人材を投入し、本当の意味で社会全体で不登校の子たちへ手を差し伸べる。
 そんな取り組みを実現させてほしいと思うのです。

 大人たちがタッグを組み、やいのやいの言いながら子どもに居場所を提供する。そんな社会になればいいな、と思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?