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寿司屋もあるから、「Vtuber」はジャンルになりえる

ニコニコVtuber発掘会の活動をする前提として、私は「Vtuber」をひとまとめにしている。

ただVtuberを総合的に見ようとすればするほど、その多様性にまとめる事の困難さを感じる。

本記事では、そんな日本・世界にいるヤオヨロズのVtuberをジャンルとしてひとまとめに扱うことについて、改めて考えてみようと思う。

もちろん、私のこの活動はあくまで趣味であり、好きでやってることなので、そこに意義がなくたっていい。

それに他にも、Vtuberをまとめて扱う人や会社も多く、その人たちを否定するつもりもない。

さらに結論を言ってしまうと、私は「『Vtuber』はジャンルになり得るのでは?」と思っている。

以下の文には色々書いたが、このnote自体も私の趣味でしかないので、あまり腹を立てずに読んでいただけると嬉しい。

Vtuberは、表現方法であって中身ではない

ちょうどこの前の記事で、Vtuberの定義を語った。


簡単に説明すると、「Vtuber」をトラッキング技術(人の動きとモデルを動きを同期させる技術)を中心にして定義をした。

仮に、トラッキングを使用してなかったとしても、「人の肉体ではない仮の姿で登場する」ということがVtuberの共通項であることは間違いないだろう。

つまり、Vtuberはそのアバター・仮の姿を使った表現方法であると言えるだろう。

逆に言うと、Vtuberはその表現の中身ではない

Vtuberが歌を歌えば、中身は「音楽」になり
Vtuberがコントをすれば、中身は「お笑い」になり
Vtuberが学術解説をすれば、中身は「教養」になる。

Vtuberは、あくまで形式であって、
その形式で、誰が何をするかによって
その中身は変わっていく。

Vtuberがあまりに多様で、まとめる事が困難である理由は、これが大きいのだと思う。

そして、ジャンルになりやすいのは、この中身である「音楽」「お笑い」「教養」と言ったものだ。

だからこそ、Vtuberをまとめて語ることに、疑問も浮かんでくる。

ニコニコの動画ジャンルに、「バーチャル」が作られず、
「エンターテインメント」にVtuberの切り抜きが多く投稿されているのも、このようなことを理由に、「バーチャル」を動画ジャンルにしていないのかもしれない。

知らんけど。

Vtuberは寿司と一緒?

上記したような考え方を得たのは、Newspicksで配信されている以下のWeekly Ochiaiを見た時だ

この配信は、シン・ゴジラやシン・ウルトラマンの監督として知られる樋口真嗣監督をゲストに呼んで、特撮をテーマに落合陽一さんと様々なトークをした。

その中で、落合さんの「特撮って、SFのサブジャンルなんですか?」という質問に対し、樋口監督は

どっちかというと、表現方法で・・(中略)・・技法であって、中身ではない

特撮と日本と怪獣 #NewsPicks #WEEKLYOCHIAI

と回答をした。

私はこの言葉を聞いた時、「Vtuberも、そうなのではないか?」と思った。
理由は、上記した通りである。

しかし、そのあと間髪入れずに落合さんは、こう返す。

技法と中身がひとまつ部類にして語られるって、けっこうアリだなと思っているのは・・

ボク、メディアアーティストをしてまして・・・

メディア芸術ってのも、メディアアートも1個ジャンルだなと思っていて・・・

技法的に、ほらコンピューター使ったりとか、あと媒体使ったりとか、色んなもの使うわけなんですけど

あれはあれで"寿司屋"みたいなもんだと僕は思ってるんですね。ジャンルで

特撮と日本と怪獣 #NewsPicks #WEEKLYOCHIAI

落合節がなかなか強いが、私なりに要約すると

「技法も、中身も、ジャンルになっても良い。
メディアアートも、技法によるジャンルである。
そして、それは"寿司屋"みたいなものだ。」

ということだろう。

ここで、気になるのは突然登場した寿司屋さんだろう。
僕もメン食らった。寿司屋なら"メン"より寿司を食わせろ。

そんなつまらぬ冗談はさておき
寿司屋みたいな とはどういうことだろうか?

寿司の定義ってなんだろう?

寿司というのも、改めて考えてみると多様性がある食べ物だ。

基本は、にぎり寿司と呼ばれるような、マグロなどの魚介類を生で酢飯に乗せて食べる。

しかし、それだけかと言うと、サーモンが炙られて乗ることがある。

もっと言えば、魚卵や玉子焼き、時にはハンバーグも乗っている。

また軍艦巻き、のり巻きのような、巻いてる寿司もある。

ちらし寿司に関しては、ほとんどドンブリだ。
海鮮丼とは、どう違うのだろう?

地元の寿司屋に、初めてちらし寿司を注文したら
以前にも注文したことがある海鮮丼が届いたことがある。
寿司屋も違いがわかっていないのかもしれない。

カリフォルニアロール?もはや洋食ではないか!!

そんなことを考えていたら、寿司の定義が分からなくなってくる。

共通しているのは、酢飯と具を一緒に食べるということだけだ。

そこで気づいた。
「寿司」というは、食べ物というより
"酢飯と一緒に食べる"という食べ方 なのではないか?

そして、酢飯と何を一緒に食べるのか、
どのように混ぜるのかで、寿司は多様性を生み出している。

そう考えると、納得が行く。

寿司というジャンル

ここで、ようやく落合陽一さんの言葉を理解できる。

寿司は、あくまで食べ方なのだから
これも技法という事になる。

酢飯はあくまでも、その食べ物の土台に過ぎず
あくまでメインは、酢飯と一緒に食べる具材だ。
だからこそ、僕らはそれをネタと呼ぶ。

そして、その技法による食べ物をひとまとめにして
"寿司"と呼び

その技法による食べ物をひとまとめにして扱うお店を
"寿司屋"と呼ぶ。

この寿司屋が成り立っていること自体が、
寿司がジャンルになり得る証拠であり、
技法によるジャンルがジャンルになり得る証拠でもある。

ちなみに、日本最古の寿司屋は、奈良県にある「つるべずし 弥勒」というそうだ。当主は49代目を数え、創業800余年を誇る大老舗だ。

そう考えていくと、Vtuberもジャンルにして良いのではないか?と思えてくる。

技法によるジャンルには、特有の見方があるらしい?

先ほど、紹介したWeekly Ochiaiには続きがある。
落合陽一さんの寿司屋発言の後、樋口監督が言うには

そういったものを、どう見るみたいなところが"メディア芸術"だったりするじゃないですか。

『こっから見てくださいね!』とか

特撮と日本と怪獣 #NewsPicks #WEEKLYOCHIAI

落合さんもこれには納得して相槌を打つ。
そして、樋口監督は続けて

特撮とかも、そう言うところがあるわけ

『みんなこれを生き物として見てくださいね』って

どう見ても、ウェットスーツだったり、タイツだったりするかもしれないけど

ここに付いているのは目玉です。

で、なんか口は開け閉めできないけど、しゃべりますとか。

でも、それは腕の形で、そう見えたりっていう風に

僕ら、子どもの頃から訓練されてる。

特撮と日本と怪獣 #NewsPicks #WEEKLYOCHIAI

私は、特撮にも、メディアアートにも、あまり明るくないが
どうやら、どちらにも"特有の見方"というのがあるらしい。

Vtuberも、特撮に近い"見立て"の文化があり
どう見ても、絵やCGであっても、そこにはVtuberが存在している。

フィルカルに掲載された、山野弘樹先生の論文を再び紹介するが、
この論文も「Vtuberを人はどう見ているのか」が主題になったものだったと思う。

そう考えていくと、Vtuberも、特有の見方がある。

これが、技法によるジャンルの共通特徴なのか、あらゆるジャンルがそうなのかはさておき。

この特有の見方を持つVtuberも、ジャンルになり得るかもしれない。

専門用語は、ジャンルの特徴?

もう一つ、ジャンルになり得るものの共通点として
特有の言葉というのもあるのではないか?と思う。

これは、WeeklyOchiaiでは語られなかった、ただの私の持論だ。

寿司には、アガリ・ムラサキ・カッパ・ガリと言った特有の言葉使いが存在する。

特撮の専門用語はよく知らなかったので、調べてみると特撮用語辞典が見つかった。

メディアアートも調べてみたが、「メディアアート」という言葉の新しさゆえか、用語辞典は見つからなかった。

でも、あんな複雑なことをしているのに、専門用語がないってことは無いだろう。

無くても、落合陽一さんが作っていそうなものである。
「デジタルネイチャー」とか落合さん発案だっけ?
うる覚えで申し訳ない。

そして、Vtuberも専門用語だらけである。

てぇてぇ、魂、転生、くしゃみたすかる、親分、かわいそうはかわいい、杞憂民、四天王、畳、為、バ美肉

挙げだしたらキリがない。

ニコニコ大百科には、「Vtuberでわからない単語が出てきた時に見る記事」さえ存在する。

このように、特有の言葉が生まれ、その中で言葉が共有されるのも、それがジャンルとして成り立っているからなのではなかろうか?

最後に

こうやって考えると、やはり「Vtuber」はジャンルになり得る。

ニコニコの動画ジャンルにするかは、さておき
「Vtuber」という括りで見ることに、なにか間違いはないと思う。

少し話がそれるが
私が作ったこの「ニコニコVtuber発掘会」は、
現状、私しか運営メンバーはいないため
ほぼ私個人のものになってしまっている。

しかし、私はこれを「会」としたのは、
「ニコニコVtuber発掘会」は、あくまで屋号であり、
ニコニコで活動するVを支えるコミュニティであった方が良いと思ったからだ。

Vtuberがあと何年続いていくのかわからないし
「つるべずし 弥勒」のような老舗になるのは
本当に難しいと思う。

それでも、いつかこの「ニコニコVtuber発掘会」を、引き継いでくれる人が居てくれたら、私は嬉しいと思う。

ただ、まだここでやりたいこともあるので
もう少しで色々続けていけたらなと思う。

話が取り留めもなくなって来たので
ここで筆を置くことにする。

PS:ニコ生で番組作りました。タイムシフトまだ見れるので、良かったら見てみてください。

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