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壮大かつシビアな人生戦略の指南書『超ミニマル主義』『超ミニマル・ライフ』の読み方

「軽量化」がもたらすもの

この「ミニマル」シリーズは「軽量化」をキーワードに、スケジュール、人付き合い、持ち物、衣服、さらには、睡眠、食事、運動、思考と習慣と、多岐にわたるメソッドがかなり具体的なティップスとして落とし込まれています。

まず一冊目の『超ミニマル主義』の8か条はこちら

超ミニマル主義の8ヶ条
1.最も⼤切なことに集中するために、他のすべてを⼿放す
2.⾝軽さ、⾃由度の⾼さ、遊び⼼が、潜在能⼒を最⼤化する
3.最短時間で最⼤効果、最⼩労⼒で最⼤パフォーマンスを
4.仕事を愛し、楽しんで働くことで最⾼のアウトプットを
5.心を軽くするために、体の負担と環境負荷を最⼩化する
6.上質な成果を出し続け、持続的に働くために暮らしを整える
7.時間に極端なメリハリをつけて初めて、⼈⽣は豊かになる
8.仕事は究極の遊びであり、働き⽅は⽣き⽅である

『超ミニマル主義』


そして、続編の『超ミニマル・ライフ』では3つの大原則として以下が挙げられています。

超ミニマル・ライフ3つの大原則
①「自由時間」最大化のために、仕事と家事を超効率化する
②「パフォーマンス」最大化のために、体・脳・心の負担を最小化する
③「幸福度」最大化のために、お金・仕事・人間関係の不安をなくす

『超ミニマル・ライフ』


アウトドアのスキルの有用性

著者は現在ニュージーランドの湖畔で自給自足+FIREとライフスタイルで生活しています。

紹介されている「軽量化」の発想は、アウトドアスキルの経験から導き出されたものも多く、説得力があります。

というのも私自身が「ちょっとした不具合」の積み重ねがいかに影響するか実感したからです。

私は登山やキャンプなどのアウトドア経験がほとんどなかったのですが、数年前ちょっとしたトレッキングができる最低限の道具を一式揃えたことがあります。

「低い山でも雨具は必ず入れる」「疲れにくいザックの背負い方」などショップの店員さんの説明に感心したものの、正直にいえば、こうした装備の大切さを実感したのは、アップダウンのある15キロほどのコースをサイクリングしたときでした。

スポーツ用の薄手のレギンスにパンツを重ねて履き気候にはぴったり。しかし、いざ自転車を漕ぎ始めてしばらくすると、おそろしく疲れるのです。

しばらくしてようやく、レギンスとパンツの素材が滑りにくてひっかかり、脚が上がりにくいのだとわかりました。

歩いているときには全く気付かないことでした。
腿が上がらないわけじゃないけど、無駄な力が必要になり、積み重なるとしんどい。

単純なことだけど、これが難度の高い登山なら命取りになるということです。

日常生活の負荷を取り除く

こうした発想を日常生活に展開すれば、私たちの何気ない行動がいかに心身に負荷をかけているかに気づかされます。

そして本著で紹介されている「そこまでする?」というような細かなチップスのひとつひとつを実践していくことで、エネルギーを取り戻し、または蓄え、自分がやりたいことに注ぐ。

壮大かつシビアな人生の指南書

ファーストステップとして、「バッグを軽くする」といったことから始めてももちろん構いません。

しかし、本著を読んだ印象として、徹底的に取り組むことで見えてくる景色がある、生半可では実感できないのではないか。

そういった意味では、なかなかハードルの高いメソッドなのかもしれません。

いまの自分の「あたりまえ」を見直す

ただ、著者がこの2冊で挙げている膨大なメソッドは、無意識に「あたりまえ」としてやり過ごしているかもしれない自分の人生を、一歩離れて見つめなおすチャンスになることはたしかです。

400ページでも大丈夫

ちなみに帯にも書かれている「分厚さ」

たしかにそれぞれ400ページほどあるけれど、写真やイラストがふんだんに使われているうえに、字も大きく、内容もシンプルな文体で綴られているので、どんどん読み進められます。

さらにエビデンスとして挙げられている書籍は、健康、科学、ビジネスなどの分野で有名なものがほどんどで、これらを読んでいれば、さらに速く読めると思います。

これから「どれくらいの重さのものを背負って生きていくのか」を考えてみたくなる800ページです。

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