食事と日本茶
近年、ワインペアリングのように、食事に日本茶をマリアージュするというペアリングが増えてきました。
料理店で提供されるそれらは、アルコールが苦手な方でも楽しめる新たな味覚体験として、受け入れられています。
食事と日本茶は、どのようにペアリングできるものなのでしょうか。
1.肉料理とほうじ茶
味覚に対し、タンパク質やアミノ酸の濃い旨味がダイレクトに感じられる肉料理にはほうじ茶がピッタリです。
ほうじ茶はどちらかと言えば味よりも香りが重視されているお茶ですので、肉料理の味と喧嘩することがありません。
また、そのスッキリとした味は肉料理の油をリセットしてくれる役割も果たします。
対して、その香ばしく芳しい香りは肉料理の風味をアシストします。
ほうじ茶は肉料理に、ペアリングの基礎概念である”共通(似た味、香り同士が高め合うこと)”と”相反(違う味、香り同士が互いを強調し合うこと)”、そのどちらの働きも行うのです。
2.魚料理と玄米茶、かぶせ茶
魚料理には、玄米茶などはいかがでしょうか。
魚料理に対し、玄米茶の玄米部分の持つ香ばしさと煎茶部分の持つ苦味が対比され、味の幅が広がります。これは先の概念で言うと”相反”です。
魚料理にかぶせ茶を合わせるのも、面白い反応を生み出します。
かぶせ茶の持つ”覆い香”の海苔のような香りは、海の幸である魚料理とお互いを高め合います。
また、かぶせ茶は煎茶の要素である苦味も少なからず持っていますので、それは魚料理の合間に程良く口中をリセットしてくれます。
3.野菜と玉露
野菜には意外と、玉露が合います。
動物性のタンパク質やアミノ酸に比べて、淡白な味わいの野菜には、玉露の濃厚な旨味が心地良く働きます。
野菜はそれ単体の塩味が少なく、口中の水分を肉や魚料理に比べ大きく奪うことも少ないですので、少量を味わいながら飲む玉露とは、一回の食事中の補給ペースという意味でもマッチします。
4.中華料理と煎茶、番茶
中華料理と言えば烏龍茶も良いですが、煎茶や番茶と合わせるとまた違った味覚体験となります。
煎茶や番茶は、その爽快な香りや苦味によって食事の合間はもちろん、食後にも口中をスッキリさせてくれます。
また、どちらも何度も飲むことができる日本茶ですし、それでいて味と香りのバランスが良く、どちらかに傾いているわけでもありません。
そのため、香りと味において強調する面の多い中華料理とも、喧嘩することなく存在感を示してくれます。
料理と日本茶のペアリングも、まだまだ発展途上です。
ここに挙げましたのは一例であり、同じ肉料理、魚料理でも、その味付けによっては全く違う日本茶が合うこともありえます。
無数の星と星を結んで形作られる星座のように、ペアリングの世界は一つの小宇宙であると言えるでしょう。
そのインターステラーの旅を、是非とも楽しんでいただけましたら幸いです。
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