かぶせ茶、玉緑茶とカクテル

一般的には、煎茶や玉露、抹茶よりも馴染みがないお茶、それがかぶせ茶と玉緑茶かもしれません。
まして、それらのカクテルと言われても、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。

ですが、かぶせ茶は煎茶と玉露の中間、どちらの特徴も引き出せるお茶です。
また玉緑茶も、一般的なお茶にはない軽やかさが印象的な旨味、そして独特の釜炒り香などを持っています。
カクテルの原料としては煎茶や玉露など以上に、化ける可能性があるかもしれません。


1.かぶせ茶、蒸し製玉緑茶と梅酒のカクテル
日本茶と同じく、または日本酒と同じく、日本生まれの飲料として最近は海外での評価が高まりつつある梅酒。
そんな梅酒に対し、かぶせ茶や蒸し製玉緑茶をバイプレイヤー的に合わせるレシピが存在します。

かぶせ茶、もしくは蒸し製玉緑茶を5g、50ccの常温水で水出しします。浸出時間は15分以上です。
浸出が終わったら、それに刻んだミントの葉を少々含ませ、冷凍します。
冷凍後、それらをクラッシュしグラスへ入れ、最後に梅酒を投入します。

梅酒の香りに対し、かぶせ茶や蒸し製玉緑茶は強い主張はしません。
主にその味によって、梅酒を引き立たせます。

かぶせ茶の場合は、豊富な旨味と微かな苦味が、蒸し製玉緑茶の場合は苦味のない、軽やかで仄かな旨味が、梅酒の総合的な味わいをサポートします。
日本生まれの原料たちによる、満足感十分なカクテルです。


2.ぐり茶マティーニ
ぐり茶とは、釜炒り製玉緑茶のことです。
そんな釜炒り製玉緑茶とジンを合わせたものが、ぐり茶マティーニです。

釜炒り製玉緑茶4gを80℃、30ccのお湯で1分浸出します。
これを冷やしたものとジン45ccを合わせてシェークし、グラスへ注ぎます。
最後にレモンピールを振りかければ完成です。

釜炒り製玉緑茶の持つ、微かではあるがしっかりとした苦味と、相反するこれまたしっかりとした甘味が楽しめます。
また、それらの味わいは、不思議と釜炒り茶特有の香り“釜香”を引き立たせます。

先に述べた梅酒のカクテルとは違い、こちらは釜炒り茶の特徴を主役として、とくと楽しめるカクテルです。


レシピとしては未だ上記のようなものしか確立されていませんが、かぶせ茶や玉緑茶は地域やお店によっては、煎茶や玉露として扱われることもあるお茶です。
つまり、煎茶や玉露のカクテルレシピは全て、かぶせ茶や玉緑茶に代替しても成立するのです。

煎茶のカクテルにかぶせ茶を使えばより旨味と甘味を引き出せますし、玉露のカクテルにかぶせ茶を使えばより苦味と渋味を引き出せるなど、浸出液の味わいを微調整することができます。

また玉緑茶を使えば、蒸し製の場合はより味わいの角がマイルドで優しい日本茶らしさを演出したり、釜炒り製の場合は特徴的な“釜香”を引き出すことができます。

日本茶をカクテルに利用する際の、より細かい味わいの微調整、またはいつもと違う“通な”日本茶感を演出したい場合には、かぶせ茶と玉緑茶以上に適任な日本茶はないでしょう。

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