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効率と楽しさは両立しうるのか。8年プレイしたオンラインゲームから考えてみる。
現代において、タイパやコスパといった言葉はそこかしこに存在する。
溢れるほどの情報の中、少しでも効率的に時間やお金を使いたい、といった
気持ちは当然といえよう。
しかし、ひたすら効率を求めるのは良いことなのだろうか。
過去にやっていたオンラインゲームから考えてみたいと思う。
![](https://assets.st-note.com/img/1716202225523-qYSgopFXtY.jpg)
ゲームやりはじめ(試行錯誤段階)
プレイしていたのはラグナロクオンラインというゲームだ。
ベータ版を経て、2002年12月1日に正式サービスを開始した。
サービス開始とほぼ同時にプレイしはじめたため全てが未知数。
そもそもパソコンを買ったばかりでキーボード操作もままならない中、
ゲーム内には多数のキャラクターが会話をしている。
「ここに見えてるプレイヤー全員、誰かが動かしてるの?」
MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)をやったことの
ある人ならば第一に浮かぶ感想だと思う。
人に話しかけるなんて、恐ろしくて出来ない(何をされるか分からない)
ので、とりあえずチュートリアルに沿ってゲームを進めてみる。
しかし、数十分のチュートリアル後、突然街の中に放り出される。
![](https://assets.st-note.com/img/1716186136300-AshHeWFoYi.jpg?width=800)
いきなり何かされるに違いないこわいこわいこわい。
大勢の人がいる中を、必死に移動して誰もいないところにきた。
少し落ち着く。
そこから街の端っこを歩きながらNPCをひたすらクリックした。
が、いつまで経ってもストーリーらしきものは始まらない。
仕方ないので街の外へ出てみた。
いかにも弱そうなスライムのような敵がいるため、クリックしてみる。
雑魚かと思いきや、数発殴られてやられてしまった。
いきなり心が折られそうになる。
周りから「なむー」といったチャットが飛び交う。
とても恥ずかしくなり、思わずログアウト。ゲーム初日終了。
翌日、スライム的な敵を何とか倒していたところ、
見知らぬ人から声をかけられる。
1回返信するのに1分以上かかりながらも、何とか返答する。
明らかに初心者に見えたので、声をかけてくれたようだ。
ゲームについて簡単に説明をしてくれたが、
「目的があるゲームではないので、好きなことをすればいい」だそうだ。
とりあえずレベルを上げたいと話したところ、
色々なところへ連れて行ってくれた。
とはいえ、その人も強くはなかったようで行った先で全滅すること多数。
「ここの敵強すぎ!」とぎゃーぎゃー騒ぎながらプレイ。
オンラインゲームの醍醐味をここで初めて味わったことになる。
当時はググる、といった概念も無かったのでみんなとにかく手探りだった。
これ以降はソロとパーティーを混ぜながらプレイするようになる。
プレイに慣れてきたころ(効率を求め始める)
このゲームは経験値がパーセント形式になっていて、
100%になるとレベルアップ。1回死ぬと1%経験値が減る仕様だ。
これはデスペナルティと呼ばれている。
ゲームにも慣れてきたころ、様々な場所で狩りをしていたが、
レベルの上がり方が遅くなってきた。
そんな時、
レベル99(MAX)になるとキャラの足元にオーラが出る
仕様が実装される。
![](https://assets.st-note.com/img/1716200985966-THuQv8OLBm.jpg)
これはカッコいい!是非99にしたい!!
と気合を入れてレベル上げをするようになる。
少しでも経験値が多い狩場を探し、アイテム装備を変え、操作方法を変え、
知り合いと相談しながら狩りまくる。
このころは頑張っても1時間で2%弱しか経験値が上がらないため、
相当な時間が必要。しかも前述のデスペナルティの存在もあるため、
難易度の高い狩場ではかなりの集中力が求められた。
しかし、この時は緊張感のある狩りと
少しずつプレイヤースキルが上達していく高揚感で全く苦にならなかった。
長い時間をかけ、レベル99になったときの喜びは今でもよく覚えている。
完全に慣れたころ(効率?)
ゲーム開始してから数年経ったころ、
ネット上には攻略wiki、狩場効率の専用サイトも掲載された。
わざわざ自分が色々な場所へ行かなくても
職業とレベルをいれれば、一番効率の良い狩場がすぐ判明するわけだ。
パーティー募集の看板を見ても、
「デスペナルティのリスクが低く、一番効率のいい狩場を、一番無駄の無いメンバーで狩りましょう」というものが多数を占める。
どんどんレベルがあがるため、最初はパーティーで参加していたが、
難易度が低く、参加する職業もやることも
毎回同じなので、すぐに飽きてしまった。
「早く終わらないかなぁ」と欠伸しながら時間が経つのを待つ。
それでも1時間で4%くらいは経験値が増えるので当時としては破格。
みんなが参加するもの当然と言える。
レベル上げがルーチン化していた頃、新コンテンツが実装された。
超高難易度のダンジョンである。
ソロでの狩りは不可能でパーティープレイ必須。
1匹1匹の敵の強さが尋常ではなく、素早く適切な連携をしないと
一瞬でパーティー壊滅に繋がる。当時としては理不尽な難易度だった。
実装当初こそ多くの人が訪れるも、数か月もするとすぐに廃れた。
1時間も滞在すれば十数回死ぬこともザラにあるため、当然ともいえる。
数回死んだ時点で「もう抜けます」と途中で抜けた人が何人もいた。
![](https://assets.st-note.com/img/1716215027755-aVi36B2OWg.png)
一番効率の良い狩場ならリスクなく1時間4%稼げるのだ。
誰がどう考えても、そちらに行った方が効率的だろう。
しかし、その超高難易度にハマった人もいたのだ。
そう、私である。(嫁さんも)
全盛期(楽しさMAX)
楽しくないレベル上げのルーチン作業に突如現れた新ダンジョン。
その理不尽な難易度は衝撃的だった。
丹念に育てあげたキャラが全く通用しない。
マウスを動かす間もなく、最悪一発で死んでしまう。
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ここまでボコボコにやられると却って対抗心が湧いてくるぜ。
このダンジョン攻略してやんよと挑戦が始まった。
■1か月目
1日2時間ほど滞在するが全く狩りにならず、むしろ狩られるばかり。
1時間で20回程度のデスペナは普通。途中で蘇生アイテムが切れたら帰還。
経験値は0%から全く増えないが、これ以上減らないので気楽ではある。
■2か月目
死ぬ回数が当初の半分くらいになる。
パーティー募集の際、参加するメンバーがほぼ固定化した。
死んでも気にせず、とにかくダンジョン攻略をしたい人、同志だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1716215478175-xP8uJNyySB.jpg?width=800)
■3か月目
死ぬ回数が更に半分くらいになる。
使うスキルのショートカットがキーボード2列では足りなくなり、
4列使う練習をしはじめる。
■4か月目
3回に1回くらいは経験値が減らないようになる。
一度だけマップの入り口から端っこまで移動が出来た。
端っこといっても難易度的には一番簡単なルート。
それでも大きな成果。
■5か月目
運が悪くない限り、経験値がプラスになるようになる。
それでも1時間1%くらい。効率はかなり悪い。
が、ついに一番難しいルートでマップの端っこまで到着。
あまりの興奮で脳汁が出まくる。
到達を喜び、部屋に飛び込んできた嫁さんから
「アドレナリンの匂い?なんか凄い臭いんだけどwww」
とドン引きされる。
身体の熱がホッコホコで大変なことになっているのが分かった。
![](https://assets.st-note.com/img/1716215927002-OswzVLgekJ.jpg?width=800)
まとめ
■プレイ初期時
手探り感があり、とにかく新しい発見が多く、
楽しいというよりはワクワク感が凄かった。
色々な知り合いが出来て、感動を共有できたのも大きい。
■慣れてきた頃
オーラ(レベル99)になるという明確な目標ができたこと。
それに向かって効率的なプレイを模索しながら、
レベル上げをしているときも楽しかった。
■完全に慣れてきた頃
完全効率重視で毎回同じレベル上げだったため苦痛だった。
レベルを上げてどうしたいかという目標もなかったのが大きい。
■全盛期
毎日脳汁でまくり、死んでも連携が上手くいっても脳汁でまくり。
レベルはほとんど上がらなかったが、とにかく楽しい。
最も時間を忘れてプレイに没頭していた5か月間。
こう見ると
目標に向かって試行錯誤しているとき
感情が動けば動くほど
となった時に「楽しい」と感じるようだ。
そして、目標があって効率を求めているときは楽しいが、
目標がない状態で効率のみを求めていると「楽しくない」と感じた。
結論
Q:ひたすら効率を求めるのは良いことなのだろうか。
A:目標がある場合は良いが、
目標がない場合は一旦考え直した方がよいかもしれない。
これはあくまで私の意見だが、
「楽しい」という感情は「印象に残る」ということだと思う。
感情は脳を活性化させ、人間を人間たらしめている証ではないだろうか。
人生を多いに楽しむなら、
感情が揺れ動くような体験をたくさんした方がよい。
効率を求めた結果、感情が麻痺してくるようになるのだけは避けたい。
2年間休職し、感情を昂らせず、ひたすら省エネで生きてきた体験からも
感情の大事さを実感した。
話はここまで。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
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