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効率と楽しさは両立しうるのか。8年プレイしたオンラインゲームから考えてみる。

現代において、タイパコスパといった言葉はそこかしこに存在する。
溢れるほどの情報の中、少しでも効率的に時間やお金を使いたい、といった
気持ちは当然といえよう。
しかし、ひたすら効率を求めるのは良いことなのだろうか
過去にやっていたオンラインゲームから考えてみたいと思う。


ゲームやりはじめ(試行錯誤段階)


プレイしていたのはラグナロクオンラインというゲームだ。
ベータ版を経て、2002年12月1日に正式サービスを開始した。
サービス開始とほぼ同時にプレイしはじめたため全てが未知数

そもそもパソコンを買ったばかりでキーボード操作もままならない中、
ゲーム内には多数のキャラクターが会話をしている。

「ここに見えてるプレイヤー全員、誰かが動かしてるの?」

MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)をやったことの
ある人ならば第一に浮かぶ感想だと思う。

人に話しかけるなんて、恐ろしくて出来ない(何をされるか分からない)
ので、とりあえずチュートリアルに沿ってゲームを進めてみる。

しかし、数十分のチュートリアル後、突然街の中に放り出される。

人が多すぎてビビる

いきなり何かされるに違いないこわいこわいこわい。
大勢の人がいる中を、必死に移動して誰もいないところにきた。
少し落ち着く。

そこから街の端っこを歩きながらNPCをひたすらクリックした。
が、いつまで経ってもストーリーらしきものは始まらない。
仕方ないので街の外へ出てみた。

いかにも弱そうなスライムのような敵がいるため、クリックしてみる。
雑魚かと思いきや、数発殴られてやられてしまった。
いきなり心が折られそうになる。
周りから「なむー」といったチャットが飛び交う。
とても恥ずかしくなり、
思わずログアウト。ゲーム初日終了。

翌日、スライム的な敵を何とか倒していたところ、
見知らぬ人から声をかけられる。
1回返信するのに1分以上かかりながらも、何とか返答する。

明らかに初心者に見えたので、声をかけてくれたようだ。
ゲームについて簡単に説明をしてくれたが、
「目的があるゲームではないので、好きなことをすればいい」だそうだ。

とりあえずレベルを上げたいと話したところ、
色々なところへ連れて行ってくれた。
とはいえ、その人も強くはなかったようで行った先で全滅すること多数。
「ここの敵強すぎ!」とぎゃーぎゃー騒ぎながらプレイ。
オンラインゲームの醍醐味をここで初めて味わったことになる。

当時はググる、といった概念も無かったのでみんなとにかく手探りだった。
これ以降はソロとパーティーを混ぜながらプレイするようになる。

プレイに慣れてきたころ(効率を求め始める)


このゲームは経験値がパーセント形式になっていて、
100%になるとレベルアップ。1回死ぬと1%経験値が減る仕様だ。
これはデスペナルティと呼ばれている。

ゲームにも慣れてきたころ、様々な場所で狩りをしていたが、
レベルの上がり方が遅くなってきた。
そんな時、
レベル99(MAX)になるとキャラの足元にオーラが出る
仕様が実装される。

こんなやつ

これはカッコいい!是非99にしたい!!
と気合を入れてレベル上げをするようになる。

少しでも経験値が多い狩場を探し、アイテム装備を変え、操作方法を変え、
知り合いと相談しながら狩りまくる。

このころは頑張っても1時間で2%弱しか経験値が上がらないため、
相当な時間が必要。しかも前述のデスペナルティの存在もあるため、
難易度の高い狩場ではかなりの集中力が求められた。

しかし、この時は緊張感のある狩りと
少しずつプレイヤースキルが上達していく高揚感で全く苦にならなかった。

長い時間をかけ、レベル99になったときの喜びは今でもよく覚えている。

完全に慣れたころ(効率?)


ゲーム開始してから数年経ったころ、
ネット上には攻略wiki、狩場効率の専用サイトも掲載された。
わざわざ自分が色々な場所へ行かなくても
職業とレベルをいれれば、一番効率の良い狩場がすぐ判明するわけだ。

パーティー募集の看板を見ても、
「デスペナルティのリスクが低く、一番効率のいい狩場を、一番無駄の無いメンバーで狩りましょう」というものが多数を占める。

どんどんレベルがあがるため、最初はパーティーで参加していたが、
難易度が低く、参加する職業もやることも
毎回同じなので、すぐに飽きてしまった。
「早く終わらないかなぁ」と欠伸しながら時間が経つのを待つ。
それでも1時間で4%くらいは経験値が増えるので当時としては破格。
みんなが参加するもの当然と言える。

レベル上げがルーチン化していた頃、新コンテンツが実装された。
超高難易度のダンジョンである。

ソロでの狩りは不可能でパーティープレイ必須。
1匹1匹の敵の強さが尋常ではなく、素早く適切な連携をしないと
一瞬でパーティー壊滅に繋がる。当時としては理不尽な難易度だった。

実装当初こそ多くの人が訪れるも、数か月もするとすぐに廃れた。
1時間も滞在すれば十数回死ぬこともザラにあるため、当然ともいえる。
数回死んだ時点で「もう抜けます」と途中で抜けた人が何人もいた。

一番効率の良い狩場ならリスクなく1時間4%稼げるのだ。
誰がどう考えても、そちらに行った方が効率的だろう。
しかし、その超高難易度にハマった人もいたのだ。

そう、私である。(嫁さんも)

全盛期(楽しさMAX)


楽しくないレベル上げのルーチン作業に突如現れた新ダンジョン。
その理不尽な難易度は衝撃的だった。

丹念に育てあげたキャラが全く通用しない。
マウスを動かす間もなく、最悪一発で死んでしまう。

ボコボコにされる

ここまでボコボコにやられると却って対抗心が湧いてくるぜ。
このダンジョン攻略してやんよと挑戦が始まった。

■1か月目
1日2時間ほど滞在するが全く狩りにならず、むしろ狩られるばかり。
1時間で20回程度のデスペナは普通。途中で蘇生アイテムが切れたら帰還。
経験値は0%から全く増えないが、これ以上減らないので気楽ではある。

■2か月目
死ぬ回数が当初の半分くらいになる。
パーティー募集の際、参加するメンバーがほぼ固定化した。
死んでも気にせず、とにかくダンジョン攻略をしたい人、同志だ。

日曜とはいえ朝4時まで付き合ってくれる

■3か月目
死ぬ回数が更に半分くらいになる。
使うスキルのショートカットがキーボード2列では足りなくなり、
4列使う練習をしはじめる。

■4か月目
3回に1回くらいは経験値が減らないようになる。
一度だけマップの入り口から端っこまで移動が出来た。
端っこといっても難易度的には一番簡単なルート。
それでも大きな成果。

■5か月目
運が悪くない限り、経験値がプラスになるようになる。
それでも1時間1%くらい。効率はかなり悪い。
が、ついに一番難しいルートでマップの端っこまで到着。
あまりの興奮で脳汁が出まくる。
到達を喜び、部屋に飛び込んできた嫁さんから
「アドレナリンの匂い?なんか凄い臭いんだけどwww」
とドン引きされる。
身体の熱がホッコホコで大変なことになっているのが分かった。

到着、感無量だ

まとめ

■プレイ初期時
手探り感があり、とにかく新しい発見が多く、
楽しいというよりはワクワク感が凄かった。
色々な知り合いが出来て、感動を共有できたのも大きい。

■慣れてきた頃
オーラ(レベル99)になるという明確な目標ができたこと。
それに向かって効率的なプレイを模索しながら、
レベル上げをしているときも楽しかった。

■完全に慣れてきた頃
完全効率重視で毎回同じレベル上げだったため苦痛だった。
レベルを上げてどうしたいかという目標もなかったのが大きい。

■全盛期
毎日脳汁でまくり、死んでも連携が上手くいっても脳汁でまくり。
レベルはほとんど上がらなかったが、とにかく楽しい
最も時間を忘れてプレイに没頭していた5か月間。

こう見ると

  1. 目標に向かって試行錯誤しているとき

  2. 感情が動けば動くほど

となった時に「楽しい」と感じるようだ。

そして、目標があって効率を求めているときは楽しいが、
目標がない状態で効率のみを求めていると「楽しくない」
と感じた。

結論

Q:ひたすら効率を求めるのは良いことなのだろうか

A:目標がある場合は良いが、
目標がない場合は一旦考え直した方がよいかもしれない。

これはあくまで私の意見だが、
「楽しい」という感情は「印象に残る」ということだと思う。
感情は脳を活性化させ、人間を人間たらしめている証ではないだろうか。
人生を多いに楽しむなら、
感情が揺れ動くような体験をたくさんした方がよい。

効率を求めた結果、感情が麻痺してくるようになるのだけは避けたい。
2年間休職し、感情を昂らせず、ひたすら省エネで生きてきた体験からも
感情の大事さを実感した。

話はここまで。
ここまで読んでくれてありがとうございました。


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