ロングライド中の「暇つぶし」ネタ

この記事はロードバイク Advent Calendar 2022の9日目の記事です。昨日は門川彩雷さんの「チャイルドトレーラーで親子自転車キャンプ」でした。

(1)はじめに

初めましての方は初めまして。ちーたんと申します。

脚力は、キャノンボール、600Kmブルベ、エベレスティング、それぞれ50%まで達成。Calender参加者の中では相対的に「ゆるふわ」ポジションの執筆者ではないかと思います。

今回のテーマはロングライド中の暇つぶしネタです。暇つぶしだけでなく、皆様の旅がより深くより楽しく味わえるきっかけになりましたら幸いです。

(2)農業ネタ

私は都会育ちなので農業について調べると知らないことがたくさん出てきて勉強楽しいです。GoogleMAPが初公開された時は、農業用水路が平野部の農地に静脈のように張り巡らされているのを見て驚きました。最近ではサクナヒメで稲作の奥深さを知った方もいらっしゃると思います。

(2-1)田植えの時期、収穫の時期

田植えや収穫の時期は地域によってズレがあります。「田植え 時期 地域」などでググると詳細見つかりますが、例えば埼玉東部より埼玉北部や群馬エリアが遅いといった傾向があります。時期がずれるのは、気温だけでなく水量や水温の影響もあるみたいですね。

関東南部を走っていて今年の稲の収穫は終わったと思っていたのに、ブルベで群馬に行ったら、まだ収穫前の稲が残っていて、ナンデ?ドウシテ?と思ったことや、房総半島で11月に稲穂が実っているのを見た時は「これが教科書に出てきた二期作!!」と感動したこともありました。

こうした違いを知った後からは、地域や季節の小さな違いが、今までより高い解像度で見えるようになりました。

(2-2)水田の高低差

大山千枚田

水田は高低差を有効活用するものです。高低差の高い位置まで取水用水路を引き、低い位置に排水路を作れば、仕切り板の開閉で水を供給したり排水できます。もし高低差がなかったらポンプの力で水を入れ替えないといけないので電気代かかっちゃいますよね?

上の写真のような棚田は極端な例ですが、山に近いエリアの水田は高低差の活用がわかりやすいと思います。

八郎潟の説明は勉強になりますね。

https://www.maff.go.jp/tohoku/nouson/kokuei/hatirougata/attach/img/mokuteki-3.png の図など、人間の血管の動脈と静脈みたいだったり、

https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000008854_00/141003170436_1.jpg この図も高低差の活用方法を学ぶのにお薦めです。

子供の頃は「溜池」というと平野の窪地に作る池のイメージを持っていましたが、香川県で満濃池に行った時には「ダムじゃねーか!」と理解しました。高低差を利用して水を溜め水を送るので、ぶっちゃけダムのように谷地形に作るもので窪地に作ったら水を持ち上げるのに電力が必要になっちゃうわけです。溜池をダムと言わないのはダムの定義が高さ15m以上と決まっているためで本質は同じです。

ロングライドでは水田や水路の高低差に注目すると新発見があるかもしれません。走行ルートが用水路沿いなら、「水路がある限り平坦」と思っていいでしょう。

(2-3)稲穂の干し方

稲は収穫後に乾燥させる必要があります。田んぼに干されてる風景も見ますが、干し方も1通りではありません。

よく見る「稲架掛け」
東北で見かける「ほんにょ」
雨対策でビニールをかけている稲架掛け
藁だけを乾燥させる時の積み方

このような違い、皆様ご存じだったでしょうか?
知らない種類があった方は、次の秋に探してみてください!

(3)人工物ネタ

巨大構造物はみんな大好きですよね(・∀・)

(3-1)役所の建物

役所の建物はその市町村の個性が出ます。

こちらは春日部市役所、「入口のスロープ」「玄関に突き出る庇」「旗を掲揚するためのポール」、役所建築の特徴が揃っています。現代ではちょっと威圧感を感じる建物ですけども、昭和の代表的なお役所建築様式だと思います。
川越市役所。耐震補強もお役所の建物によくある特徴。大地震の時に対策司令部となる市役所は防御力が高くないといけないので、古い建築基準で建てられたお役所建築は後からがっちり耐震補強されるものなのです。役所以外でも避難所になる学校などでも耐震補強された建物を多く見かけるのも役所同様に災害に対する防御力を求められるためです。
埼玉県の富士見市役所、小さな市町村は低層が主流。

ロングライド中にお役所の建物を見た時は、次のような点を意識してみると、平凡な景色もまた変わってきます。
・建物の大きさから市町村の規模を推測
・建物の印象は?ずっしり構えた印象?親しみやすい印象?建物をおしゃれにするためにお金を使ってる印象?質素でも堅実な建物の印象?
・「この役所周辺が街の中心部」と意識して周りを見渡すと?周りに行政施設やNTTのようなインフラ関連企業があったり、古くからある商店が連なってたり、中心部らしい地名があったり、特徴が浮き上がってくるかもしれません。

ちなみに私のようなマニアになると、特徴的な庁舎の写真をコレクションしたり、東京23区役所、埼玉の市役所、群馬県市町村、を走破するぐらい重症化するので注意してください(上の2つの動画参照、群馬の動画は未作成)。

市庁舎のコンプリートはブルベやオリエンテーリングのような面白さがあります。全部1日で回れるかどうか?市町村全部は無理でも町村外して「市」だけにすれば1日でいけそう?よしやってみよう、みたいにやる気が湧いて来て、ルート引いてる時間が一番楽しかったり、最短ルートを引くと普段使わない道を多く使うので意外な発見があったり楽しいです。役所の敷地内には桜が植えられていることが多いので、チャレンジは桜の季節がベストだと思います。

(3-2)駅前鑑賞

駅の大きさや駅前の発展具合も、その土地を知るのにいい物差しになります。

最寄りの幹線道路に「○○駅入口」の標識がないのは高レアです。地元民には説明不要で観光客が訪れることは想定してない、そういう駅です。

↑小湊鉄道高滝駅

↑流鉄流山線鰭ヶ崎駅

駅前に何があるかは重要なチェックポイントです。住宅も商店も何もない場合もあれば、住宅だけがある場合、商店があっても観光客が入りにくくて地元民しか入りそうもないお店だったり、駅前がおしゃれなら観光客を意識してるなと思ったり、こうした特徴から街の歴史や雰囲気を感じ取ることができます。

(3-3)工事鑑賞

さがみ縦貫道路と相模原ICは10年前、まだ工事中でした。相模原ICは山の上に工事専用道路を作って建造し、出口線で川を超える所は深い谷に巨大な矢倉を組んで橋を建造しました、さがみ縦貫道路は510号の脇の山を切り崩して作られました。

35.583615, 139.290773 付近、左に見下ろす工事中の道路が現在の県道510号@2012/12
35.578414, 139.286532 付近、さがみ縦貫道路建設のために山を崩してる様子@2013/07
相模原IC、串川の南側の崖に料金所出口線を作っている工事@2013/07

普通の旅行者は「なんか工事やってるね」と思っただけで、未来の変化を予想できずに通り過ぎてしまうかもしれませんが、
①工事看板の写真を撮る(工事名称をメモ)
②工事名称をググると工事の目的や完成予想図を調べる
③次に通る時は、「過去」(前回)からの変化、「現在」の様子、「未来」の完成イメージと未完成の現状のギャップ、という時間軸を加えて鑑賞する。

このような視点を持つと殺風景な工事現場も「萌え萌え」です。シムシティ系ゲームのニョキニョキの楽しさと言うと一部の方には伝わるでしょう( ;∀;)

最近進行中の工事だと第二東名が見所多いいんじゃないかと思います。

「道の駅山北」付近@2022/07、将来ここに第二東名の巨大な橋が架けられるのでしょうか?

(3-4)道路鑑賞

AJ千葉さんの「クラシック」シリーズは旧道鑑賞がテーマのブルベです(多分)。100周年記念300Kmブルベで上写真の旧道を走ったレポはhttps://nico.ms/sm40627348をご参照ください。

旧道は、特有の道路形状、広くて路面の良いバイパスと狭く曲がりくねって路面の悪い旧道とのギャップ、旧道の生活臭など、味わい深いものです。ロングライドで退屈な時に旧道に入ってみると、手入れされたお花や盆栽を見れたり、神社や石碑など歴史を感じる風景に出会えたりして、良い刺激になります。

裏ヤビツで道路が川の上流まで大きく迂回しているところ

裏ヤビツで川を大きく迂回してる所があるのは道路形状として特徴的ですね。国道だったら橋を作って直線化していると思いますが、1Kmちょっと上流に迂回すれば川幅も狭くなって地盤も安定して安く簡単に橋がかけられるし、ここ通るのレジャー民需要だから遠回りさせて問題ない、その方が税金を効率よく使える!みたいな事情だと推測してます、こういう遠回りな道路形状を見た時に「なんか変だぞ?」と気づき好奇心を刺激できると、旅が楽しくなります(^_^)

丘を切り開いた新興住宅地によくある道路形状

丘を切り開いた新興住宅地特有の道路形状があると、地図を見た時に楽しいものです。

栃木県粕尾峠

走行中、どのカーブが峠の頂上か?を推測するのも暇つぶしになったり、道路形状から地形を読み取る能力が鍛えられます。

あざみラインの短い下りと砂防ダム

静岡県に「あざみライン」という激坂があり、その途中に1箇所下り坂があります。こういう地形はたいてい理由があるので、ライド中に「なんで登りの途中に下りが混ざるんだろう?」と考え帰宅後に地形図や航空写真などで調べるのが面白いです。答えが見つからず何年も悩むこともあるんですけどね・・・。

あざみラインに関する地形解説は次の動画をどうぞ。4:50あたりから1分ほど地形解説パートになります。

(4)好奇心の膨らませ方と調べ方

今回紹介したような鑑賞ポイントは、鑑賞に基礎知識が必要だったりしますが、難しい専門書を読む必要はなく、素人なりの勉強方法でも大丈夫です。

習慣的な情報収集には、NHK番組の「ブラタモリ」や、DPZというWEBサイトがお薦めです。

Twitterで数人お薦めしたい方々をご紹介しますと
・八馬智先生(https://twitter.com/hachim088
・大山顕さん(https://twitter.com/sohsai
・階段巡りツイッターさん(https://twitter.com/kaidanmeguri

ゲームだと「シムシティ」系統がお薦め。本屋さんだと都市開発や建築の棚に関連する本が見つかるでしょう。あと、@te755って人のTwitterフォローしたりニコニコ動画見ると、この手のネタがよく流れるらしいですよ(・∀・)(・∀・)(・∀・)

それから面白いものを見つけた後、深く調査するには、何らか言語化してGoogle検索したいものです。例えばTwitterに次の画像が流れてきてクレーンについて詳しく知りたいと思った時に、「クレーン」でググっても簡単に見つかりません。

東京湾の有名スポット、青海埠頭

「港 クレーン」だとヒットしますが、検索キーワードがわからないと目的の情報を見つけるのは大変なのです。そんな時に便利なのがGoogleの画像検索(Google Lens)。

ブラウザがPC版のChromeなら画像を右クリックして「Googleで画像を検索」を選ぶと、写真を元に画像検索できます。クレーンを調べたいのに船が出てくるみたいな時は白枠で画像を部分指定しましょう。スマホ版Chromeだとロングタップから「この画像をGoogleで検索」を選んだり、「Google」アプリで画像を選択してPC版のように画像の部分指定検索ができます。

そしてその検索結果から「ガントリークレーン」というキーワードを得ることができたり、有名な撮影スポットだと撮影場所まで1発でわかって現地訪問計画も立てられるようになります。こうして対象を言語化したりキーワード検索を進めて理解を深めていくわけです。

下の画像の珍しい建物も、GoogleLensで検索すれば一発。

屋外でよく使うのは植物の名前の確認ですね。下の写真の黄色い花に対して、おっさんの語彙力だと「黄色い花がきれいでした、まる」みたいな頭の悪そうなツイートになりかねませんが、お花の名前を特定したり推測の裏取りをした上で、「菜の花がきれいでした」と校正できるのです。それを読んだフォロワーさんは「勉強になったな~」とか「○○さん、博識で素敵」みたいに思ってくれるかもしれません(*‘∀‘)。このようなちょっとした調べる努力を長期積み重ねることで教養が蓄積されていきます。

GoogleLensで菜の花と特定

他にも紹介したいネタはたくさんあるのですが、マニアックになりそうなのでこの辺で・・・。興味ある方はhttps://www.upload.nicovideo.jp/garage/series/152030に消波ブロックやガントリークレーンや防潮堤など多くのネタを披露していますのでご覧ください。

明日のロードバイク Advent Calendar 2022はばるさんの「スマートウォッチ装着から4ヶ月経過の感想」です。

皆様、来年もよき自転車ライフを!

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