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えっ、日本酒が5%?

家業の天ぷら屋は大晦日が1年で一番忙しい。

年越しそば用の海老天を沢山の人が買われるからだ。

数年前から、海老の仕込みの時に、ちゃんとした酒蔵の酒粕を使っている。

その酒粕も、少なくとも1年以上冷蔵庫の中で寝かせているが、ついに残りが少なくなって来た。

納得の行く酒粕をいま探している最中で、Googleで「昔ながらの日本酒の酒粕」から調べていたらこんなサイトに出会った。

江戸時代の人は日本酒を水割りで飲んでいたという。

えっ、5%?

斬新過ぎる。考えたこともない。

夏酒などと言って12%くらいの日本酒は苦手だ。

妙に鼻水っぽい苦みが出る気がする。

しかし、5%まで割ると、ひょっとして面白いんじゃないか。

昔の人が、井戸水で割ったら冬は温かく、夏は冷たく美味しかったろうなぁ。

先日の日曜日に買った杉錦さんの本醸造は、結構ガツンと来る味なのだが、これを5%位にまで割ったらどうだろうか、とやってみた。

おいしい。

お米の甘味がほんのりとして、ガツンとくる力強さが、逆に隠し味に変わっている。

柔らかい味で、いくらでも飲めそうだ。

真夏の暑い時期に、冷蔵庫の中でキンキンに冷えていた缶の中の炭酸系アルコールと全く違う、心身に優しい味わいだ。

これは良いんじゃないか。

そして、ひょっとしたら、5%まで割った時に美味しい日本酒は、世間が普段評価している日本酒と全く違う酒になるのではないか。

面白い。
また、日本酒が楽しくなってきた。

そして、さらに、水で割るなら、やはりその酒を作った同じ水系の、その地元で飲んだらなお美味しいのではないだろうか。そんなブームが起きて、酒蔵のある町を旅する人が増えたらさらに面白い。

しかし、だ。

こんな飲み方は、きっと飲み屋さんは儲からないからやって欲しくないはず。

だから雑誌でも取り上げたり、ブームになんかしないだろう。

でも。

この飲み方が新しい日本酒ファンを作るかもしれない。

こっそり、ここでだけ、これからも実験していこうと思う。

色んな日本酒で、水割りをやってみたいなぁ。