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「全てが可視化された世界」ショートショート



全てが見える世界があった。詳しく言うと、ある装置を目に装着すると、あらゆることがわかる仕組みである。

人からの好意、悪意も数値化され見ることができる。
だから自分の事を好いてくれる人へと、人は移りゆく。

人の資産も見える。その人が持っている資産の合計額も見える。
だから、お金を持っている人ほど、人が集まる。

世界の情勢も見える。それぞれの国の所有している兵器も、条約もわかりやすく要約され見ることができる。
だから、安全な国へと人々は移る。

言葉がなくても、悪意を読めば危険な人も分かるし、そもそも言語も可視化されるため、言語の壁のないこの世界では、国境を越えることのハードルも下がる。

他にも、誰にでも好意的な人は、人が集まり、またお金も集まってくる。
すなわち、「人が良い」という人が幸せになる世界なのである。

世界中の全てが見える。何もかもが見える。だからこの世界の人々は安心して暮らせる。


この新しい装置は人々の暮らし、世界を変えた。
これのおかげで戦争もなくなり、人々の幸福度も高まった。
人々はこの装着に絶大な信頼を寄せている。

なぜなら、この装置の安全性は、この装置で測ると100%安全だと表示されるからである。

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