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【用語解説】ESG、CSR、SRI、SDGs…何が違う?

 サステナブル経営の文章を書き始めてふと思ったのが、ESG、CSR、SDGsといったアルファベット用語の概念の微妙な違いを知らない人が多いかも、という点。

 めちゃくちゃざっくりですが、押さえておきたいポイントだけを整理しておきます。

SDGs

 持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のこと。2015年に国際連合が採択した、2030年に向けた国際目標。取り組む主体は「国」ということで、最近の様々なブームの一番根っこにある概念と言えます。

持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

外務省HPより

CSR

 企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)のこと。企業は公器(=公共のための機関)としての性格が強いため、自主的に社会に対する責任を果たし、また社会に価値を提供するべきだという考え方。ここでいう「社会」には企業のオーナーである「株主」以外も含まれているというのがポイント。取り組む主体は「企業」。

CSRとは、企業の社会的責任。企業は、顧客や株主、従業員といった直接のステークホルダーだけではなく、広く社会全体に対しても責任を果たし、また価値を提供すべきという考え方。具体的には、法令順守のような倫理的な行動の遵守と、積極的な環境対策や障害者の雇用、貧困撲滅支援などといったポジティブな貢献の両方が期待されている。

グロービス経営大学院HPより

SRI

 社会的責任投資(Socially Responsible Investment)のこと。社会的投資、サステナブル投資、倫理的投資ということもある。経済的・金銭的なリターンだけでなく、社会や環境へのメリットが生まれるよう、上で説明した「企業の社会的責任(CSR)」を考慮して投資行動をとるべきだという考え方。取り組む主体は「投資家」。

PRI

 正式名称は「United Nations Principles for Responsible Investment(UNPRI=国連責任投資原則)」。2006年に国連が提唱し、投資を通じて解決すべき課題をEnvironment(環境)、Social(社会)Governance(ガバナンス)の3つの分野に整理した。取り組む主体は「投資家」。日本最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、国連がSDGsを採択した2015年にPRIに署名。

責任投資原則(PRI)とは、正式名称を「United Nations Principles for Responsible Investment(UNPRI=国連責任投資原則)」といい、解決すべき課題をEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の3つの分野(総称してESGと呼ぶ)に整理し、ESGに配慮した責任投資を行うことを宣言したものである。

大和総研HPより

UNPRI原文

ESG

 上のPRIで整理された、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)のこと。日本経済団体連合会(経団連)は2017年11月に企業行動憲章を改訂して、ESGに配慮した経営を推進することを明記。また、従来の財務情報だけでなく、ESG要素も考慮した投資のことをESG投資という。なので、取り組む主体は「企業」と「投資家」。ある意味、両社の共通言語のようなものと言える。

会員企業は、持続可能な社会の実現が企業の発展の基盤であることを認識し、広く社会に有用で新たな付加価値および雇用の創造、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営の推進により、社会的責任への取り組みを進める。また、自社のみならず、グループ企業、サプライチェーンに対しても行動変革を促すとともに、多様な組織との協働を通じて、Society 5.0の実現、SDGsの達成に向けて行動する。会員企業は、本憲章の精神を遵守し、自主的に実践していくことを宣言する。

経団連の企業行動憲章より

ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会(オポチュニティ)を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されています。

経済産業省HPより

図で整理すると…

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 こういうことですね。

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