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シアターコモンズ '20 レポートブック

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日常生活や都市空間の中で「演劇をつかう」。 「シアターコモンズ」は演劇的な発想を活用することで、 「来たるべき劇場/演劇」の形を提示するプロジェクトです。 ここでは2020年… もっと読む
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2020年4月の記事一覧

「隔離」と「感染」のデジタル・ドラマトゥルギー──ジルケ・ユイスマンス&ハネス・デレーレ『快適な島』評

「隔離」と「感染」のデジタル・ドラマトゥルギー──ジルケ・ユイスマンス&ハネス・デレーレ『快適な島』評

岩城京子(演劇パフォーマンス学研究)
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関心経済の格言は「我シェアする、故に我あり」 西洋ルネサンス時代の一点透視図法は「人間の驕り」によって誕生した。「私」という白人男性である主体が「絵」に描かれた客体を、秩序だったかたちでコントロールしたい。そのために、歪み、濁り、ひずみ、ブレ、闇、醜さ、見苦しさなどのカオス的混成体であるリアルを、明晰な尺度に収め

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水槽のなかの脳は何の夢をみる?──小泉明郎『縛られたプロメテウス』考

水槽のなかの脳は何の夢をみる?──小泉明郎『縛られたプロメテウス』考

中村佑子(映画監督・作家)
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 3月6日、その日は新型コロナウィルスの国内感染者333名、死者6名が発表された日だった。風邪気味だった私は、自分が無自覚な保菌者だったらいけないと、数日自宅で静養し、症状がおさまったその日、お台場へ向かっていた。
 東京湾に広がる空はよそよそしいほど蒼かったが、コロナは物音もさせずこの都市に侵入し、私たちの与り知らぬとこ

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