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テレワーク定着後に押し寄せる、スカスカオフィス問題に対応する定量化策

こんにちは、Tokyo Creators' ProjectのWorkplace Scientistです。

テレワーク定着後には、スカスカになったオフィスがたくさん発見される。いやきっと。

現在喫緊の課題で総務やデスクサイドITの方々を中心に実行されている、テレワーク。テーマは、「ツール導入」、「ポリシー変更」に集約されるそうだ。

3月25日に東京都の小池知事が「感染爆発の重大局面 今週末の外出自粛を」と拍車をかけた形になり、直近2週間程度で企業のツール導入は爆発的に進んでいるという感触だ。日本マイクロソフトにはここ2週間で、ツール導入に関する問い合わせだけでもコンタクトセンターのサービスレベルが落ちているが、全社で対応をしているとのことである。世界でもマイクロソフトのTeamの導入は1週間で1200万ユーザーだったらしい。私も無料ユーザーとして導入したひとりである。

また、私も先週仕事で訪れた会社では、社員の姿自体がみられる会社のほうが少なかった。

「スカスカオフィスは今だけ」とどこかで、思ってはいないだろうか。いやそんなわけはない。ポリシーを変更したんだから。

後戻りできない今回のポリシー変更

これまでテレワークは日本では進んでこなかった。毎年のように「今年はテレワーク元年」と言われてきたものだ。それをポリシー変更を数週間で果たしたわけだから、私たちもやればできると言えるのかもしれない。しかし、このポリシー変更は実はもう戻ることはできない意思決定である。

なぜならば、家から働けることになったのは、技術的にも、心理的にも、すでにできるということは常識として整備されてきたからである。家から働くことをよしとしなかったのは、「会社のポリシーだけだった」という可能性がある。

特に心理的に常識や前提ができあがっていることを、メンタルモデルという。メンタルモデルに照らし合わせてあたりまえのことをする。以下の例から考えても、メンタルモデルにサポートされるポリシー変更は、後戻りすることはほぼ不可能に近いと考える。

メンタルモデルによるポリシー変更は後戻りできない(例1)

2019年夏、「三井住友銀行は本店で働く行員を対象に、9月から年間を通じて自由な服装での勤務を認める。8月末まで夏限定で試行してきたが、継続を求める行員が多いことから通年化を決めた。」とある。社員にとっては、自由な服装であっても不都合がなくなってきているのはメンタルモデルとしてすでにあったのではないだろうか

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48995990W9A820C1EE9000/

メンタルモデルによるポリシー変更は後戻りできない(例2)

ほとんど同じ事例だが、15年前の「クールビズ」宣言も、官公庁や企業全体で6月から9月までの約4箇月間で実施するところが多くなった。

[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%BA](https://ja.wikipedia.org/wiki/クール・ビズ)

問題に対応する方法:シナリオ検討

新コロナによりテレワークが定着、残るのはスカスカオフィスとなった構造だが、経営者にとっては、それを数値に置き換えて把握しておくことで、シナリオを作ることができる。以下は、坪3万円で2400坪のスペースで1200席(ほぼ従業員数)のために借りている会社を想定した計算結果である。

シナリオ

問題:スカスカオフィスの定量化

スカスカオフィスは、現状の座席利用率がさらにどれくらい下がるかをシナリオとして想定する。ここでは現在55%の座席利用率(1日のなかで平均としている)が、いまの1200席数だと、テレワーク定着後は30%まで落ち込むとした。つまり現在は1席あたり、19.6万円@席(月)が、36.0万円@席(月)となる。

シナリオ(1)オフィスコストだけしか考えないパターン

現在2400坪あるオフィスを使用率はそのままにしていきたいとすると、約半分の1200坪にするというシナリオがありえる。1席あたり、18.0万円@席(月)のコストが今とほとんど変わらないとして、、、。

シナリオ(2)オフィスコストにさらに社員サポートを検討する

テレワークが後戻りできないのであれば、テレワークの場合のコスト負担を検討することや、自宅近くに分散型の簡易オフィスやコワーキングスペースを借りることで社員の生産性をサポートするなど、予算が許す範囲でシナリオを現実の社員の働き方に合わせていくのが良いのではないだろうか。

前提

坪30000円、2400坪オフィス、700席から1200席に10年間で成長、10年借りでランニングコスト(家賃, 管理費, 水道光熱、水道光熱費は東京の平均)と初期後期費用(仲介、敷金、内装家具、引越、電気等工事、原状回復等、すべて東京の平均)を入れて最大席数あたりのコストを算出し、席の利用率を割り、席数当たりのコストを出した。

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このNoteでは、特にテレワークの環境を整備することに力を注いでいる会社の経営者や総務の方々に、テレワーク定着後に押し寄せる問題をオフィススカスカ問題とし、その対応方法を定量化すると簡単にシナリオに落とし込めそうだということを検討しました。Tokyo Creators' Projectではシナリオ構築や定量化の勉強会やコンサルティングも行っていますのでご活用ください。

あとがき

このNoteを書きながら、小池百合子さんが実は、クールビズの導入の時の立役者であったことを理解しました。今回は新コロナ対策のためのリーダーのひとりになっているわけですが、ワークプレイス変革の面からみると、2度も日本人の働き方に内在する「メンタルモデル」による変革を政治で変えた人と言えるかもしれないことに気づきました。