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【シンガポール労務】残業についての注意点


 
こんにちは。
今回は、シンガポールの労務のテーマの中から、よくお問い合わせをいただく従業員の残業について、解説していきます。

 

1.残業代の対象者は?


雇用法上、通常の就業時間(休憩時間を除く)を超えた就業は、残業に定義されます。
但し、全ての従業員が残業代の支給を受けることができるわけではなく、雇用法の第4章にてカバーされている従業員(オフィスワーカーであれば月給SGD2,600以下、マニュアルワーカーであれば月給SGD4,500以下)のみが対象となります。
 

2.残業代はいくら払う?


残業代は、月給SGD2,600もしくは時給SGD13.60水準を上限に、時給換算給与の1.5倍のレートで支払われる必要があります。
 
時給換算の方法は、給与の支給方法により以下のように計算します。
月給の場合
・12×月額給与/(55×44)
 
日給の場合
・基本日給与/日次就業時間
 
出来高払い制の場合
・週間合計給与/週次就業時間
 
 
 
但し、緊急を要する場合を除いて、いかなる従業員も一日12時間以上就業を行うことができず、月間の残業時間が72時間を超えることもできます。どうしても規定以上の残業時間を要する場合、MOMの所定のフォームより事前に申請し、許可を取得する必要があります。
 

3.残業代の支払はいつまでに行う?


残業代は、該当する給与計算期間のカットオフ日から14日以内に支払われなければいけないとされています。給与と合わせて支払うことが一般的ですが、一方でコンプライアンス通りに14日以内に支払われていないケースも、実態としては多く散見されます。雇用契約書上で従業員との合意がある限りにおいては問題はありませんが、基本的には原則通りの期日までに支払われるべきでしょう。
 
 

4.無許可で残業を行った場合も、残業代は払わなきゃダメ?


雇用主が支払う義務がある残業代は、許可の元に行われた分に限られます。従業員は、残業を行う必要がある場合、事前に管理者に相談しておくべきです。また、雇用主側についても、残業代のポリシーについて予め公表しておき、疑問点が無いようにしておくべきでしょう。
 

5.雇用法第4章の対象外のスタッフが残業する場合は?


では、管理者層などの、雇用法第4章の対象外の従業員が残業する場合はどのようになるのでしょうか。雇用法上は、彼らに対しての残業代の支給義務はないものの、実態としては、対象外のスタッフに対しても任意で残業代の規定を設けている会社も少なくはありません。
もしくは、残業代を支給する代わりに、代休を別日に取得させることで、対応するケースも多くみられます。
 

6.代休の問題点


年次休暇のように、取得期限が雇用法上も明確に示されているものと比べ、代休の取得期限は法律上は明確になっておりません。そのため、取得されないままどんどん累積してしまい、ある日突然まとめて取得をせまられ、労使間のトラブルとなってしまうことが多々あります。代休の取得記録を管理しておくことはもちろんですが、取得期限を就業規則や雇用契約書上で明確にしておくことが望ましいです。取得期限は、1か月、長くても2か月とすることをお勧めします。あまり長引くと管理が難しくなってしまうためです。
 
今回は以上となります。
労務のお悩みは、お問い合わせフォームよりご相談くださいませ。

お問い合わせフォーム – 株式会社東京コンサルティングファーム (kuno-cpa.co.jp)

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