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「夫婦で”妊活”を考えたら・・・ヘルスアンドライツ代表 吉川雄司さんが伝えたい”多様”な選択肢」(後編)

柿次郎:
Dooo編集長の徳谷柿次郎です。今回もよろしくお願いします。さて、今回も吉川雄司さんに妊活について話を聞いていきます。

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Dooo!今回も妊活や不妊治療へのサポート事業を展開するヘルスアンドライツ社長の吉川雄司さんにお話しを聞きます。妊娠や出産というライフプランを誰もが自由に自分の意志で選択できる社会を目指す。そのためにはまず知識を持つことが大切と考え吉川さんは日々活動に邁進しています。

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そういった人たちに何か情報とか何か機会を提供することで子供を授かる喜びみたいなものが日本社会に溢れたらいいなと思って。

後編ではなぜ吉川さんが妊活についての事業を始めたのか。そして今こそ言いたい日本の性教育の改革など吉川さんの人生にもフォーカスしてたっぷりお聞きします。


「妊活」男性の悩みの一つ「膣内射精障害」

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結構まあ性であったりとか妊活とか、色んな欲求の話って男女それぞれすると思うんですけど、男同士でしか盛り上がらないテーマとかそういうものって結構女性側分からなかったりするじゃないですか。逆に女性側がどういう話だかっていうのもわからないですけど。何か吉川さん的にこういう話が出てくるなとか悩みの中から話が広がったりとか。

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これって多くの夫婦が悩んでいるテーマの一つでもあると思います。もう一つは男性でいうと遅漏というものなんですけど、これ医学的なワードでいうと、「膣内射精障害」というものなんです。

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いわゆる、中でイケないという問題なんですよね。これってすごく夫婦生活にとっては男性にとっても精神的につらいですし、女性側も精神的にはつらくなってしまうんですね。で、僕がこの活動をしていて、やっぱり男同士の飲み会とかで「アドバイスないの?」とか、「どうやったらいいの?」とか、逆に男子って面白い話したがるじゃないですか。「裏ネタないの?」みたいな。面白い話して、みたいに言われると、あの、「膣内射精障害っていうのはやっぱりあるよね」と言うと、意外と何か「実は・・・何かイケないんだよね」みたいな。「もともと遅漏なんだよね」みたいな話はあって、その話は盛り上がったりしますよね。

柿次郎:
は~それは結構日々接しているAVとか、そういうもの、今の僕たちが接している情報がある種偏っていたりとか、日々の行為、セルフでやるっていうことの癖みたいなものと、実際のセックスが離れているというか?

吉川:
要はあれって、興奮できないから遅漏ってところなんですけど、いくつか理由があって、一つは普段自分でやる時にグリップが強すぎる。自分でやるときの刺激が強すぎて、膣内だと、それに比べて刺激が弱くて、いけない、という問題と。

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柿次郎:
そっか。その、精子の運動量という問題ももちろんありますし、男女の膣内で射精するっていう医学的な行為にたどり着けないっていうところから、メンタル折れると結構つらいですね。

吉川:
つらいですよね。何かそもそも、セックスって興奮からスタートするものなので、緊張したりとか、何か頭の中にあると、要はうまく立たなかったりもすると思うんですよ。

柿次郎:
男性側が「妊活で!この日で!絶対」とか言われると、ちょっと緊張して・・・

吉川:
なんかね、作業感というか・・・タスク感というか、そういうものがあると、やっぱり興奮しづらいっていうのもあるでしょうし・・・

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向こうも傷ついてしまう。二人で妊活というものがつらくなってしまう、というのはあるので、だから「妊活ってちゃんと知識をもってやりましょう」というのは大事なんですけど、持ちすぎちゃうと、作業感も出てしまって、バランスも難しいので。

柿次郎:
かといって、さっきおっしゃっていたように、こうためればいいものでもない。

吉川:
そうですね。禁欲もあまり良くはない。


「避妊」は学ぶが「不妊」は学ばない現在の性教育

柿次郎:
10代からこういう知識を学校教育とかで少しでも・・・

吉川:
本当にね、性教育でやってほしいんですよね。

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なので必ずコンドームをつけましょうっていうのが、今の性教育のベースになっていて、

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一方で「避妊をやめたら子どもが出来る」という風に脳内変換していて、

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学校で。この辺がちゃんと知らないと、いわゆるライフプランニング、

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柿次郎:
性教育という分野の学校教育って、何十年前からずっと一緒、とかそういうことなんですか?

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吉川:
はい、各方面から「変えた方がいいよね」って声もあるんですけども、実際は難しいらしくて、中には親御さんの方から「詳しい話はせんといて」と。なので学校の先生も困っているんですよ、学校の先生も本当はちゃんと向き合いたいと思ってる人は伝えるべきだと思ってるんですけども、

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あるんですって。あって、先生も指導要領外のことを言うとリスクなので、最近は産婦人科医の先生を読んで、外部に説明してもらうとか。

柿次郎:
なるほど、なるほど。日本って結構そういう性のタブー意識が異様に強いですよね。恥じらいとかそういうところからきてるんですかね?

吉川:
何か、そういうことを知ったら、親御さんからすると、そういうことを子どもが知ると、「子どもがやり始める」と!だから見せるな!と。

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柿次郎:
いくらでもアクセスできますから。

吉川:
ね?中高生の男子なんて、いくらでも見てるわけじゃないですか、だから情報は絶対に届いてしまうので、そういう中で正しい情報を若いうちから身に着けるというのは大事だと思いますね。


今後の活動

柿次郎:
今後どういった活動で社会にどんな影響を与えたいのかっていうビジョンとかってあるんですか?

吉川:

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それはうちの会社名でもあるんですけども、今「ヘルス&ライツ」という会社なんですけども、もとにある概念としては「リプロダクティブヘルスライツ」というのがあって。これは1994年にカイロの人口開発会議で提唱されたものなんですけども。要はその、誰もが自分の生殖機能、性に関する情報を得て、そのうえでそれぞれが望む人生を送るための選択肢を、選ぶ権利を持ちましょうという考え方なんですよね。

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これはもともと開発国とかで、人権が与えられていない女性に向けて、出てきたと思うんですけど、日本もやっぱり、そういった部分ってかなり低いな、と思っていて、

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あとは家族とはこうあるべきだとか、そういった「べき論」に縛られていると思うんで、まず生殖機能に関する知識をちゃんと持ってもらって、

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柿次郎:
それがある種、政治家の人たちが、そういう制度に関して柔軟になって、そういう制度を敷いてくれればいいな、とか。

吉川:
そうですね、妊活の問題ってやっぱり夫婦だけは解決できないんですよね。政治家の政策も大事でしょうし、民間企業が政治が入り込めないところを事業として作っていくことも大事でしょうし、教育現場の性教育も大事でしょうし、

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「男性不妊」に対する自治体の補助金は

柿次郎:
事前のお話で、男性側の不妊治療のバリエーションというか、いくつかあって、その治療に対しても補助金というか、その支援みたいなのもがあると聞いたんですけど?

吉川:
そうですね、男性不妊っていわれるものの多くは精子の健康部分なんですけど、無精子症といって、精液は出るけども、精子が入っていないというケースもある。

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そういう時に男性って、「ああ、もう一生自分はこどもを作れないんだ」って思ってしまうかもしれないんですけど、実は解決策というか、出来ることはありますよ、と。それが生殖医療といわれるところですと。男性不妊をサポートする体制としは、その国とか、各自治体とか補助金を設けています。実際に手術をするときに、初回であれば30万円の補助をしますよ、2回目以降は15万円補助しますよ、とか、そういったサポートもあるので、いざ、自分が男性不妊だと。でも、お金もないしな、ってなった時はそういうサポート体制もあるということを知ってもらいたいな、とは思いますね。

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柿次郎:
結構界隈で、友達から不妊治療のことを聞いていると、「不妊治療、毎回高い!」と。不妊治療の負担だけで結構生活が苦しくなり、負担がでかいからこそ、一回に期待をかけすぎて、うまくいかなかったら悩みが強くなり、夫婦関係が難しくなる、みたいな。こう…難しいですよね。

吉川:
だから基本的に夫婦で妊活を始めようと思ったときはまずは、最初に二人でブライダルチェックというか、生殖機能に関する検査をやったほうがいいかな、と思っているんですよね。

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よくあるのが、妊活し始めたけどなかなか妊娠しなくて、2年くらいたったと。多分、女性側が「私のせいかな」って不安になって。女性側は病院へ行って検査するんですけど、特に異常はないといわれる。なんでだろうと。でも実は男性側に原因があったと。この2年間ってすごい貴重だと思うんですよね。

柿次郎:
時間もお金も・・・

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吉川:
やっぱりこう、結婚するよりもっと前の段階、タイミング、それこそ高校生、大学生くらいから、自分の人生を考えたときに、いつかはそういったチェックをすべきなんだな、した方が、自分でちゃんと人生の意思決定が出来るんだなという知識をもっておくっていうのは、すごい大事かなって思いますね。

柿次郎:
そっか。自分の価値観がある種固まっていないようなタイミングで、素直にいろいろなもの吸収できる学生時代にそういった教育をちゃんとやるっていうか、いやぁ、もう、Dooo含めてあらゆるもの全部、教育に行きつくんですよね。(笑)教育めっちゃ大事だなって!

吉川:
いや、大事だと思いますよ。やっぱり、ねえ・・・小さい頃から見てきたこと、学んできたものっていうのは、よくも悪くも自分の中の常識というか、ベースみたいになっていくじゃないですか。ベースでいかに大事なものを伝えられるかっていうのは大事ですよね。

柿次郎:
そうっすよね~教えてほしかったですねぇ。


困難の乗り越え方「自分のガソリンが何かを知る」

柿次郎:
毎回聞いてるんですけども、吉川さんは困難どう乗り越えてきたのかと。

吉川:
今のこの活動でですか?

柿次郎:
いやもう人生で!

吉川:
人生で。

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柿次郎:
例えば何かこう、15歳でとんでもない失恋をしてとか、その時手元にあったトマトジュースを飲んだら何か乗り越えられたみたいでいいんですけど。

吉川:
で、言うと、僕、今自分で作った会社が3社目なんですよね。実は。画像32

そのあとは、本当に小さなスタートアップ。

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困難は仕事の困難なんですけども、1社目の時は大した困難じゃなかったんですよ。いわゆる大きな会社で、それなりに働いていれば、いいお給料がもらえて、いい部屋に住めてみたいな。すごく快適な、「サラリーマン余裕!」みたいな(笑)感じだったんですけど、何かそういった刺激のない生活に飽きて、ちょっと次のスタートアップに移るわけなんですけど、もう結構ね、もうガラッと変わって。給料は6割くらいに減って、スタートアップなんで、朝から、夜中2、3時まで働くのは当たり前みたいな期間があって、たぶん、顔死んでたと思うんですよね。

柿次郎:
 働きすぎて。

吉川:
こんなに大変か!と、思ったんですけど、そんな中で一社一社お付き合いしていくお客さんとか、自分が作ったサービスを使ってくれたユーザーとかから「ありがとう」とか、「本当に助かりました」みたいな言葉を頂くと、もう何だろうな・・・

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柿次郎:
まぁ、ちょっとお客さんが遠かったりもしますもんね。大きいと。

吉川:
得られなかったものもあって、どう困難を乗り越えたかって、何で乗り越えられたかっていうと、

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だから今のやっていることも、うちの会社ってまだそんなに儲けてないんですよ。いわゆる収益としては全然まだまだなんですけど、そんな中でも頑張ってやれるのって、この妊娠で困っている人、不妊治療で苦しんでいる人たちがツイッターのDMとか、たまに会った時に「有難うございます」「応援しています」とかって言ってくれる方がたくさんいて、そういった声をもらうと、自分が朝から晩までやっていることって価値あるんだろうなっておもえるので、画像39

柿次郎:
なるほど、そっか。じゃあストレスはあまりない!?

吉川:
ストレスがあるのか、ないのかわからないですね。ストレスはあるんでしょうけど、やっぱりいま、直に接しているユーザーとかが多いので、すぐにストレスもかき消されるというか。

柿次郎:
使命感というか。

吉川:
そうですね、エネルギーが本当に自然とわいてくるような感覚はありますね。

柿次郎:
それが結構、番組のタイトル「Dooo」。「Dooo」していると、しんどい時もありますけど、体が自然と動くし、経営者の人ほど、筋トレとかジョギングとか、自分の身体をコントロールしてから事業に向き合うっていう。エネルギー総量をあげるための生き方っていうのはいいのかもしれないですね。

吉川:
そうですね。

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社会人になりたての頃ってわからなかったんですよね。よくモチベーションとかいうじゃないですか。何をやったら、自分はモチベーションが上がるんだろうとか分からなかったときに、

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エンジンというか。それがあるから今も「Dooo」出来てるかな?って思います。

柿次郎:
そう、何か僕も小さい会社やってますけど、モチベーションがないからという理由を外に言えなくなってきたんですよね。もちろんやる気のバイオリズムはあるんですけど。これを「モチベーションがないからできませんでした」と言えない。やるしかないという。結構そういう状況まで追い込むことで結構経営者もメンタルヘルスケアって大事な要素になっていて、それをやっている会社の方とかもいるので、頑張りすぎると、いいこともあれば悪いことも増えていくので、そのバランスの中で「Dooo」していくっていうのは大事ですよね。

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吉川:
大事ですよね。何か「Dooo」するときってやっぱり恐怖とか、不安と向き合っているので、エネルギーすごい使うじゃないですか。それをサポートしてくれる場所、人は「Dooo」する人は作った方がいいと思うんですよね。意識的に。僕はそれは今の妻なんですけど、妻からよく言われるのは「メディアに出ているときと、家、全然違うよね?」みたいな。言われるんですよね。ついおとといぐらいも別番組とか出ていたんすけど、帰ってから「どうやった?」って聞くと「別人」って言われるんですよね。ってぐらい、僕は妻の前ですごい全開放だと思うんですよ。ダラーって。素でやってるな、って。そういう気を抜ける場所があるから何か頑張れる、「Dooo」できるっていうのはあると思うので、今から「Dooo」したいと思っている人は、たぶん、そのいろいろな不安とか、恐怖とかに向き合う人になるんでしょうけど、その時に安全基地みたいな、心の安全基地を自分でもっておくと、意外と頑張ってやっていけるよ、みたいなところはあるかもしれないですね。

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柿次郎:
そっか。急にDoooってワードが増えましたね。使いやすいんですよね。

吉川:
はい、何かカンペ出たのかな?ってくらい。

柿次郎:
もっとDoooって言ってくださいみたいな。


若者へ「大事なのは倫理観や誠実さ」

柿次郎:
若者に伝えたいことというか。まあさっきのメッセージもそれに近いと思うんですけど。

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これからの時代って結構難しい。Doooして36歳で会社やってても不安なことが一向に減らない。今17、18歳とかで社会に出るための人たちが日本社会に対して、これだけ大人が不安感じてたら子供も絶対感じてると思うので、こう今だから言えることとか。

吉川:
僕は、これからの時代を生きていく中で、かつ、Doooしようと思っている人で、

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最近ってフェイクニュースとか、ポピュリズムとか、というところはあるな、って思っていて。多くの人がもはや何が真実かわからない、みたいなのがあると思うんですよ。ついこの間だったら、アマゾン火災ってあったじゃないですか。画像43

あれって、フランスのマクロン大統領までつぶやきましたけど、実はつぶやきに使った写真って間違った写真だったとか。ほかのハリウッドの俳優とかもやってましたけど、あの人たちはたぶん善意でやっているわけですよ。いいと思ってやっているはずなんですけど、実は間違ったことを発信してしまってたりとか。

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時代だなと思っていて、こうやって何かを活動しようと思うと、発信ってし続けるわけですよね。その時にうまくやってしまえば、嘘もあたかも本当のように創り出せてしまう時代だな、と思って。そんな中でちゃんと本当に社会を良くしたいと思うのであれば、ちゃんとした倫理観とか、誠実さとか、正しいことをやるみたいな、

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「Dooo」していると、儲からないこと多いじゃないですか。

柿次郎:
そうですね。

吉川:
儲からないじゃないですか、基本的に。ってなると甘い蜜吸いたくなるんですけど、その時に自分の弱い心にちゃんと蓋をして、強い志を持って、頑張ってほしいなって思いますね。

柿次郎:
そっか。甘い蜜・・・

吉川:
甘い蜜、吸いたくなりますよね~(笑)

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柿次郎:
まぁね、日々耐えているからこそ、そういう話が来たら、甘い蜜自体が詐欺だったりとか、悪意かもしれないですもんね。それ自体も見極めて…

吉川:
見極めないといけないし、自分も甘い蜜を配る側になっちゃいけないな、と思うし。っていう、何か、こういうキャリアとかの話になると、こういうテクニック論ってめっちゃあると思うんですよ。でも、何かテクニックとかじゃなくて、

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【前編はこちら】