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今週の数字「3.26%」

TBS報道局編集主幹 播摩卓士

 9日にアメリカの長期金利が一時3.26%にまで上昇しました。2011年5月以来、7年5か月ぶりの高い水準で、これを引き金に翌10日にダウ平均株価が831ドルも急落しました。このアメリカの長期金利の上昇が米中貿易摩擦と並んで世界的な株価急落の犯人とされています。長期金利とは、10年物国債の利回りのことで、足元の金融政策だけでなく、インフレや成長への期待、財政赤字(つまり国債発行額)の見通しなど様々な変数から市場で決まるものです。インフレが目標の2%を突破し、成長率も3%以上というアメリカ経済の姿を見ると、現状の長期金利は決して「高過ぎる」ようには思えません。ただ、超金融緩和に慣れきった株式市場からすると「いかにも居心地が悪い」状況になってきたのでしょう。

 世界一安全な資産である米国債を買って3%でまわるなら「何もリスクをとって株を買うことはない」と考える人が出てくるのは当然のことなので、長期金利の上昇と株価の上昇が究極的には両立しないことは事実です。その一方、長期金利の上昇は景気が良い証拠でもあるので、それをこなしていけるだけの「好調な経済」が持続しているのであれば直ちに株の下落を意味するものではありません。その意味では、今後、長期金利上昇のスピードと、アメリカの企業収益の行方に一層、注目が集まることになりそうです。

(BS-TBS「Bizスクエア」 10月14日放送)