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「保育園があるから社会が回っている、未来が力強く育っているという自負もあります」。休園すべきか・・・世田谷区の保育園・園長の葛藤。

「私の悩みは、行政からの要請を受けて閉園となった際にお困りになるご家庭が出ることです。その一方で開園している現状は常に感染リスクにさらされています。閉園か開園か、そのジレンマにさいなまれています」
新型コロナウイルス感染拡大を受け、7日、政府により東京など7都府県に緊急事態宣言が発表されました。小学校・中学校・高校の一斉休校が進むなか、保育の現場においては「規模を縮小して実施する」「保育等を確保しつつ臨時休園する」といった方針が政府より示されています。
休園か開園か・・・。東京・世田谷区「さくらしんまち保育園」の園長、小嶋 泰輔さんから記者に届いたメールには切実な思いが綴られていました。

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「さくらしんまち」保育園 園長  小嶋 泰輔さん

この情勢にあって、今の私の想いを少しだけ書かせて頂きたいと思います。重要事項でも伝達事項でもありません。もし気が向けばお読み頂ければ幸いです。行政や法人とのやり取りで、連日遅くまで事務所におりますので、今朝は思い切って少し遅めに出勤しました。街の様子を見ていると意外と出勤する人が多いことに気がつきます。緊急事態宣言下においても生活を支える業種はお仕事を継続されます。乗客は少なくても何となく居心地の悪い通勤電車に乗って出勤しなければならない人もおられる訳です。(私もその一人です。)

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私の悩みは、行政からの要請を受けて閉園となった際にお困りになるご家庭が出ることです。その一方で開園している現状は常に感染リスクにさらされています。閉園か開園か、そのジレンマにさいなまれています。私たちにも保育や乳幼児教育を預かる者としての本分があります。保育園があるから社会が回っている、未来が力強く育っているという自負もあります。それが閉園となると、そのしわ寄せがどうなってしまうのか。それが悪く出ないか気がかりでなりません。

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その一方で保育園を開園し続けるリスクにも怯えています。保育園は間違いなく3密です。換気は心がけていますが、密集、密接は避けられません。検温や健康管理にご協力頂いていますが、86もの世帯、30名もの職員が出入りしています。衛生管理に心を砕いても、お預かりした大切なお子様が感染するリスクは0ではありません。お子様への感染はどうしても避けたい。さらに1人でも感染者が出れば、数週間は完全閉園となってしまいます。閉園時に限定的にお預かりできる医療従事者等のお子様すら保育できなくなってしまいます。それも避けたい。

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この情勢の中、お預けになる保護者も不安や切ない思いを抱えておられると思います。それでも働いて組織や社会を支えてくださることに感謝しなければなりません。とは言え、子どもを感染リスクに晒してまで保育を続行すべきなのか。このジレンマの堂々巡りです。正解はありません。

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今後、何らかの沙汰が下り、何らかの動きがあると思います。悠長に悩んでもいられなくなると思います。保育園もご家庭もお互いに痛みは避けられません。互いに協力しながら、もう少しトンネルの中を走り続けたいと思います。

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問わず語りになりました。何の結論もありませんが、今の胸のうちを聞いて頂きました。末筆になりますが、皆様のご協力に感謝し、ご健勝をお祈り致します。

園長 小嶋 泰輔