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真剣勝負にやり直しなんてないんだぞ 「即位礼正殿の儀」特番の裏側

10月22日に放送された「即位礼正殿の儀」特別番組。その大事な番組で実況を務めた蓮見孝之アナウンサーが、当日を迎えるまでのこと、本番中のことなど裏側を教えてくれました。


“航路前の誤報・・・!?”

パソコンの入力画面の「誤変換」に、私は苦笑いしてしまった。「航路前の誤報」ではなく、正しくは「黄櫓染御袍」と書き、「こうろぜんのごほう」と読む。どうやら、私のパソコンも変換し慣れていないようである・・・(笑)


「黄櫓染御袍(こうろぜんのごほう)」とは、天皇陛下が重要な儀式に臨まれる際に着用する束帯装束
のことであり、その色は「太陽が天空の真ん中に輝くときの色」と言われている。

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私の「即位礼正殿の儀」に向けた準備は、こうした伝統儀式ならではの特別な用語や装い、調度品などの言葉について調べるところから始まった。

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令和元年10月22日に執り行われた「即位礼正殿の儀」。この儀式は、天皇陛下がその即位を国の内外に宣言する儀式である。

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即位に関する儀式は様々あるが、その模様を実際に目にする機会はほとんどない。“映像の記録に、言葉の記録を添えていく”これが、今回の私の役割であった。

私は直近の儀式の映像を見直した。ただ、直近と言っても、今から29年前の映像である。余談だが、当時の私は9才で、記憶を辿ることさえ出来なかった。また、聞き慣れない専門用語は多く、丁寧すぎる敬語の使い方も気になる。分かりやすく伝えるにはどうしたら良いか、宮内庁担当記者や関係スタッフにも意見を聞きながら準備を進めた。加えて、使用する映像は、代表カメラとして入るNHKの中継映像のみ。撮影する内容も、映像を撮りきる時間も、スイッチングのタイミングも、全てNHKに委ねられている。言ってみれば、NHKとの共同作業。目に映った現場の動きに反応し、描写する作業は、さながら“スポーツ実況”のようでもある。




一方で、この儀式を担当するにあたり、私は淡々と言葉を紡ぎ出すことを心がけた。それは、「即位礼正殿の儀」という重要儀式ならではの、荘厳で緊張感のある現場の雰囲気を大事にしたいと考えたからだ

耳を澄ませば、様々な“音”が聞こえてくる。正殿・松の間に入られる際の天皇陛下の足音。侍従が天皇陛下のお言葉を懐から取り出す際の摩擦音。


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安倍総理が万歳三唱した際に轟いた祝砲の音。


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「即位礼正殿の儀」には、国内外から2000人近い人たちが参列した。ただ、そもそも今回の儀式というのは、拍手や歓声が上がる類いのものではない。参列者も静かに室内のモニターを通して儀式の様子を見守っていた。現場には、厳かな空気が漂う。


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その荘厳で静かな時間が流れる中で、この儀式の模様をご覧になっていた人たちは、どんなことを考え、思いを巡らしていたのだろう・・・。



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蓮見孝之(はすみ・のりゆき)2004年入社。書道は師範の腕前。JFA公認サッカーC級コーチ・サッカー検定4級・漢字検定2級・秘書技能検定2級・BSACオープンウォーター・普通自動車運転免許・高校公民科教員免許・声優能力検定1級・サービス接遇検定2級・似顔絵検定3級・ビジネス電話検定知識A・保育士資格と、様々な資格を持つ。

担当番組
【テレビ】
『JNNニュース』(月・火 /11:30〜)
『ひるおび!(ひるトク!)』(金 /10:25〜)
『From TBS(ナレーション)』( ※不定期)
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『蓮見孝之まとめて!土曜日』(土 /7:00〜)
『ジェーン・スー 生活は踊る(日替わりパートナー)』(木 /11:00〜)