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今週の数字「3.7%」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 5日に発表されたアメリカの雇用統計によると、9月のアメリカの失業率は前の月より0.2ポイント低下し、3.7%にまで下がりました。この数字、1969年12月以来、なんと48年9か月ぶりの低い数字です。リーマンショック後は失業率が2桁にまで高まったアメリカですが、今の景気がいかに好調かを端的に示す数字です。

 1969年といえば、アポロ11号が月面着陸した年、随分と前のことです。当時、アメリカではベトナム戦争で多くの若者が戦場に駆り出されていて、国内の労働力が極端に足りなかった時代です。そう考えると、現在の雇用状況(雇用の質の問題は別として)が歴史的に良好であることがわかります。

 冷戦に勝ち、グローバル時代でも勝ち抜いたアメリカは、全体として見れば「一人勝ち」と言っていいでしょう。にもかかわらず国内には「アメリカだけが損をしている」「他を助けてバカを見ている」と言った不満が充満し、アメリカファーストを訴える大統領が全方位で“貿易戦争”を仕掛けています。なんとも滑稽な光景に映ります。でも、それが目の前にある事実です。(BS-TBS「Bizスクエア」 10月7日放送)


■プロフィール

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。