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自衛隊が直面する「見えない敵との戦い」(2020年5月4日 JNNニュース)

新型コロナウイルスの感染拡大防止対策にあたっている自衛隊。これまで延べ1万6000人以上が対応にあたっていますが、終わりが見えないなか、長期戦への対応を迫られています。

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3か月前。中国・武漢で拡大を続けていた新型コロナウイルス。日本政府はチャーター機を飛ばし、在留邦人を帰国させていました。

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「無事に任務達成できるかという不安はありました」(陸上自衛隊看護官 窪佳苗2等陸尉)

検疫活動を支援するため、チャーター機に同乗した陸上自衛隊の看護官・窪佳苗さん

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一連の新型コロナウイルス対応で派遣された初めての自衛官となりました。機内では、100人近くの乗客に対し、問診や検温などを行いました。

「乗客の方はかなり疲れている方も多かったので、機内でお休みになられている方がほとんどでした。一人一人起こして検温をして問診をしていきました。症状のある方は機内の後ろの席の方に移動していただいて、症状がない人と席を分ける対応を取っていました」(陸上自衛隊看護官 窪佳苗2等陸尉)

以来、新型コロナウイルス対応にあたった自衛官は延べ1万6000人以上。しかし、その対応はこれまでの自衛隊の活動と大きな違いがあります。それは、窪さんのような看護官、医官が最前線に立っているということです。

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その象徴ともいえるのが、自衛隊中央病院です。延べ3000人を超す医官などが患者の受け入れなどに携わっています。

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医療機関での院内感染が深刻な課題となるなか、220人の陽性患者を受け入れている自衛隊中央病院では院内感染は起きていません。なぜなのでしょうか?

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扉の先が、症状が重い患者が入院しているエリアです。内側に危険区域と安全区域を分ける「ホットゾーン」ラインを指定。

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ゴーグルやマスクなどがなければ中には入れません。院内感染防止のため、区分けをさらに徹底させる仕組みです。

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このほか、鏡を見ながら正しく防護服を着る訓練を定期的に行い、自衛官一人一人に徹底していることや、ほかの患者と接触がないよう区画を区切っているということです。

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今後は、長期戦に備えた勤務環境の整備が課題だといいます。

「他に災害が起こるかもしれませんし、事態が起こるかもしれません。必要な体力、リソース、アセット(資材)を配分していきたい」(自衛隊中央病院 上部泰秀院長)

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長期化に備え、最近では輸送業務など民間事業者にできることは感染防護教育を行って移行し、自衛隊が余力を持って持続的に活動を行える態勢を整えることに力を入れています。

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新型コロナウイルスの感染拡大という自衛隊が未だかつて直面したことのない戦い。終わりの見えない戦いにどのように向き合っていくのか、模索が続いています。