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金融緩和政策の修正。実質的な利上げで円高・株安が進展。相変わらず対話下手(2022年12月20日 日経概況)

「世界一やさしく」投資を教える、ジョン・シュウギョウです。毎日、投資家目線で日本と米国の市場について、分析と考察をしています。

こちらに掲載してある情報は情報提供を目的としており、相場の方向性、個々の商品、個別銘柄等の見通し、売買の方向性など有価証券の売買等に関する助言や勧誘などを行うものではありません。投資に関する最終判断はユーザーご自身の判断で、最終損益もご自信の判断の結果として返ってくることをご認識ください。

今日のポイント

市場総括

2022年12月20日の東京株式市場は大幅に続落しました。終値は前営業日比289円48銭(1.05%)安の2万7237円64銭でした。

朝方は米国市場の流れを引き継ぎ、売り・買いが交差する小幅の動きでした。昼頃発表された金融政策決定会合の結果、長期金利の上限が引き上げられたことを材料に円高・株安が大きくすすみました

本日も最後までしっかりお読みください。


米国市場の動向

米国市場は続落しました。ダウ工業株30種平均は4営業日続落して、前営業日比162ドル92セント(0.5%)安の3万2757ドル54セント、ナスダック総合株価指数も4営業日続落して、前営業日比105.112ポイント(1.0%)安の1万0705.414で取引を終えました。

Google Finance より引用
Google Finance より引用

上昇の材料が少ない中、年末相場に近づくにつれ参加者も少ないことから景気後退懸念を織り込む流れが継続しました。前日に続き消費関連業種が下げ、長期金利が3.6%台まで戻したことはハイテク業種に下方圧力をかけました。

先週末まで下げたことで朝方は買いが進む場面があり、下げ幅が300ドルを超える場面も出てくるなど、閑散相場の典型的なパターンで推移しました。

日本市場の動向

日本市場の朝方は小さい動きにとどまっていました。市場が動き出したのは日銀金融政策決定会合の結果が発表されてから。昼休場中の12時前後に「長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%に拡大」する内容で、大規模緩和を修正する方針を発表しました。

実質的な利上げにあたる内容に市場は大きく反応しました。円安方向に進んでいた為替市場が急速に円高に振れ、株式市場は後場が始まってから下げ幅を拡大しました。

長期金利の上昇で金融関連が上昇、銀行業、保険業が4%以上の大幅な上昇となりました。電気・ガス業もかろうじて上昇、水産、食料品などの内需系の下げ幅も限定的な範囲にとどまりました。

景気敏感業種の売りが目立ち、精密機器、電気機器、情報・通信業が大きく下げました円高が進んだことで自動車関連が売られ、金利敏感業種の不動産の下落率が最も大きい

日本市場のテクニカル分析

日経の日足は上下髭を持つ陰線を形成しました。前日は200日移動平均線で止まり、切り返すチャンスを伺う流れでしたが、「25日移動平均線を割り込み、下げが強まる流れを作りました。」と前日に解説した通りとなりました。

Google Finance より引用

一気に27,000円を割り込み、26,500円に支えられていますが、これは支えというより、下にぬけるとさらに下がる準備をしているとみるのがよいでしょう。明日も下落する場合は10月13日の安値、そこまで通過すると10月3日の安値で止まるかが年末までの観戦ポイントとなります。

商いは大きく増加。東証プライムの売買代金は概算で4兆756億円、売買高は18億4392万株。東証プライムの値下がり銘柄数は1612、値上がりは205、変わらずは21銘柄でした。

日本市場の総合分析: 今後の投資戦略

誰もが現状維持と予想していた日銀金融政策決定会合。久しぶり(というより数年ぶりでしょうか)に黒田バズーカが炸裂しました。本日のポイントをもう一度まとめてみましょう。

変更1:長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%に拡大

変更2: 長期国債の購入額を従来の月7.3兆円から月9兆円程度に増額

据え置き:マイナス金利政策、ETFの買い入れ方針、政策金利のフォワードガイダンス(先行き指針)

為替市場に関わる方は目を疑うような大きな変化がスタート、ドル・円レートは大きな陰線(ドル安・円高)を形成しました。これで大規模金融緩和の修正が行われることになります。

0.25%にコントロールされていた長期金利の上限が0.5%まで引き上げられることによって金融関連は大きく上昇しました。各国の利上げに反して、長期金利を押さえつけていた日本の政策は大きな転換を迎えることになります。

 今後の展開は?

金利はどこまで上昇するのか

来年前半までに長期金利は0.5%に到達する見込みで、諸外国に比べて0.5%はまだ低い状態。黒田総裁の退任前にサプライズの発表があったのは、長期的な政策の転換を暗示するとも捉えられ、さらなる金利上昇も想定するのがよいでしょう。

為替市場への影響

その場合、150円まで進んでいたドル高・円安の再現は存在せず、130-134円で推移したあと、130円を割り込む動きも予想の範囲の中に入れる必要があります。130円前後で推移する場合、企業の来年度想定レートは130-132円が多かったので、実質的に業績への影響は少ないと想定します。

株式市場への影響

金利の上昇に伴い、株式市場は徐々に下値を模索する流れが年末まで続きますが、23年前半にかけて上述したように企業への影響が少ないことが数字として証明されると、回復に向かう流れを想定します。


今後の投資戦略は?

日経短期的に25,000円台への突入も想定しておきましょう。先週から続けている内需系への物色を続けて、回復に向かうまでは維持するようにします。注意すべきことは内需の中でも不動産、建設など金利敏感株の投資には慎重になる必要があります。

先物・オプション下げ目線なので、先物の売りを中心に考えますが、オプションはプット売りを当面避けるようにします。コール売りは安心して取り込めるところですが、本日時点で売りに入る場合は、安値での売り開始になり、日経が短期的に戻りを試す場面ではマイナスに推移する可能性もあるので、注意。

各市場の動き

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