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月夜に思うこと 🌙

人を月や太陽に例えることがある。

「じぃじが亡くなった日、月がすごくきれいだった…」と言ったのは娘だった。
危篤の知らせを受けて車を走らせたけれど、間に合わなかった。
失望と疲労が漂う車の中で見た、今顔を出したばかりの月はとても大きく、そして温かい色をしていたそうだ。

そう言えば…、父は月のような人だったかもしれない。
いや、昔は子供たちを笑わせてばかりいる太陽のような人だった。
それが自らも年齢を重ね、小さかった子供も大人になり、愛しい孫ができて、いつも優しく見守ってくれる月のような人になった。

昔、父が繰り返し話していた月に関する話がある。
私がまだ小さい頃、父に抱かれて月を見ていた時のことだという。
遠くで稲妻が光って、小さい私が「よう光るなぁ…、お月さまやけどするよぉ」と言ったというのだ。
なんでもないこの話だが、当時父はとても感心したそうで何度も聞かされていた。
今思うと、小さい私がどんなに幸せだったのか、そしてその後もそれほど期待に応えられたとも思えない私をいつも特別だと思ってくれていたということがよくわかるエピソードだ。

父が亡くなって5年が過ぎた…
小さい頃父と二人で見ていた月を、そっと一人で見上げてみる。
うまくいかなかったり、辛い時に、「見守っていてね!」「がんばるからね!」と心の中で語りかけている…

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